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アメフト観戦記や読書日記を綴っていましたが、最近は古墳(コフ)ニストとして覚醒中!横穴式石室をもつ古墳にハマっています。

ふるさとの生活

2006-10-13 14:24:47 | 読書日記
 ふるさとの生活
  宮本 常一著 講談社学術文庫

 「旅する巨人」宮本常一氏が小・中学生を対象に日本の郷土の歴史を探求するための手引きとして民衆のいろいろな生活を書いた本である。ここに書かれている日本の生活は、完全に消滅したもの、姿を変えつつ残っているもの、まだ残っているものといろいろある。戦後60年。いろいろなものを失い、またわれわれは得て来たのである。読んでいるとそんなことを感じてしまう。家や祭り、村落組織なんてのが記述されている。読んでいると案外日本人ってずっと同じところにいたのではなく意外と転々としていることがわかる。何百年もずっと同じ場所に住んでいるということは本当は少ないということなのだろう。
 宮本常一という民俗学者については、学生のときレポートの課題で「忘れられた日本人」という岩波文庫の本を読んでから気に入ってしまった人である。特に「土佐源氏」という目の見えなくなった元博労の話は、私の目の前に本人がいてしゃべっているかのような感じを与える作品であり、民俗学の報告書というよりは見事な文学にすらなっている。(但し近年、この「土佐源氏」の話はいくらかの虚飾が施されているらしいということになっている。)
 そして、近代化が進む社会の中で、忘れ去られようとしている古き日本人の姿を描いている。そしてこの作品に触れてから、民俗学に興味を持つようになった。
 
 最近、大阪と奈良の県境にある暗峠を下ったところにある生駒市の西畑というところに行くことがあった。大阪の裏側、ほんの1時間ばかりのところに、またこんな美しい棚田が残っているのかと感動しました。まだまだ古きよき日本の景観は残っている。但し何とかしていかないといけないこともまた事実なのだろう。
 昔、大月隆寛氏が民俗学はいずれ対象とする農村社会をなくし、学問として成立しなくなるみたいなことを言っていたと思う。こういう光景を見たとき、このような景観を維持していくために、民俗学という学問は必要になってくるんではないかなと思ったりします。
 そういえば宮本常一は、民俗学という学問だけでなく、農村や離島の振興に務めた人であった。
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