恋する伊勢物語
俵 万智著 ちくま文庫
歌人俵万智が伊勢物語について解説したエッセイ。伊勢物語というと「昔、男ありけり」という出だしで始まり、その男がいわゆる在原業平を指しているのだということぐらいしか知らなかったですが、在原業平が読んだとされる歌を元に物語が作られているとのこと。確かに物語の中には業平では、ありえないと思われるものもあるのだが・・・。いわば業平に仮託されているといえるかもしれません。
伊勢物語にはいろいろな恋愛譚が語られています。その中で僕自身は第23段の筒井筒が印象深い。高校時代古典で習ったと思うが、全く記憶違いをしていました。八尾の高安が舞台で、高安山を越えて女性に会いに行く話だと思っていたのですが、実は全く逆でした。
話では、大和の国から河内の国の高安の女のもとに通ってくるのでした。ただ「白波」=盗賊の語源となる物語であるというのは記憶どおりでした。
ちなみのそのもととなる和歌は次のとおり。
風吹けば沖つ白波龍田山夜半(よわ)には君が一人越ゆらん
この歌を聞いて男は河内の女のもとに通うのをやめちゃうんわけですね。しかし河内の女もえらい書かれ方してます。
またまた引用してみましょう。
まれまれかの高安に来て見れば、はじめこそ心にくもつくりけれ、今はうちとけて、手づから飯匙(いいかじ)とりて笥子の器に盛りけるを見て、心憂がりて行かずなりにけり。
簡単に訳してみると、「女も初めのうちは奥ゆかしく振舞っていたが、親しくなると手で飯を盛って器に入れている姿を見て嫌になって女のもとに通わなくなった。」って感じでしょうか。
でもなあ男女の間にはこういうことってあるような気がしますね。
残念なことに、「ある男」は、おそらく十三街道を越えていったといわれているのですが地元には古い神社が一つあるだけで、この物語を髣髴とさせるものは何一つ残っていないです。ただ街道の町並みはそれなりに昔、街道筋であったことを想像させます。
この話と妖怪二口女とまたダブっているのだが、それもまた記憶違いでした。なんでこういう記憶違いを起こしたのやら。せっかくなので二口女について調べてみました。けちな男が飯を食わない女を求めていて、そのとおりの女と結婚したが、しきりと飯が減るので不思議に思って出かけるふりをして隠れて様子をうかがってみたところ嫁の頭が割れて、握り飯を食べていたという話です。全国的にあるという話なので八尾のほうにも伝わっていたのかな。ただ一旦出かけるふりをして女の本性を見るという筋書きは良く似ているのでそこで混同してしまったのか???
あと第6段の女の人を連れて逃げたが、女の人を隠した場所に鬼がいて、全部食べられてしまうちょっとグロい話。後段の部分の何か付け足しのような説明は、本当に付け足しなんだそうです。おそらく原文にはなく筆写されていく段階で誰かが書いた添え書きが本文に紛れ込んだ部分なんだそうです。改めて聞くとなるほどと思ってしまいますね。こういった話は伊勢物語だけではないそうで、源氏物語や枕草子でもあるそうです。
この本自体、筆者の感性が良く出ていて面白いです。これが無粋な男連中だとこうは書けないんじゃないでしょうか。そして、こんないろんな恋愛をするのは大変でしょうと思う僕は「好きもの」にはなれないですね。
俵 万智著 ちくま文庫
歌人俵万智が伊勢物語について解説したエッセイ。伊勢物語というと「昔、男ありけり」という出だしで始まり、その男がいわゆる在原業平を指しているのだということぐらいしか知らなかったですが、在原業平が読んだとされる歌を元に物語が作られているとのこと。確かに物語の中には業平では、ありえないと思われるものもあるのだが・・・。いわば業平に仮託されているといえるかもしれません。
伊勢物語にはいろいろな恋愛譚が語られています。その中で僕自身は第23段の筒井筒が印象深い。高校時代古典で習ったと思うが、全く記憶違いをしていました。八尾の高安が舞台で、高安山を越えて女性に会いに行く話だと思っていたのですが、実は全く逆でした。
話では、大和の国から河内の国の高安の女のもとに通ってくるのでした。ただ「白波」=盗賊の語源となる物語であるというのは記憶どおりでした。
ちなみのそのもととなる和歌は次のとおり。
風吹けば沖つ白波龍田山夜半(よわ)には君が一人越ゆらん
この歌を聞いて男は河内の女のもとに通うのをやめちゃうんわけですね。しかし河内の女もえらい書かれ方してます。
またまた引用してみましょう。
まれまれかの高安に来て見れば、はじめこそ心にくもつくりけれ、今はうちとけて、手づから飯匙(いいかじ)とりて笥子の器に盛りけるを見て、心憂がりて行かずなりにけり。
簡単に訳してみると、「女も初めのうちは奥ゆかしく振舞っていたが、親しくなると手で飯を盛って器に入れている姿を見て嫌になって女のもとに通わなくなった。」って感じでしょうか。
でもなあ男女の間にはこういうことってあるような気がしますね。
残念なことに、「ある男」は、おそらく十三街道を越えていったといわれているのですが地元には古い神社が一つあるだけで、この物語を髣髴とさせるものは何一つ残っていないです。ただ街道の町並みはそれなりに昔、街道筋であったことを想像させます。
この話と妖怪二口女とまたダブっているのだが、それもまた記憶違いでした。なんでこういう記憶違いを起こしたのやら。せっかくなので二口女について調べてみました。けちな男が飯を食わない女を求めていて、そのとおりの女と結婚したが、しきりと飯が減るので不思議に思って出かけるふりをして隠れて様子をうかがってみたところ嫁の頭が割れて、握り飯を食べていたという話です。全国的にあるという話なので八尾のほうにも伝わっていたのかな。ただ一旦出かけるふりをして女の本性を見るという筋書きは良く似ているのでそこで混同してしまったのか???
あと第6段の女の人を連れて逃げたが、女の人を隠した場所に鬼がいて、全部食べられてしまうちょっとグロい話。後段の部分の何か付け足しのような説明は、本当に付け足しなんだそうです。おそらく原文にはなく筆写されていく段階で誰かが書いた添え書きが本文に紛れ込んだ部分なんだそうです。改めて聞くとなるほどと思ってしまいますね。こういった話は伊勢物語だけではないそうで、源氏物語や枕草子でもあるそうです。
この本自体、筆者の感性が良く出ていて面白いです。これが無粋な男連中だとこうは書けないんじゃないでしょうか。そして、こんないろんな恋愛をするのは大変でしょうと思う僕は「好きもの」にはなれないですね。
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