仏教発見!
西山 厚著 講談社現代新書
僕が小学生のとき、1年以上長期にわたって父親が入院した。退院後よく写経を薬師寺に納めに行っていた。その時、よく当時の管長である高田好胤さんの法話を聞かされた。僕の唯一といっていい宗教体験なのだが不思議と本書にも出てくる「かたよらない心、こだわらない心、とらわれない心。ひろく、ひろく、もっとひろく。これが般若心経、空の教えなり。」という言葉は未だ覚えている。僕自身は全く仏教とは無縁の生活をしている。ただ文化史への興味からたまに仏教の解説書を読んだりするに過ぎない。本書も奈良国立博物館に行った時に、ミュージアムショップで平積みで売っていたのを見つけて、面白そうだったので購入したに過ぎない。今になって思うと僕の日本史、特に文化史関係への興味は、父母によく寺院に連れて行ってもらったことに起因するのかもしれない。
本書では、縁起、慈悲という仏教用語をキーワードとして著者が博物館に勤務していわゆる「発見した」こと書いている。そこら辺にある仏教入門をうたう書よりも実体験に基づいているためピンと来る部分がある。この世の中のすべてのことは何らかのつながりがあるという縁起説。そして慈しみの心である慈悲。それを中心として仏教の考え成り立っているのだということだと思う。著者は「自分のことを考えるのではない。いつもみんなのことを考える。みんなが一緒に幸せになれる道をめざす。そのために生きる。みんなつながっているのだから。」とこれが仏教の思想だという。もしかしたら現代社会の中で一番かけているものではないか。今、非常に不寛容な時代になりつつある。外部に対しては特に。そしてつまらない衝突から殺人事件が起こっていたりする。すこしでも慈悲の心があれば、相手を慈しむ心があればそうはならないかもしれないと思う。
今、仏教界は何をしているのだろう。科学技術が暴走し、人類を滅亡させるぐらいの威力を持った時代に全く発言が聞こえてこない。いまこそ必要なときではないのか。
そう聖武天皇が大仏を作ったとき「虫もミミズ」極楽往生という平等観を述べていた。今の平等運動がいかに浅薄なものかと思う。
本書は非常にわかりやすい文章でいろいろなことを考えさせてくれる本でした。
(追記)
最澄にたいしての評価が 、空海以上に高くて非常に驚きました。2人の決別は最澄側にもんだいがあったという受けとめ方をしていたので新鮮でした。
西山 厚著 講談社現代新書
僕が小学生のとき、1年以上長期にわたって父親が入院した。退院後よく写経を薬師寺に納めに行っていた。その時、よく当時の管長である高田好胤さんの法話を聞かされた。僕の唯一といっていい宗教体験なのだが不思議と本書にも出てくる「かたよらない心、こだわらない心、とらわれない心。ひろく、ひろく、もっとひろく。これが般若心経、空の教えなり。」という言葉は未だ覚えている。僕自身は全く仏教とは無縁の生活をしている。ただ文化史への興味からたまに仏教の解説書を読んだりするに過ぎない。本書も奈良国立博物館に行った時に、ミュージアムショップで平積みで売っていたのを見つけて、面白そうだったので購入したに過ぎない。今になって思うと僕の日本史、特に文化史関係への興味は、父母によく寺院に連れて行ってもらったことに起因するのかもしれない。
本書では、縁起、慈悲という仏教用語をキーワードとして著者が博物館に勤務していわゆる「発見した」こと書いている。そこら辺にある仏教入門をうたう書よりも実体験に基づいているためピンと来る部分がある。この世の中のすべてのことは何らかのつながりがあるという縁起説。そして慈しみの心である慈悲。それを中心として仏教の考え成り立っているのだということだと思う。著者は「自分のことを考えるのではない。いつもみんなのことを考える。みんなが一緒に幸せになれる道をめざす。そのために生きる。みんなつながっているのだから。」とこれが仏教の思想だという。もしかしたら現代社会の中で一番かけているものではないか。今、非常に不寛容な時代になりつつある。外部に対しては特に。そしてつまらない衝突から殺人事件が起こっていたりする。すこしでも慈悲の心があれば、相手を慈しむ心があればそうはならないかもしれないと思う。
今、仏教界は何をしているのだろう。科学技術が暴走し、人類を滅亡させるぐらいの威力を持った時代に全く発言が聞こえてこない。いまこそ必要なときではないのか。
そう聖武天皇が大仏を作ったとき「虫もミミズ」極楽往生という平等観を述べていた。今の平等運動がいかに浅薄なものかと思う。
本書は非常にわかりやすい文章でいろいろなことを考えさせてくれる本でした。
(追記)
最澄にたいしての評価が 、空海以上に高くて非常に驚きました。2人の決別は最澄側にもんだいがあったという受けとめ方をしていたので新鮮でした。
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