WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

雨を見たかい?

2006年07月15日 | エッセイ

 今日、用事があって車を運転していて、たまたまあった古いカセットテープをカーステレオに挿入したところ、流れてきたのは、なんとCCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)のwho'll stop the rain ? だった。なつかしくてききいってしまった。しばらく聞いていると、同じCCRのHave You Ever Seen The Rain ? がはじまった。今となっては、ちょっとドン臭いサウンドだが、悪い曲ではない。私は同時代にこれらの曲に触れたわけではない。私がこれらを知ったのは、それから10年近くたった70年代末~80年代初頭にかけてだ。けれども、それでもまだ10年前の時代のなごりや燃えカスのような気分は残っていたように思う。(だからどうということはないが……)

 《雨》……。そういえばこの頃の時代の曲には 《雨》の語がよく出てくる。ボブ・ディランは「激しい雨が降る」と歌い、ジェームス・テーラーも「ファイヤー・アンド・レイン」を歌っていた。よく言われることだが、この雨はベトナム戦争が背景となっているのだろう。すなわち、それはベトナムで降るスコールの雨であり、爆弾の雨である。それは、ある場合には反戦の歌であり、ある場合には大儀の薄い戦争をベドコンの恐怖にさらされながら戦わねばならない兵士たちの歌である。またあるいは、当時燃え盛っていた学生運動に対する機動隊の放水の雨なのかも知れない。

 くわしく調べたことはないが、日本の音楽にもこの時代のものには《雨》の語が多いような気がする。《雨》は意外と、60年代から70年代初頭の時代の気分を表す語なのかもしれない。