秋の夜長になりました。難しい本を読むのも良い季節ですが軽い本をささと読んで寝るにも良い季節です。
風野真知雄著 二見時代小説文庫発行の「初秋の剣」をお勧めします。
大江戸定年組との副題が付いていますが、本当はこちらの方が主題の様な気がします。
主人公は町方同心の藤村慎三郎、三千五百石の大身旗本、夏木権之助、裕福な小間物屋七福仁左衛門の三人。
何とも身分違いの取り合わせだが三人は大川(墨田川)での水練の仲間で若い頃と言っても12-15歳に掛けて泳いだり喧嘩をしたりして仲間付き合いをして育った。泳ぎの達者な三人は永代橋付近から江戸湾まで泳ぎ捲くっていた。大人になる頃自然に疎遠に成ったが10年程前、もう一人いた仲間の死がきっかけで付き合いが復活したわけ。
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丁度55歳という老年期(江戸時代)への入り口で三人とも倅に後を譲り隠居した。
今日は藤村の隠居した日の夜、三人は永代橋を深川に渡った直ぐの「海の牙」という居酒屋で集まり一杯やる。
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三人は老後の生きがいに「美しい景色を眺めて暮らす」事を決めてその為の借家を江戸のあちこちに探す。
藤村が同心時代に付き合いのあった商人の揉め事を上手く解決したのが縁で商人の義父が作った凝りに凝った二階建ての家作を月400文という只みたいな家賃で借り受けた。
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場所は永代橋を深川に渡り深川熊井町にある。目の前が大川の河口で二階に上がると堤防でさえぎられてた大川と江戸湾の様子が一望に開ける。晴れた日には富士山が目の前に見えるというまさに「美しい景色を眺めて暮らす」に打って付けである。
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なべ釜は備え付けがあるので布団を持ち込み気ままな生活が始まる。
日帰りの日もあり、泊まりの日もある。夜は「海の牙」で一杯やっておだを上げる。隠れ家には「初秋庵」という名をつけて入り口の門に扁額まであげる凝り様。
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二階から向こう堤の柳を眺めているうちに揃って俳諧を志し、揃って美人師匠入り江かな女に弟子入りする飄逸振りである。
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そうこうしていると亭の隣に自身番が移ってくる。自身番の事件には藤村の息子である同心見習い康四郎が出入りする。
幾つかの事件に首を突っ込んだ挙句、三人は気が付く。
「奉行所が扱うほどの事件でなく自身番さえ取り上げるかどうかだが近隣の人が困っている様な事を解決してやる。金になるなら貰う 成らなければとらない」それで「三人の経験や知恵を使って、世の為、人のために役立つ。これこそ正しい隠居の道」だ。 この認識が「大江戸定年組み」の心だと爺は思うのです
ここに行き着くまで一巻が五話に分かれています。活字は今風で大きく読みやすく成っています。話の筋は穏やかで展開に無理がありませんからとてもよく頭に入ります。 何時ごろの話でしょうか?第四話に十返舎一九が出てきますから1825年頃でしょうか(一九は1831年没)明治維新まであと40年ほどです。
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06年7月に初版がでていますが、主人公三人の身辺をめぐって今年9月までに第4巻まで出ています。
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風野真知雄著 二見時代小説文庫発行の「初秋の剣」をお勧めします。
大江戸定年組との副題が付いていますが、本当はこちらの方が主題の様な気がします。
主人公は町方同心の藤村慎三郎、三千五百石の大身旗本、夏木権之助、裕福な小間物屋七福仁左衛門の三人。
何とも身分違いの取り合わせだが三人は大川(墨田川)での水練の仲間で若い頃と言っても12-15歳に掛けて泳いだり喧嘩をしたりして仲間付き合いをして育った。泳ぎの達者な三人は永代橋付近から江戸湾まで泳ぎ捲くっていた。大人になる頃自然に疎遠に成ったが10年程前、もう一人いた仲間の死がきっかけで付き合いが復活したわけ。
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丁度55歳という老年期(江戸時代)への入り口で三人とも倅に後を譲り隠居した。
今日は藤村の隠居した日の夜、三人は永代橋を深川に渡った直ぐの「海の牙」という居酒屋で集まり一杯やる。
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三人は老後の生きがいに「美しい景色を眺めて暮らす」事を決めてその為の借家を江戸のあちこちに探す。
藤村が同心時代に付き合いのあった商人の揉め事を上手く解決したのが縁で商人の義父が作った凝りに凝った二階建ての家作を月400文という只みたいな家賃で借り受けた。
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場所は永代橋を深川に渡り深川熊井町にある。目の前が大川の河口で二階に上がると堤防でさえぎられてた大川と江戸湾の様子が一望に開ける。晴れた日には富士山が目の前に見えるというまさに「美しい景色を眺めて暮らす」に打って付けである。
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なべ釜は備え付けがあるので布団を持ち込み気ままな生活が始まる。
日帰りの日もあり、泊まりの日もある。夜は「海の牙」で一杯やっておだを上げる。隠れ家には「初秋庵」という名をつけて入り口の門に扁額まであげる凝り様。
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二階から向こう堤の柳を眺めているうちに揃って俳諧を志し、揃って美人師匠入り江かな女に弟子入りする飄逸振りである。
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そうこうしていると亭の隣に自身番が移ってくる。自身番の事件には藤村の息子である同心見習い康四郎が出入りする。
幾つかの事件に首を突っ込んだ挙句、三人は気が付く。
「奉行所が扱うほどの事件でなく自身番さえ取り上げるかどうかだが近隣の人が困っている様な事を解決してやる。金になるなら貰う 成らなければとらない」それで「三人の経験や知恵を使って、世の為、人のために役立つ。これこそ正しい隠居の道」だ。 この認識が「大江戸定年組み」の心だと爺は思うのです
ここに行き着くまで一巻が五話に分かれています。活字は今風で大きく読みやすく成っています。話の筋は穏やかで展開に無理がありませんからとてもよく頭に入ります。 何時ごろの話でしょうか?第四話に十返舎一九が出てきますから1825年頃でしょうか(一九は1831年没)明治維新まであと40年ほどです。
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06年7月に初版がでていますが、主人公三人の身辺をめぐって今年9月までに第4巻まで出ています。
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