王様の耳はロバの耳

横浜在住の偏屈爺が世の出来事、時折の事件、日々の話、読書や映画等に感想をもらし心の憂さを晴らす場所です

トランプ政権 ロシアにINF破棄を通告?!

2018-10-21 09:02:29 | 米国(トランプ)関連
核廃棄条約離脱の意向表明=ロシアが違反と非難―米大統領
昨日20日トランプ大統領は外遊先のネバダで記者団に対しINF全廃条約の廃棄をロシアに通告すると発言しました。
INFの詳細は以下の参考記事にある通りですが1987年にレーガン大統領とゴルバチョフ書記長の間で結ばれたものです。
端緒はヨーロッパに配備されたソ連(今のロシア)とアメリカ(同盟国も含む)のINFの増強競争を止めようとして7年余にわたるマラソン交渉の結果やっとまとまったと思います。
その当時お互いが持っている装備(核弾頭も含む)だけでもオーバーキル(相手の兵力の何倍も殺すことが出来る)状態を避けるのは危険の回避と軍事予算の民政への転用と両国にとって意味あることだと思っていました。

ソ連にしても陸上発射のINFはとも角、核弾頭の小型化に依って米軍の海上発射型巡航ミサイルの配備にに歯止めが掛り有意義でした。トランプ大統領が「ロシア側に条約違反がある」と述べていますがそれならば「証拠を揃えて違反を指摘し抗議する」事から始めればよい事ですから、安全保障補佐官のボルトン氏をロシアに送るというのもはて「その心は?」と思ってしまう浜爺です。

会見では中国の核戦力の増強にも言及している様ですが中国とはこの点に関し「お得意の二国間交渉」をしている訳では有りませんから奇妙です。大統領の関心はこの辺りにあるのかもしれません?!

INFの廃棄により海上発射型の核及び通常弾頭の巡航ミサイルの開発と増強が可能にあれば中国はもとよりまだ非核化への意陸地にも達していない北朝鮮への会場からのスタンドオフ(遠距離)攻撃が可能になります。
通常弾頭であれ目標を限定して100発あるいは130発程度を発射すればその効果はイラク進攻で見せたように瞬時にして相手の重要軍事機能をマヒさせることが出来ます。
数年前にロシアがカスピ海からシリアの反政府勢力に巡航ミサイルを打ち込み瞬時にして形勢を逆転しました。まあいろいろな使い方が可能になるわけです。
トランプ大統領が「本当は何を狙っているのか?」しっかりその発言と政権高官の人事に着目して眺めていましょうね。


写真:ネバダでの記者会見で(共同)

時事通信:
【ワシントン時事】トランプ米大統領は20日、冷戦時代に旧ソ連との間で結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱する意向を表明した。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が近くロシアを訪問し、プーチン大統領に米国の方針を伝える。

 トランプ大統領は遊説先のネバダ州で記者団に対し、ロシアが条約に違反していると非難した上で、「われわれは合意を破棄し、条約から離脱する」と明言。さらに「(新たな)兵器を開発しなければならない」と語り、条約締結を受けて撤廃された中距離ミサイルの再開発に着手すると示唆した。

 INF条約は1987年に締結されたが、米国は近年、ロシアが合意事項に反して中距離核戦力を開発し、欧州諸国の安全を脅かしていると非難。米国だけが条約に縛られて身動きが取れない一方、中国とロシアは核戦力を増強しているとして不満を募らせていた。

 ロシア政府は一貫して条約を順守していると主張し、違反しているのは米政府だと反論している。

 トランプ政権は2月に公表した核戦略文書「核態勢の見直し(NPR)」で、ロシアと中国の急激な核戦力増強により、安全保障をめぐる環境は大きく変化したと指摘。爆発力の小さい低出力核弾頭を開発して抑止力を強化する一方、ロシアがINF条約を順守しなければ、海洋発射型の核巡航ミサイルを新たに開発すると警告した。

 米国はかつて海洋発射型の核巡航ミサイル「トマホーク」(TLAM―N)を保有し、太平洋や欧州に展開していたが、オバマ前政権が2010年公表のNPRで退役を決定した。トランプ政権がINF条約を離脱し、核トマホークの後継ミサイルの開発に着手するのであれば、中ロ両国の強い反発を招くのは必至。米ロだけでなく、中国を巻き込んだ新たな軍拡競争に火を付ける危険をはらんでいる。 
(引用終わり)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする