安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

【管理人よりお知らせ】「当ブログ管理人が、9/11のレイバーネットTV原発特集に出演」他

2024-09-07 23:51:09 | 原発問題/一般

管理人よりお知らせです。

1.当ブログ管理人が、9月11日(水)放送のレイバーネットTV「<大地震・大災害に備え、全原発を止めよ!〜後藤政志さん緊急アピール>」に出演します。以下、番組宣伝から引用の形で内容を紹介します。

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・放送日 2024年9月11日(水)19:30〜20:40(70分放送)
・視聴サイト https://www.labornetjp2.org/labornet-tv/204/
 (YouTube配信 https://youtube.com/live/wvW3ySfzbpg?feature=share
・配信場所 郵政共同センター特設スタジオ

<大地震・大災害に備え、全原発を止めよ!〜後藤政志さん緊急アピール>

 2024年に入ってから日本列島は大揺れ。元日に起きた能登半島地震では、北陸電力志賀原発の変圧器から油が漏れ出した。8月の宮崎県沖の地震では初の南海トラフ地震臨時情報が出された。南海トラフ地震の想定震源域には浜岡、伊方原発が入る。今すぐ原発を止めなければ、「第2の福島」は避けられないというのに、四国電力は「臨時情報」でも伊方原発の運転を続け、九州電力は定期点検中だった川内原発の原子炉を台風接近中に再稼働するデタラメぶりだ。また「柏崎原発再稼働」の話も浮上している。

 日本の原発はどれだけ危険か? 原子炉を知り尽くした技術者・後藤政志さんが原発停止を訴える。3.11以降、息を潜めていた原子力ムラが、福島などなかったかのように再び横暴になったのは、「国に原発事故の責任はない」とした2022年6月17日の最高裁判決が原因だ。福島原発賠償神奈川訴訟原告団長の村田弘さんは、岸田政権の原発大回帰政策の「地ならし」をした司法への怒りと、最高裁判決を乗り越える決意を語る。

 9月11日は「経産省前テントひろば」13周年の記念日でもある。後藤政志さんと一緒に「全原発を止めよ!」の声をスタジオから上げたい。

〔出演者〕
 ゲスト/後藤政志(元原子力プラント設計技術者)
 ゲスト/村田弘(福島原発賠償神奈川訴訟原告団長)
 司会/黒鉄好(ALPS処理汚染水差止訴訟原告)
*休憩タイム「ジョニーと乱の5ミニッツ」あり

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2.当ブログの名称を発足当時の「人生チャレンジ20000km」に戻しました

管理人の判断で、当分の間、当ブログの名称を「安全問題研究会」から発足当時の「人生チャレンジ20000km」に戻しました。

今年は、安全問題研究会の活動が忙しすぎて、肝心の鉄道乗車活動がほとんど進んでいません。先日、関西方面で2線区に乗車しましたが、うち1つは奪還(延長開業区間の乗車)であり、純粋な意味での新規乗車は現時点でまだ1路線にとどまっています。

このままでは今年の新年目標(5路線乗車)達成が厳しく、自分自身を鼓舞するためだとご理解ください。

なお、年内いっぱいはこの名称を続ける予定です。年明け以降は未定です。


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2024年 六ヶ所村ピースメッセージ

2024-09-02 22:57:41 | 原発問題/一般
青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理施設に反対する行動として、1986年から始まった六カ所ピースサイクル行動。全国各地を自転車で回りながら核燃サイクル反対を訴える行動も今年で40回の節目を迎えた。

当ブログ管理人に、行動主催者からメッセージの依頼が来るようになったのは、福島原発事故が起きて以降だ。福島県で被災したという事情もあり、以降、毎年、六ヶ所ピースメッセージとして思いを伝えてきた。今年、当ブログ管理人が寄せたメッセージをご紹介する。

なお、〔 〕内は、青森県知事宛のメッセージのみに記載しています。

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六ヶ所ピースメッセージ

六ヶ所村村長 戸田 衛 様
日本原燃株式会社 社長 増田 尚宏 様
青森県知事 宮下 宗一郎 様

 福島第1原発事故から13年が経過しました。日本原燃が運営する使用済み核燃料再処理施設は、8月23日、通算で27回目の完成延期が決まりました。四半世紀の長きにわたって、不可能なものを可能と言い続け、市民を欺き続けた責任と向き合う時期が来ています。

 今年元日には、能登半島を震源とするマグニチュード7の地震が発生し、北陸電力志賀原発で変圧器の油が建屋内に大量流出する事故が起きました。震源地は珠洲原発の建設が予定されていた場所であり、計画が中止とならず、予定通り珠洲原発が建設~稼働していれば、今ごろ福島級の惨事となっていたと考えられます。

 8月8日には、宮崎県日向灘沖で震度6強の地震が発生し、史上初の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました。今年に入ってから、震度5弱以上の地震だけですでに26回(9月2日現在)も発生しており、この数字は、東日本大震災・福島第1原発事故が起きた2011年に次ぐハイペースです。日本全体が大揺れ状態で、再処理施設がいつ巨大地震に襲われても不思議ではありません。もしこの再処理施設で過酷事故が起きた場合、被害は福島第1原発事故をはるかにしのぐ規模になると予想されます。そうなった場合、貴社、そして増田社長〔青森県〕はそれだけの責任を負えるのでしょうか。

 〔関西電力高浜、美浜、大飯の各原発では、使用済み核燃料の保管場所が一杯になるまで残り5~7年と逼迫しています。使用済み核燃料の中間貯蔵施設を福井県外に確保するとの約束を果たせず、搬出先もなくなれば原発を停止せざるを得ないため、関西電力は、使用済み核燃料を乾式キャスクに詰め、むつ市の中間貯蔵施設へ持ち込む計画を進めています。この中間貯蔵も一時しのぎでしかなく、いずれ破たんは避けられません。

 高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉により、すでに核燃料サイクル事業は破たんしているにもかかわらず、六ヶ所村での再処理事業を国がやめる気配は見えません。このままでは、むつ市の中間貯蔵施設も「最終処分場」となり、青森県は「核ごみ県」になるでしょう。むつ市長時代にこの中間貯蔵施設の設置を容認したのは宮下知事だと認識していますが、知事には、その重大性をぜひご認識いただきたいと考えます。〕

 私は、福島第1原発事故当時、福島県西郷村で事故を体験した者のひとりとして、関係者が、過去の遺物である原発から脱却し、再生エネルギーを基本とした新しい電力政策のビジョンを描くときであると考えます。使用済み核燃料や高レベル放射性廃棄物の処理方法や処分場所に関しては、事業者と自治体のみではなく、広く国民全体での議論を尽くした上で決めることを求めます。

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敦賀2号機「新基準不適合」 原発審査「不合格」は日本原子力史上初

2024-07-27 14:22:05 | 原発問題/一般
敦賀2号機「新基準不適合」 規制委審査、再稼働絶望的に―直下に活断層「否定できず」(時事)

 東京電力福島第1原発事故後にできた新規制基準の適合性審査で「不合格」となるのは、2012年の規制委発足後初めて。正式決定されると敦賀2号機の再稼働は不可能となり、日本原電は廃炉を含めた厳しい選択を迫られる。

 新規制基準では、活断層の上に原子炉建屋など重要施設を設置することを認めていない。敦賀2号機では、原子炉建屋近くの「K断層」が将来動く可能性があるかという「活動性」と、建屋直下の断層がK断層とつながっているかの「連続性」が議論されていた。

 規制委は今年5月、活動性について「否定することは困難」と判断。6月の現地調査を実施した上で、今月をめどに連続性に関して結論を出すとしていた。

 この日の審査会合では、原電側がボーリング調査で採取したK断層の地質サンプルを肉眼や顕微鏡などで分析した結果、活動性と連続性のいずれも否定されると改めて主張。しかし、規制委は原電の調査方法や判断基準について「不確定な部分が大きい」「科学的・技術的な根拠が示されておらず妥当ではない」と評価した。

 これに対し、原電側は新たなデータを得るための追加調査を検討した上で、申請書の再提出を目指す考えを表明した。審査会合の判断は31日の規制委の定例会合で報告され、対応が協議される。

 建屋直下の断層については、規制委の専門家調査団が2度にわたって活断層との評価を示したが、反論する原電は再稼働に向けた審査を15年に申請した。しかし、地質データの無断書き換えなど同社の提出資料に多数の不備が発覚し、審査が2度中断するなどした。

 日本原電の話 審査会合の議論を踏まえ、今後も追加調査やデータの拡充に取り組む。引き続き敦賀2号機の稼働に向けて取り組む。

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26日、原子力規制庁が行った敦賀原発2号機をめぐる審査会合で、原子炉直下を走る断層が活断層でないことを否定できないことから、敦賀2号機を新規制基準に「不適合」とすべきだとする結論が事務局案として示され、了承された。原子力の規制当局が、日本の原発を不許可にしたのは福島原発事故前を含めても前例がなく、まさに日本の原子力史上初の出来事だ。日本「脱原発」運動史に新たな1ページを刻むものといえる。

日本原子力発電(原電)は、日本で唯一の原発専門会社だ。敦賀原発1、2号機、東海原発、東海第2原発を持つ。このうち敦賀原発1号機、東海原発はすでに廃炉が決まっており、敦賀原発2号機が規制委の審査待ち、東海第2原発が審査を終え、再稼働に向けた地元自治体の同意待ちというのが現状だ。東海第2原発に対する地元自治体の同意が得られる見通しは立っていない。

所有する原発すべてが福島原発事故以降、停止したまま稼働の見込みもないのに原電が存続しているのは、電力会社が原電に対して拠出金を支払い続けているからである。その拠出金も、もちろん原資は私たちが払う電気料金だ。13年間、1ワットの発電もしていない原電のために、計り知れない額の電気料金が浪費されてきた。ウクライナ戦争以来、ただでさえ電気料金は高騰しているのに、こうした馬鹿げた浪費をいまだに続ける電力会社と原子力ムラ、そしてこうした「不都合な真実」から目を背け、いまだに原発が「最も安い電源」だというウソの宣伝を続ける政府、御用学者たちに、私たちはもっと怒るべきである。

国民生活のために1ミリの役にも立っていない、文字通り「穀潰しゾンビ会社」原電をどうするかは、遅かれ早かれ政治的課題となるだろう。私は、廃炉専門の国策企業という新たな役割の下、再出発させる以外にないと考えている。そのために、東海第2原発を再稼働させない闘いがますます重要になる。私もそのためにできることは何でもしたいと思っている。

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【管理人よりお知らせとお礼】目標額1000万円を達成しました。感謝!「ALPS処理汚染水を海に捨てないで!海洋投棄を止める活動にご支援を」クラウドファンディング

2024-07-18 23:36:22 | 原発問題/一般
当ブログでも呼びかけてきた「ALPS処理汚染水を海に捨てないで!海洋投棄を止める活動にご支援を」クラウドファンディングは、7/18(木)23:00に締め切られ、最終目標1000万円を達成しました。

汚染水放出を続ける政府・東京電力に、市民の反対の根強さを知らしめるという目的は十分果たせたと思います。

ご協力いただきました皆さんに、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。

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【管理人よりお知らせ】「ALPS処理汚染水を海に捨てないで!海洋投棄を止める活動にご支援を」クラウドファンディングが第1目標、500万円を突破しました

2024-06-22 11:06:36 | 原発問題/一般
管理人よりお知らせです。

当ブログでも呼びかけてきた「ALPS処理汚染水を海に捨てないで!海洋投棄を止める活動にご支援を」クラウドファンディングが、昨日、第1目標の500万円を突破しました。実施期間を27日間も残した時点での達成です。これまでのご支援に感謝申し上げます。

子ども甲状腺がん裁判を支援するためのクラウドファンディングも、目標額1000万円を早々に超え、最終的に1762万円を集めて原発事故への怒りの大きさを示しましたが、今回のクラウドファンディングの早々の達成からも、改めて原発事故と、傍若無人な原子力ムラへの強い怒りが示されました。大手メディアが最高裁ヒューマンチェーンについて一言も報道しなくても、原発事故は風化などしていませんし市民・被害者の怒りも収まっていません。

このクラウドファンディングは、第2目標800万円、最終目標1000万円に向け、7月18日(木)までの残り26日間(本日時点)、全力疾走を続けます。このクラウドファンディングの動きは、当然、政府、原子力ムラも注目しており、彼ら原発推進派に市民の怒りを見せつける必要があります。引き続き、友人・知人に拡散していただき、最終目標達成に向けたご支援をお願いします。

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6.17最高裁ヒューマンチェーン大成功! 今世紀最大の950人が「最低裁」を完全包囲

2024-06-20 21:24:47 | 原発問題/一般
13年以上経った今なお4万人近い人々が住み慣れたふるさとを追われ、呻吟している福島第1原発事故に関し、「国に責任はない」とした最高裁は、いまや最高裁判所などと呼ばれる資格はない。国民の利益を踏みにじり、政府・東京電力に擦り寄る「最低裁判所」だ。

6月27日に行われた「原発事故は国の責任 6・17判決を正す 司法の劣化を許さない最高裁共同行動」には950人が集まり、最高裁を完全包囲した。最高裁包囲行動は、これまでも労働運動などではしばしば行われてきているが、950人という人数を集めた事例は近年ない。最高裁前行動としては21世紀に入ってから最大の参加者数になった。

これだけの意義ある大行動なのに、朝日・毎日なども含め、大手全国紙は一切報道していない。伝えたのは地元メディアの福島中央テレビと市民メディアだけだ。その中からいくつかをご紹介したい。

原発事故は国の責任!最高裁を950人のヒューマンチェーン(レイバーネット日本)
瀬戸大作さんのスピーチ「原発事故は国の責任 6・17判決を正す 司法の劣化を許さない最高裁共同行動」(レイバーネット日本)

映像付きニュースはこちら。以下の映像・写真を見ると、最高裁が「完全包囲」されていることがわかる。

「原発事故は終わっていない」950人が裁判所前で抗議 国の責任否定、最高裁判決から2年 福島(TBS/テレビユー福島制作)
6・17最高裁共同行動 ヒューマンチェーン(福島・発チャンネル)




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【訃報】伴英幸さん(原子力資料情報室共同代表)死去 反原発運動に半生捧げる

2024-06-15 17:23:02 | 原発問題/一般
共同代表 伴英幸 逝去のお知らせ(原子力資料情報室公式ホームページ;2024年6月11日)

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伴英幸さん死去 72歳 原子力資料情報室の共同代表(毎日)

 脱原発の立場から国の原子力政策を批判、点検してきたNPO法人原子力資料情報室の伴英幸(ばん・ひでゆき)・共同代表(72)が10日、がんのため死去した。葬儀、告別式は近親者のみで営む。

 1951年生まれ、早稲田大卒。生活協同組合専従を経て、90年に原子力資料情報室のスタッフになり、95年に事務局長、98年から共同代表。

 原子力政策大綱を策定する原子力委員会の有識者会議の委員や、東京電力福島第1原発事故後に中長期のエネルギー政策を見直す経済産業省の有識者会議の委員を歴任。国の原子力政策に批判的な立場で発言を続けてきた。著書に「原子力政策大綱批判――策定会議の現場から」(七つ森書館)。
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伴英幸さんが遺したバトンとは…「脱原発社会」目指し対話続けた原子力資料情報室共同代表 悼む声が広がる(東京)

 脱原発の実現を訴える市民団体「原子力資料情報室」(東京)の共同代表、伴英幸(ばん・ひでゆき)さんが10日、亡くなった。72歳だった。チェルノブイリ原発事故をきっかけに、脱原発の運動に参加。経済産業省や国の原子力委員会の会合でも委員を務め、「原発推進」側とも粘り強く議論した。「こちら特報部」の取材にも丁寧に応じてくれた。その人柄と功績に関係者から悼む声が広がっている。(宮畑譲)

◆「政府と折り合いがつかない時も対話を」

 「温和な人だったが、内に熱いものを持っていた。あと5年は一緒に活動してもらえると思っていた」

 情報室事務局長の松久保肇さんが悔やむ。松久保さんによると、伴さんは今年3月に入っても講演活動をこなしていたが、腰痛を訴え、精密検査を受けたところ、がんが進行していることが発覚し、入院した。

 見舞いに訪れた松久保さんに、伴さんは「政府と折り合いがつかない時も対話は大事」「なるべく現場に通うように」と対話と現場の大切さを伝えたという。

◆チェルノブイリを契機に市民運動へ

 伴さんは旧ソ連ウクライナで1986年に起きたチェルノブイリ原発事故を契機に、脱原発の市民運動に参加し、90年に情報室のスタッフになった。情報室は75年、物理学者の高木仁三郎さん(故人)らが、市民の側から原子力に関する情報収集や調査・研究をしようと設立。伴さんは95年に事務局長、98年から共同代表に就いた。

 「高木さんが亡くなった2000年から11年3月11日の東京電力福島第1原発の事故まで、脱原発の市民運動や情報室にとっては厳しい時代だった。その時代に、しぶとくしなやかに運動をつないでこられた」

 NPO法人「環境エネルギー政策研究所」の飯田哲也所長は、そう功績を振り返り、伴さんがつないだバトンを受け継ぐ重要性を訴える。「高木さんの後を伴さんが埋めたように、これからみんなで何ができるのか。伴さんをイメージしながら次のステージをつくっていかなくてはいけない」

◆福島事故後の混乱に「灯台」の役割

 3.11直後、前例のない事故に日本中が混乱を極めた。東電と経産省原子力安全・保安院(現原子力規制委員会)の説明は難解。楽観的な見立てを語る専門家もいた。そんな中、情報室に取材が殺到した。飯田さんは「あの時、日本中のほとんどの人が何が起きているのか分からなかった。情報室と伴さんは『灯台』の役割を果たした」と評する。

 エネルギー政策を議論する総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の委員も務めた伴さんは、脱原発・反原発の強い思いを持ちながら、原発を推進する政府・国とも粘り強く「対話」をした。

◆いろんな人をつなげる人だった

 原子力市民委員会の座長を務める龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は「脱原発を目指す地域の人や研究者など、いろんな人をつなげる人だった。一方で、意見が違う政府とも話ができる。そんな人はなかなかいない。大きな存在を失った」と残念がる。

 ただ、大島さんは「松久保さんら若い世代が育った。これも伴さんがいたからだろう。彼らの個性、やり方で伴さんの意思は引き継がれていくと信じている」と強調する。

◆「このままではいけないと思ったはず」

 一方の政府は3.11から10年以上がたち、原発推進に回帰する。岸田文雄首相は昨年2月、原発の60年超運転や次世代型原発への建て替えを柱とする基本方針を閣議決定した。

 原発事故でもたらされた教訓はどこに行ってしまったのか。伴さんは18年、「こちら特報部」の取材にこう答えている。

 「3.11の直後に感じた原発への不安は拭われていない。誰もが、このままではいけないと思ったはずだ。その危機感をあらためて共有することから、脱原発社会は始まる」
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福島第1原発事故以降、当ブログの「ブックマーク」にもずっと登録したままになっている「原子力資料情報室」共同代表、伴英幸さんが死去した。私は直接の面識はなかったが、3月の入院後、がんが全身に転移し厳しい状態にあるとの情報は、反原発運動筋を通じて私も3月中には聞いていた。3.11以降の激務の中で、自分をいたわる時間はほとんど取れなかったのではないだろうか。

「福島事故後の混乱に「灯台」の役割」という東京新聞記事は、まさに3.11直後の空気を誤りなく表現している。電力業界からのおびただしい広告収入と、電通による支配が行き届いた商業メディアはこの未曾有の事態に当たっても福島の危険性をまったく報じなかった。当時、私が住んでいた福島県西郷村でも震度6強の強い揺れを記録。一時的に停電したが、数時間後、停電から復旧し使えるようになったネットで頼りにしたのが、原子力資料情報室の記者会見動画だった。会見は毎日、また福島第1原発に大きな動きがあったときは1日複数回、行われることもあった。

私たち夫婦が、福島から関西方面へ、1ヶ月にわたる避難を決断できたのも、原子力資料情報室の会見を随時チェックしていたからである。これがなければ、福島の危険に気づかず、避難を決断することはできなかったに違いない。福島第1原発からの放射能の流出は、3月12~13日頃と3月15~16日頃に大きなピークがあった。この時期に福島を離れていたことは、私たちが無用の被ばくから身を守ることにつながった。

政府から原子力関係の委員会・審議会などの就任依頼があれば積極的に引き受けた。通常、国のこの種の委員会・審議会は15人くらいの委員で構成されるが、反対派は1~2人のことが多く、しょせんは「反対派の意見も聞いた」というアリバイ作り、セレモニーに過ぎない。「多勢に無勢」の中で折れずに自分の主張を貫き通すにはかなりの覚悟を必要とする。「負け戦」とわかっていて、脱原発実現のために原発推進派と対話をし続けるのは並大抵のメンタルではできない。

加えて、この種の委員に反対派から就任する人にはもうひとつ、超えなければならない「壁」がある。それは仲間からの「裏切り」批判だ。「負け戦」とわかっていても、あえて反対派から委員が就任するのにはいくつかの大きな理由がある。①委員会・審議会の議事録として国の公文書に原子力政策への反対意見を残すことができる ②将来、国が政策転換をするときのために重要な政治的・社会的・経済的・技術的知見を提供する--などである。こうした意義を理解し、かつメンタルが強く、覚悟も持っている人が反対派から委員となるが、この種の人に対しては、一緒に反対運動をしてきた仲間から「あいつは権力・政府に取り込まれた」「裏切り・寝返り」などと批判されることがある。献身的に頑張ってきた運動家が、この手の「裏切り」批判で潰されていった実例(原子力と別の分野だが)を私は知っている。

そのような事情から、反対派でこのような委員を務めてもいいという人はごく限られていて、伴さんのような人は結果的にいくつもの委員を掛け持ちすることになる。孤軍奮闘できる人、仲間も一目置き、「裏切り・寝返り」批判が起きない程度には反対運動内部で実績を積んでいる人であることが求められる。伴さんはそんな希有な人材だった。

放射性物質の性質など技術的なことはもとより、放射能の健康への影響、核ごみ問題、原発の安全性や経済性、海外の原子力政策の動向など、原子力に関するあらゆる分野に精通し、適時適切な批判を行うことができるという意味では他の追随を許さなかった。私が反原発運動団体の役員にも就いていないのに、各地で講演ができるほど「兵隊として最強」になれたのは原子力資料情報室によるところが大きい。原子力資料情報室以外にも反原発運動団体はあるが、「たんぽぽ舎」が現場行動重視なのに対し、原子力資料情報室は理論・政策面に強く、またFoE Japanはグローバルな視野を持ち海外とつながっているなど、各団体にはそれぞれの特徴がある。

72歳はあまりに若く、松久保さんは「あと5年頑張ってほしかった」と述べているが、私はあと10年頑張っていただきたかったと思う。それでも福島第1原発事故から13年、後進は全国各地に育ってきている。確かに反原発運動にとって、巨大な支柱が折れたような喪失感はある。高木仁三郎の最後の言葉「せめてプルトニウム最後の日くらいは生きているうちに見たかった」との思いは伴さんの胸にも去来していただろう。その思いは私たちが引き継ぎ実現していかなければならない。

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原発関係 各種行動にご参加ください!

2024-06-12 21:16:16 | 原発問題/一般
管理人よりお知らせです。

直前のご案内になりますが、原発裁判関係で以下の行動があります。ぜひご参加ください。

【福島地裁・6月13日(木)】ALPS処理汚染水差止訴訟・第2回口頭弁論

13:00  福島地裁前集会
13:30頃 傍聴整理券配布(見込み)
14:30  開廷(~16:00頃 閉廷見込み)
※傍聴されない方、傍聴抽選に外れた方は14時30分からの並行集会にご参加ください。
 とうほう・みんなの文化センター(福島県文化センター)小ホールに移動
14:30  裁判並行集会 開会
16:30頃 裁判報告&記者会見開会 予定
※裁判終了時刻が未定のため、開始時刻が前後する場合があります。
17:30頃 閉会

裁判報告会のみYoutube「福島・発チャンネル」でライブ配信します。
※地裁前集会、並行集会はライブ配信しません。

【東京・最高裁・6月17日(月)】原発事故は国の責任 6・17判決を正す 司法の劣化を許さない最高裁共同行動(最高裁前&衆議院第一議員会館)
 
最高裁は人権を守っているか。裁判官の良心と独立、三権分立は保たれているか・・・いま、最高裁を頂点とする司法の現状を憂う声が全国に満ちています。

2年前、福島第一原発事故に対する国の責任を否定し、原発回帰政策を下支えする最高裁第2小法廷判決が出された6月17日、最高裁に係る訴訟関係当事者をはじめ、多くの市民が結集してこの声を届けましょう。

日時:6月17日(月)
場所:衆議院第一議員会館大会議室

【プログラム】
10時30分~最高裁請願行動
12時~  最高裁判所を取り囲むヒューマンチェーン
14時30分~報告集会&シンポジウム 
登壇者:大島堅一さん(龍谷大学教授)、樋口英明さん(元裁判官)、後藤秀典さん(ジャーナリスト)、長谷川公一さん(東北大学名誉教授)、黒澤弁護士

呼びかけ:6・17最高裁共同行動実行委員会
連絡先:03-6380-5442(斎藤)  iwakisimin@outlook.jp

古いですが、大変参考になる映画です。

映画「日独裁判官物語」1999年制作(制作・普及100人委員会)


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【管理人よりお知らせ】「ALPS処理汚染水を海に捨てないで!海洋投棄を止める活動にご支援を」クラウドファンディングにご協力下さい

2024-05-26 10:58:37 | 原発問題/一般
管理人よりお知らせです。

「ALPS処理汚染水の海洋放出を差し止める会」によるクラウドファンディング「ALPS処理汚染水を海に捨てないで!海洋投棄を止める活動にご支援を」が5月20日から始まりました。

活動目的はリンク先の呼びかけ文の通りです。呼びかけ文には「いくら薄めても、海に捨てられる量は変わりません。また、最終的にどれだけの量の放射性物質を海に流すことになるのかは、政府も東京電力も発表していません。」とあります。これに関しては、当ブログ2021年11月22日付記事「「スプーンおじさん」にご用心! 面白くてためになる「希釈」と「濃縮」のお話」で詳しく解説していますので改めてお読み下さい。

目標金額はクラウドファンディング成立のための第1次が500万円、最終目標は1000万円です。実施期間は開始から60日間(本記事掲載時点で残り53日間)です。本記事執筆時点で116万円が集まっていますがまだまだ足りません。

支援金の使用目的は「海洋投棄による環境・健康・漁業・国際関係等への影響について、専門家に調査・研究を委託し、その調査結果や関係者の声などを広く知らせ、問題提起する活動」のためです。ぜひリンク先に飛んでいただきご支援をお願いします。

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被害者切り捨てでつながる「水俣」と「福島」~水俣病患者説明会「マイク切り事件」で見えた環境行政の冷酷非道

2024-05-22 18:51:37 | 原発問題/一般
(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」に寄稿した内容をそのまま転載したものです。)

 ●環境省きっての冷酷非道な「独裁官僚」

 5月1日、熊本県水俣市で開催された伊藤信太郎環境相と水俣病の被害者団体などとの懇談会で、水俣病患者が発言中にもかかわらず、制限時間3分が経過したことを理由に環境省側がマイクの電源を切った問題は、被害者のみならず世論の広範な怒りを引き起こしている。この「マイク切り事件」をめぐって驚くべき事実が判明した。

 当日、説明会で進行役を務めたのは、環境省大臣官房環境保健部企画課特殊疾病対策室の木内哲平室長である。環境省組織規則によると、特殊疾病対策室は公害健康被害の認定・補償給付、予防、公害保健福祉事業の他、水俣病に対する業務を担当する部門である。木内室長は、懇談会終了後に来場者から上がった「マイクの電源を切ったのか」との質問には直接答えず「事務局の不手際」としたが、このことも環境省への反発をさらに拡大することになった。この木内氏、一体どういう人物なのか。

 同じ環境保健部企画課に、アスベスト被害を担当する石綿健康被害対策室がある。木内氏がここの室長を務めていた昨年7月、患者団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」が「木内室長の着任以来、異質な事務局運営」をされてきたとして、抗議文をホームページで公開する事態になっている。環境省に設置された中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会の席上、患者と家族の会メンバーが修正意見を述べたにもかかわらず、それらの意見が「事務局で全く検討されず、議事録も公開されていない」として「木内哲平室長をはじめとする事務局の運営姿勢、およびそれを承認した小委員会の浅野直人委員長の判断に対し、強い憤りを持って抗議」するとの声明を発表している。

 声明全文は現在も「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」ホームページで読むことができる。木内氏は今回の件に限らず、環境省歴代担当者が曲がりなりにも続けてきた「公害病患者に一定程度寄り添う姿勢」を各分野で次々に壊し、患者の意見を恒常的に無視して人権蹂躙を続けてきた「独裁官僚」なのだ!

 ●木内氏の上司は「福島」切り捨てに!

 驚くべき事実をもうひとつ指摘しておこう。現在、木内氏の上司に当たる環境省大臣官房環境保健部長の職にあるのが神ノ田昌博氏だ。ほとんど知られていないが、神ノ田氏は福島第1原発事故と甲状腺がんの関係について調査する福島「県民健康調査検討委員会」(以下「検討委員会」)の委員を務める。

 5月10日、福島市内で開催された検討委員会では、5巡目の検査を受けた対象者のうち2人が新たに甲状腺がんの疑いと公表された。これまでに、悪性疑いと診断された子どもは330人となり、がん登録で把握された2018年までの集計外の患者43人をあわせると、事故当時、福島県内に居住していた18歳以下の子どもの甲状腺がんは372人に上る。通常、子どもの甲状腺がんは100万人に1人といわれる中、福島県内の発生率は、1巡目受診者300,472人に対し「がん」102人、5巡目でも113,950人の受診者に対し「がん」36人と明らかに異常な水準だが、原発事故との因果関係を認めてこなかったこれまでの検討委員会の姿勢に変化の兆しは見られない。

 甲状腺がんをめぐっては2022年1月、事故当時6~17歳だった若者6人が東京電力に賠償を求めて提訴している(その後、原告は1人増え現在7人)。患者がこうした裁判に訴えざるを得ないのも検討委員会の頑なな姿勢が原因だ。水俣病患者との懇談会で「マイク切り」を行う官僚の上司に当たる人物が検討委員会委員に送り込まれている人事を見ると、原発事故での健康被害をめぐるこのような冷酷非道な環境行政も環境省主導で進められているとの疑念を持たざるを得ない。

 神ノ田氏が甲状腺検査の縮小を主張してきたことを問題視した福島県の母親らが「被害者救済とは正反対の姿勢」だとして神ノ田氏の委員辞任を求める要望書を5月10日、検討委員会開催に合わせて重富秀一座長に提出している。「マイク切り事件」は単なる木内氏の個人的暴走などではなく、最近の環境省による「組織ぐるみの患者無視、人権蹂躙」を象徴する事件といえる。3.11を福島県で迎え、いつ健康被害が起きるかと怯えながら日々を生きなければならない元福島県民のひとりとして、私もあらん限りの怒りをもってこの「犯罪官庁=環境省」を告発したいと思う。

<参考資料・記事>
環境省「マイク切り」司会の慶大医学部卒の官僚にも視線 前任「石綿被害」対策でも患者団体抗議(2024.5.9付け「日刊スポーツ」)  

中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会 「石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性について」 取りまとめ報告書の撤回と見直しに関する緊急要求および抗議声明(「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」ホームページ)

「県民健康調査」検討委員会 委員名簿(福島県ホームページ)

福島県民が環境保健部長の退任要求〜福島県・検討委員会(OurPlanet-TV)

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