安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

令和の米騒動は必ず再発する! しかも、それは早ければ4月には始まる

2025-02-19 22:37:14 | 農業・農政

これを書くのは正直、怖い気もしますが、国民的関心事なので思い切って書くことにします。

農水省が毎月、公表している「民間在庫の推移(速報)」を見て、私は愕然としました。連日、米不足問題が報道されていますが、事態はそれよりもずっと深刻です。

この数字を見た上で、私は今後の展開を以下の通りになると予測します。

・スーパー、米穀店の店頭で「お1人様5kg1袋限り」等の購入数量制限が始まる時期・・・早ければ4月上旬、遅くとも4月中
・店頭からお米が消え始める時期・・・早ければ大型連休前、遅くとも5月中
・お米が完全に姿を消す時期・・・早ければ5月末、遅くとも6月中

8月になって騒ぎが始まった昨年より1か月半程度早く、今年は事態が進行すると予測します。このように考える根拠は、以下の通りです。

●上記「民間在庫の推移(速報)」から見えることは・・・

そもそも、農業問題に少しでも知識がある人であれば、往時より少なくなったとはいえ、現在も年に700万トン程度、米が獲れているという基本的数字が頭に入っていると思います。この収穫量からすると、収穫直後の11~12月でも民間在庫が300万トン程度というのは、半分弱にしか過ぎません。私が最初この数字を見たとき、あまりに少なすぎて何を意味しているのかわかりませんでした。

しかし、表の欄外に「注」として「2 出荷段階は、全農、道県経済連、県単一農協、道県出荷団体(年間の玄米仕入数量が5,000トン以上)、出荷業者(年間の玄米仕入量が500トン以上)である」「3 販売段階は、米穀の販売の事業を行う者(年間の玄米仕入量が4,000トン以上)である」と記載されているのを見たとき、すべての謎が解けました。

この表に掲載されているのは、平たくいえば、食糧管理制度(食管制度)があった時代(1995年以前)に、正規米である「自主流通米」の政府指定集荷団体として認められていた2団体--「農協」と「全集連」(全国主食集荷協同組合連合会及びその加盟集荷業者)が集荷できた量だけです。逆に言えば、農協・全集連を通すことなく出荷された米は、この表には含まれていないということです。

食管制度解体から今年でちょうど30年になりますが、農協・全集連が集荷できているのは、全収穫量の半分弱に過ぎないということが、このデータから見えてきます。

日本の米の年間収穫量は、上でも述べたとおり、ここ数年は700万トン程度で、需給はほぼ均衡しており、いわれているほどの「米余り」は実際には起きていませんでした。計算の便宜上、年720万トン収穫できているとすると、1か月に60万トン消費されていることになります。

つまり、上記「民間在庫の推移(速報)」は、流通量だけでなく、消費量の面でも実勢の半分しか反映していないことになります。農協、全集連が集荷できた年300万トンの米が、月に20万~30万トン程度消費されているということを示した表に過ぎません。

残りの半分は、大きく分けると大口需要者(外食産業など)による直接買い付け、農協・全集連以外の流通業者による集荷分、そして産直などの小口需要ということになります。これら(産直除く)は外食産業に回るほか、病院・学校給食や、いわゆる「中食(なかしょく)」にも回ります。

中食とは、外食と家庭「内食」の中間的形態で、具体的には弁当・総菜を指します。作って食べるまですべてが家庭内である「内食」と、作って食べるまですべてが家庭外である「外食」の中間的形態(作るのは「外」、食べるのは「中」)なので、このように呼ばれるわけです。

これら外食・中食によって米の半分が消費されており、実は、この分野が伸びているため、お米の消費量は言われているほど減っていません。減っているのは家庭で炊飯器で炊いて食べる米だけですが、この分は農協・全集連が多くを扱ってきたため、上記「民間在庫の推移(速報)」では減っているように見えるのです。

●日本では、ウクライナ戦争開始後、農協・全集連が集荷量を大きく減らした

上記「民間在庫の推移(速報)」資料から、クリアに見える点がもう1つあります。近年、秋の収穫期直後の11~12月時点で、おおむね300万トン台で安定していた流通量が、令和4/5年度(2022~2023年度)を境に大きく減少していることです。

この年に起きた大きな出来事といえば、ウクライナ戦争です。同時に、燃料費、資材費の大幅な値上がりが始まりました。この値上がりに耐えきれず、多くの農家が離農したことが、この表から見えてきます。

米生産量全体としても、670~680万トン程度に減っていますが、この減少分(マイナス30~40万トン)が、「民間在庫の推移(速報)」における減少幅とほぼ一致しています。「民間在庫の推移(速報)」は農協、全集連が集荷した米だけを対象にした統計なので、「ウクライナ戦争後の燃料・資材費の値上がりに耐えきれずに離農した農家のほとんどが、農協・全集連に出荷していた農家だった」ことが見えてきます。

●結論=ウクライナ戦争を契機に起きた農協の集荷力の低下が「一般家庭」を直撃した

離農した農家のほとんどが農協・全集連に出荷していた農家に集中していたという私の推測通りだとすると、次のような結論が導き出されます。つまり、ウクライナ戦争後に急騰した燃料・資材費の価格転嫁を、農協・全集連が認めなかったのに対し、それ以外の流通業者は認めた可能性が高いということです。

この結果、農協・全集連に出荷していた農家の多くが農業に希望を失って離農するか、「燃料・資材費の値上がりを加味して買い取り価格を上げてやるから、うちに売ってくれないか」と囁く農協・全集連以外の流通業者に出荷先を切り替えるかのいずれかを選んだと考えられます。こうして、流通量減少の影響が外食、中食には及ばず、農協・全集連が集荷した米を取り扱っているスーパー・米穀店だけを直撃したのです。

元々このような状態がベースにあるところに、「民間在庫の推移(速報)」に戻ると、令和6~7年(2024~2025年)は、令和5~6年(2023~2024年)に比べて、前年同月時点での流通量が、さらに39~50万トンも少なく推移しています。1か月の米消費量が60万トン(うち、一般家庭消費分が半分の30万トン)であることを考えると、平均で1.5か月分に相当します。つまり、昨年は8月に始まった米騒動は、今年は1か月半早まり、6月中旬には始まることになります。

一般家庭で消費されている米(=外食、中食除く)が月に30万トンであることから考えると、21万トンの備蓄米放出くらいではまったく足りません。「令和の米騒動第2弾」の始まる時期を、半月~20日程度遅らせるのが精いっぱいでしょう。備蓄米21万トンを放出しても、令和の米騒動第2弾は、7月上旬までには始まると考えられます。

今後、「米を隠し、売り惜しむ米穀業者」というストーリーで、マスコミによる米穀業者バッシングが激化すると思います。ですが、彼らの名誉のために述べておくと、米穀業者が保管している米は、外食産業など「すでに買い手がついている、売約済のもの」がほとんどであり、いわゆる「売り惜しみ」ではありません。もちろん売約済ですので、外食産業には契約通りの価格で出荷されることになるでしょう。

石破政権は、参院選後まで米不足を繰り延べできるとの腹づもりのようですが、おそらくその当ては外れます。参院選がまさに公示され、運動期間に入る頃に米が完全に消えるという、石破政権的には最悪のシナリオになる可能性が強まってきました。

米不足が原因で、この夏、自公政権が倒れることになるかもしれません。野党もまとまれずバラバラですが、「バラバラなりに非自民政権が成立」した1993年の再来は、十分あり得ます。思えばこのときも、時期を同じくして「平成の米騒動」がありました。やはり歴史は繰り返しているというのが、私の感想です。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【管理人よりお知らせ】カテ... | トップ |   

農業・農政」カテゴリの最新記事