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「JR北海道の安全問題、ローカル線問題及びリニア中央新幹線に関する質問主意書」に対する政府答弁書

2014-11-30 22:06:09 | 鉄道・公共交通/安全問題
当研究会が、山本太郎参議院議員を通じて提出した「JR北海道の安全問題、ローカル線問題及びリニア中央新幹線に関する質問主意書」に対する政府答弁書が決定されたのでお知らせします。

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答弁書


答弁書第七四号

内閣参質一八七第七四号
  平成二十六年十一月二十一日

内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員山本太郎君提出JR北海道の安全問題、ローカル線問題及びリニア中央新幹線に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員山本太郎君提出JR北海道の安全問題、ローカル線問題及びリニア中央新幹線に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 国土交通省としては、平成二十六年一月二十四日に鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)第二十三条第一項及び旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和六十一年法律第八十八号。以下「JR会社法」という。)第十三条第二項の規定に基づき国土交通大臣が発出した「輸送の安全に関する事業改善命令及び事業の適切かつ健全な運営に関する監督命令」(以下「命令」という。)を受け、北海道旅客鉄道株式会社(以下「JR北海道」という。)において策定され、同大臣に報告された命令別添別紙2「第一歩の改善」についての措置を講ずるための計画は、基本的に命令の内容を踏まえたものであると認識しており、当該計画の実施状況についても、JR北海道からの定期的な報告、五年程度の常設の監査体制等により、適切に把握することとしている。

三について

 お尋ねの点については、鉄道事業等監査規則(昭和六十二年運輸省令第十二号)第七条第二項の規定に基づき平成二十五年九月から平成二十六年一月までの間にJR北海道に対して実施した保安監査(同規則第三条第一号に規定する保安監査をいう。)の中で、事実関係の確認を行った。JR北海道からは、検査データの改ざんに係る具体的内容に関する資料は残っておらず、詳細については不明である旨の回答を得ている。

四について

 国土交通省としては、JR北海道が、輸送の安全の確保を前提としながら、経営基盤の確立を図ることが必要であると考えており、このため、JR北海道に対して、JR会社法第十二条第一項に規定する経営安定基金の設置に加え、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律(平成十年法律第百三十六号)附則第四条及び第五条の規定に基づき、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。)を通じ、老朽化した施設の更新等のため、平成二十三年度からの十年間で総額六百億円の助成金の交付等の支援を行っているところである。

 また、同省は、JR北海道に対し、命令において、安全確保のため必要な設備投資を早急に行うため、安全投資と修繕に関する五年間の計画の策定及び機構からの助成金等の活用の前倒しの検討を命じたところであり、同省としては、当該計画の実施状況を把握し、適切に対処してまいりたい。

五について

 鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成十三年国土交通省令第百五十一号)等において規定されている鉄道車両の定期検査の周期は、技術の進展等を背景として、走行試験、外部有識者による検討等を踏まえて定めており、適切なものであると考えている。

 なお、御指摘のトラブルの原因については、JR北海道より、第三者も交えた検証の結果、エンジンの構造上の問題と特定されたとの報告があったところである。

六について

 御指摘の「交通権」の意味するところが明らかではないが、鉄道軌道整備法(昭和二十八年法律第百六十九号)に基づく災害復旧事業費補助については、同法第八条第四項において「鉄道事業者がその資力のみによつては当該災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるときは・・・補助することができる」と規定されており、これを踏まえ、鉄道軌道整備法施行規則(昭和二十八年運輸省令第八十一号)第十五条の三第三項第三号イにおいては「三年間・・・における各年度の鉄道事業の損益計算において経常損失若しくは営業損失を生じていること」、同号ロにおいては「基準期間における各年度の鉄道事業者が経営するすべての事業・・・の損益計算において経常損失若しくは営業損失を生じていること」等が規定されているところであり、経営の厳しい鉄道事業者が対象となっている。

 地域の鉄道の復旧については、基本的には事業主体である鉄道事業者が、地方公共団体等と議論しながら対応していく必要があると考えている。また、鉄道を含む地域の公共交通については、交通政策基本法(平成二十五年法律第九十二号)及び地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成十九年法律第五十九号)において、地方公共団体は、地域の諸条件に応じた施策を実施し、地域公共交通の活性化や再生に主体的に取り組むよう努めること、国は、交通に関する施策の総合的な策定及び実施や情報提供等に取り組むよう努めること等が定められている。

 このような見地から、地域の公共交通が確保されるよう適切に対処してまいりたい。

七について

 中央新幹線(東京都・名古屋市間)の環境影響評価については、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)に従い、平成二十六年四月二十三日に東海旅客鉄道株式会社(以下「JR東海」という。)から送付された「中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価書」(以下「環境影響評価書」という。)について、環境大臣は同年六月五日に意見を述べ、国土交通大臣は、当該意見を勘案し、同年七月十八日にJR東海に対し意見を述べた。この意見を受けて、JR東海は同年八月二十六日に補正を行った環境影響評価書を同大臣に送付した。同大臣は、当該補正後の環境影響評価書の記載事項及び同年七月十八日に述べた同大臣意見に基づいて、中央新幹線(品川・名古屋間)の建設の事業につき、環境の保全についての適正な配慮がなされるものであるかどうか等を審査し、同年十月十七日に工事実施計画を認可したものである。

八について

 御指摘の「リニア中央新幹線建設費として九兆円を見込んでいる」の意味するところが明らかではないが、中央新幹線(東京都・大阪市間)の工事費については、全国新幹線鉄道整備法(昭和四十五年法律第七十一号。以下「全幹法」という。)第五条第一項の規定に基づき、国土交通大臣は、機構及びJR東海に対し、建設に要する費用に関する事項等の調査を指示し、両者は、「中央新幹線(東京都・大阪市間)調査報告書」において、南アルプスルートの場合の建設に要する費用を九兆三百億円と報告した。これを受けて、全幹法第十四条の二の規定に基づき、同大臣は交通政策審議会に諮問し、同審議会における審議を経て、同大臣は、全幹法第七条第一項の規定に基づき、建設に要する費用の概算額九兆三百億円を含む「中央新幹線の建設に関する整備計画」を決定したものである。

 なお、中央新幹線(東京都・大阪市間)の工事費については、今後、平成二十六年十月十七日に認可した工事実施計画の区間以外の区間に係る環境影響評価を行い、その結果を踏まえ、JR東海による工事実施計画の認可申請の段階で精査されるものと考えている。

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