
管理人よりお知らせです。
3月11日、関西電力本店前で「老朽原発うごかすな!上関に使用済み核燃料を押しつけるな!311関電本店抗議行動」が行われますので、お知らせします。この集会に向け、私から以下のとおりメッセージを出しましたのでご紹介します。
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関電前行動に参加のみなさん、こんにちは。3.11福島原発事故当時、福島県西郷村に住んでいた元県民の1人としてメッセージを送ります。
国が、2月に正式決定した新しいエネルギー基本計画で、「原発依存度をできる限り低減」するとの文言が削られ、原発「最大限活用」の方針に転換したことは、今なお続く原発被害も、事故の教訓そのものもなかったことにするものであり許すことはできません。国が何度口先だけの「反省」を基本計画に書き込んでも、心の痛みは消えることがありません。
東京電力旧経営陣が強制起訴された「東電刑事裁判」で、3月5日、最高裁は武藤栄、武黒一郎の2人の元副社長を無罪とする決定をしました。日本の歴史上最大最悪となった原発事故でさえ、刑事責任を誰ひとり問われないことが確定したのです。もはや日本で企業犯罪の責任は、社会が滅亡してからでないと問えないとでもいうのでしょうか。苦痛の中で14年を過ごしてきた元福島県民として、認めることはできません。
原発でいったん巨大な事故が起きると、国も原子力ムラも誰ひとり責任を取ることができないし、取る気もないという事実が改めて突きつけられています。刑事裁判の1審、東京地裁判決も旧経営陣を無罪にしましたが、一方で裁判長は「原発事故の安全対策に完全はない。事故を防止したいなら、その方法は原発停止しかない」とわざわざ判決文で言及しているのです。だったらみなさんの力で止めようではありませんか!
福島原発告訴団を2012年6月に結成し、旧経営陣を刑事告発しました。強制起訴が決まったのが2015年7月。そこから10年近くにわたる長い刑事裁判は、多くの成果を残しました。(1)政府、国会、東電、民間の4つの事故調査委員会がまとめた報告書をすべて合わせたよりも多くの事実、証拠を明らかにできたこと、(2)「賠償金目当て」などとバッシングされることを恐れて、民事訴訟に踏み切れなかった多くの福島県民の共感も得て、政治的立場の違いを超えた大きな闘いとなったこと、(3)他の民事訴訟との共同を作り出す中から、最高裁の堕落・腐敗の実態を明らかにできたこと――などです。
多くの最高裁判事が東京電力と密接な関係にあることが暴露され、最高裁の権威は完全に失墜しました。昨年の最高裁裁判官国民審査では、有権者から10%を超える罷免賛成率を突きつけられる裁判官が20年ぶりに出るなど、裁判所は市民の大きな不信を招いています。一方で、私たちが何も悪いことをしていないという事実は無罪判決であっても変わりません。旧経営陣を有罪にすることはできなかったため、勝利と評価するのは控えたいと思いますが、相対的には勝利と見ることもできるかもしれません。
この3月、私の地元の「北海道新聞」は初めて原発事故と甲状腺がんの関係に言及する記事を掲載しました。歩みは遅くても、時代を進歩させるのは私たち市民の力です。それを信じて、脱原発社会の実現のために進んでいきましょう。