安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
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【金曜恒例】反原発北海道庁前行動(通算327回目)でのスピーチ/電力自由化に起きている異変

2019-03-01 22:57:59 | 原発問題/一般
 皆さんお疲れさまです。今日は、電力自由化に異変が起き始めているというお話です。

 昨年秋に、大手新電力のF-Powerが北海道から撤退するというニュースが流れたことをご記憶の方も多いと思いますが、その後も大手新電力各社が主に企業向けの高圧契約から撤退を始めています。これらは、2016年春に自由化になった一般家庭用の低圧電力ではなく、それ以前から自由化していた部門です。その高圧部門で今、新電力の撤退が相次いでいるのです。すでに、電力を購入する道内の官公庁や企業で、入札や見積もり合わせをしても北海道電力以外にどこも来ないという状況になりつつあります。

 このような事態を引き起こしている原因に、電力市場における価格の高止まりがあります。日本における唯一の電力市場である一般社団法人日本卸電力取引所のレポートによれば、北海道における電力取引単価は最も安い九州の2倍近くになることがあり、例えば2018年12月1日12時現在における北海道の電力取引単価は1kwh当たり12.45円で、6.62円だった九州の2倍近くになっています。瞬間的には1kwh当たり14.99円を記録したこともあるほどです。

 北電が標準的な契約条件を定めたものとして経産省から認可されている約款では、企業の多くが契約している高圧電力の1kwh当たり単価は18.12円となっています。もちろん、自前で発電所を持っている北電と、電力取引所で電力を調達しなければならない新電力を単純に比較することはできませんが、電力会社にとっては電力の市場調達原価だけがコストではないということを考えると、今の電力取引所における北海道の電力市場価格は北電でさえ利益を出すのが難しい水準にあると言えるでしょう。北電よりはるかに経営基盤が脆弱な新電力が北海道から逃げ出すのも無理はありません。そして、高圧電力で起きていることが一般家庭用の低圧電力で起きないという保証はどこにもありません。なぜなら市場で取引されている電力は高圧、低圧という区別をしているわけではないからです。このままでは、自前の発電所を持っている北海道ガス、採算を度外視して脱原発という理念のためにやっているコープさっぽろを除き、新電力は北海道からすべていなくなってしまうことになりかねません。

 なぜこんなことになってしまったのでしょうか。言うまでもありませんが、これは国の失策です。本州と北海道とを結ぶ電力線、北本連系線の増強を怠ってきたこと、狭い日本の国土の中で、50Hzと60Hzの2つの周波数を統一もせず放置してきたことです。資源エネルギー庁の資料を見ると、電力は首都圏、東北、北海道の50Hz地域では需給が厳しく、逆に東海地方より西の60Hz地域で需給に余裕があることも示されています。東日本全域で電力に余裕がなく、その中でも本州と陸続きでない北海道が北本連系線が貧弱なために最も需給が厳しいという結果になっているのです。昨年9月、北海道胆振東部地震による大停電は、起こるべくして起きた出来事だったということがわかります。そして北海道だけが、九州の2倍もする高い電力を買わされている。北海道の運賃が本州より高いJRと同じ構造が電力でも起きています。

 解決策は、北本連系線の増強をすることももちろんですが、電力の地産地消を進めることだと思います。津軽海峡を通す必要がなくなれば、電力需給も安定するでしょう。農村地帯の十勝管内など、バイオマス発電をやろうと思えばいくらでもできる、再生エネルギーをやりたい人がたくさんいる。札幌以外に目を転じると、そんな地域は道内にいくらでもあります。なぜこんなに豊富な資源を道民が使えず、北電から高い電力を買わなければならないのでしょうか。電力政策の矛盾が爆発しているのがここ北海道です。そして、矛盾しているからこそ電力政策の根本的転換を北海道から始めていく必要があります。

 福島の惨事からまもなく8年。今こそ電力政策の転換を北海道から実現していきましょう。

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