人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

東電刑事裁判当日の東京高裁前スピーチ

2022-02-11 23:24:56 | 原発問題/福島原発事故刑事訴訟
東電刑事訴訟の当日は、裁判所前で支援者によるリレースピーチを行うのが恒例になっている。今回は新型コロナ再拡大のため前回(昨年11月)のようなヒューマンチェーン(人間の鎖)行動は中止されたが、リレースピーチは行われた。当ブログ管理人のスピーチを紹介する。

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 みなさん、朝早くからお疲れ様です。私は今日、北海道千歳市から参りました。2013年3月まで、原発事故を挟んで6年間、福島県西郷村で過ごしました。

 つい最近ですが、2月6日の日曜日、私は、関西の人たちの主催するZoomお話会に呼んでいただく機会があり、3.11当時のこと、原発事故から10年を過ぎた日本社会で何が最も変わり、また、変わらなかったのかを含め、お話しさせていただきました。

 原発事故以降、最も変わったのは国民世論です。7割の人が原発に反対するようになりました。少し変わるか、または変わる兆しが見えているのが民間企業・団体です。多くの企業が環境を意識し、再生エネルギーなどに取り組むようになってきました。逆に、最も変わっていないのが行政と国会です。行政に至ってはむしろ劣化し、ますます命を軽んじるようになってきたと思います。

 司法・行政・立法の三権のうち、最も変わったのは司法だと思います。原発事故後は原子炉の運転差し止めや、国の責任を認めた賠償判決が次々に出るようになりました。本当に大きな変化です。日本に初めて原子力の灯がともってから3.11原発事故までの40年間で、住民側が勝訴した判決はたった2件しかありませんでした。もんじゅの差し止め判決、そして2006年に北陸電力志賀原発の差し止めを命じた判決の2つだけです。そして、この判決を金沢地裁で書いたのが、当時の井戸謙一裁判官でした。井戸裁判官は、退官後は弁護士となり、今回、勇気をふるって6人の若者が立ち上がった甲状腺がん裁判の弁護団長をお務めになっています。このように、個別の闘いのように見えるものも、大きな流れで見ればつながっているのです。

 6人の若者たちは、11年もの長きにわたって事故と病気の関係を誰にも相談できないまま苦しんできました。原発をカネのために誘致した結果としての事故による苦しみ、病気による苦しみに加え、私たち大人は、未来ある若者たちに抑圧と沈黙を強いるという、3つ目の罪を犯したのです。私は大人の1人として、この罪に胸を締め付けられます。

 今日のこの刑事裁判は現場検証と証人尋問が実現するかどうかが最大の山場です。若者たちが病気で苦しんでいるのに救済されないのは、責任者である東京電力を処罰できていないからです。苦しんでいる人がいるということは、そこに苦しめている人と、苦しめる原因となっている「現場」があるはずです。その現場を裁判所が検証しない、証人の証言も聞かないなどということがあってはなりません。その正義を実現するために私はわざわざ駆け付けています。みなさん、ともに頑張りましょう。

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