(1)安倍総理は、先の国会を「成長戦略国会」と名づけた。
が、中身は完全に空っぽ。「改革」という名のバラマキだけが目立つ。
(2)政権発足と童子に、大々的に打ち出されたのはアベノミクス。その第三の矢となる「成長戦略」を策定するために、規制改革会議や産業競争力会議が設置された。
が、完全に失速。6月の成長戦略の目玉は、無惨な結果で終わった。医薬品のネット販売全面解禁の「口約束」だけだった。
(3)市場は、さすがに失望した。総理の発表会見中に株価大暴落という大失態となった。
狼狽した官邸が慌てて打ち出した戦略は、先延ばし作戦だった。「秋に思い切った成長戦略をだす」・・・・
しかし、今秋の「成長戦略国会」では、
(a)6月に全面解禁が約束されていた医薬品のネット販売の議論が蒸し返され、
(b)しかも、全面解禁どころか、現状より規制を強化する、というオチがついて終わった。
(4)マスコミを騙して「戦後農政の大転換」と見出しを付けさせた「減反廃止」も、実質的な減反維持・米価維持政策で、バラマキはいっそうひどくなる、という驚きの内容になった【注】。
いずれも、官僚の仕業だ。
今回の成長戦略の目玉とされる産業競争力強化法でも、
(a)企業に税金をまける、というバラマキと、
(b)経産省などの官僚が企業再編を誘導する、という官僚主導の産業政策の完全復活になっている。
(5)規制改革も、国家戦略特区法を作っただけ。
名前は立派だが、地域限定で痛みを伴わないことだけをやろう、という内容だ。
企業の申請があったら、官僚利権(各省縦割りで官僚が個別にサジ加減をして部分的に規制緩和する)を拡大するだけの制度が産業競争力強化法に潜り込む、というオマケもついた。
(6)こんな内容では、さすがにマズイ・・・・と安倍総理も気づいたのか、国会閉幕の記者会見で、「安部政権の改革に終わりはない」と予防線を張った。
これは、6月の失敗を念頭においた官僚の作文だ。
「これが安部政権の成長戦略だ」と言えば市場はまた失望売りになるかもしれないから、年明けにもっと具体的なものが出てくると、またもや先延ばし戦術に出たのだ。
「改革に終わりはない」・・・・とは、実は改革をサボッているから一向に進まないことの裏返しなのだ。改革の入口で立ち止まっているから、終わるはずがない。
官僚の作文に、そのまま乗っかっていることがよく分かる。
(7)臨時国会後半、特定秘密保護法案にマスコミの関心は集中し、「成長戦略不在の成長戦略国会」となってしまったことに批判はほとんど出なかった。
他方、成長戦略のジョーカーとして登場したのが、「原発推進」だ。エネルギー基本計画の策定作業が、なぜか、原発事故最大の責任者で、かつ、電力会社の手先となってきた経産省によって進められている。
その原案が、ついに表舞台に登場した。なんと、脱原発の方針を完全に捨て、原発の更新、さらには新設まで認めようとしている。
経団連企業にとっては、またとない「成長戦略」だ。
【注】「【アベノミクス】似而非改革 ~「減反廃止」~」
□古賀茂明「成長戦略なき「成長戦略国会」 ~官々愕々第91回~」(「週刊現代」2013年12月28日号)
↓クリック、プリーズ。↓
が、中身は完全に空っぽ。「改革」という名のバラマキだけが目立つ。
(2)政権発足と童子に、大々的に打ち出されたのはアベノミクス。その第三の矢となる「成長戦略」を策定するために、規制改革会議や産業競争力会議が設置された。
が、完全に失速。6月の成長戦略の目玉は、無惨な結果で終わった。医薬品のネット販売全面解禁の「口約束」だけだった。
(3)市場は、さすがに失望した。総理の発表会見中に株価大暴落という大失態となった。
狼狽した官邸が慌てて打ち出した戦略は、先延ばし作戦だった。「秋に思い切った成長戦略をだす」・・・・
しかし、今秋の「成長戦略国会」では、
(a)6月に全面解禁が約束されていた医薬品のネット販売の議論が蒸し返され、
(b)しかも、全面解禁どころか、現状より規制を強化する、というオチがついて終わった。
(4)マスコミを騙して「戦後農政の大転換」と見出しを付けさせた「減反廃止」も、実質的な減反維持・米価維持政策で、バラマキはいっそうひどくなる、という驚きの内容になった【注】。
いずれも、官僚の仕業だ。
今回の成長戦略の目玉とされる産業競争力強化法でも、
(a)企業に税金をまける、というバラマキと、
(b)経産省などの官僚が企業再編を誘導する、という官僚主導の産業政策の完全復活になっている。
(5)規制改革も、国家戦略特区法を作っただけ。
名前は立派だが、地域限定で痛みを伴わないことだけをやろう、という内容だ。
企業の申請があったら、官僚利権(各省縦割りで官僚が個別にサジ加減をして部分的に規制緩和する)を拡大するだけの制度が産業競争力強化法に潜り込む、というオマケもついた。
(6)こんな内容では、さすがにマズイ・・・・と安倍総理も気づいたのか、国会閉幕の記者会見で、「安部政権の改革に終わりはない」と予防線を張った。
これは、6月の失敗を念頭においた官僚の作文だ。
「これが安部政権の成長戦略だ」と言えば市場はまた失望売りになるかもしれないから、年明けにもっと具体的なものが出てくると、またもや先延ばし戦術に出たのだ。
「改革に終わりはない」・・・・とは、実は改革をサボッているから一向に進まないことの裏返しなのだ。改革の入口で立ち止まっているから、終わるはずがない。
官僚の作文に、そのまま乗っかっていることがよく分かる。
(7)臨時国会後半、特定秘密保護法案にマスコミの関心は集中し、「成長戦略不在の成長戦略国会」となってしまったことに批判はほとんど出なかった。
他方、成長戦略のジョーカーとして登場したのが、「原発推進」だ。エネルギー基本計画の策定作業が、なぜか、原発事故最大の責任者で、かつ、電力会社の手先となってきた経産省によって進められている。
その原案が、ついに表舞台に登場した。なんと、脱原発の方針を完全に捨て、原発の更新、さらには新設まで認めようとしている。
経団連企業にとっては、またとない「成長戦略」だ。
【注】「【アベノミクス】似而非改革 ~「減反廃止」~」
□古賀茂明「成長戦略なき「成長戦略国会」 ~官々愕々第91回~」(「週刊現代」2013年12月28日号)
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