(1)厚生労働省が、「ブラック企業」の労働実態を2013年9月に1ヵ月にわたって初めて調査し、その結果を12月17日に発表した。
全国労働局による過去の監督実績、離職率の高さなどを基に調査した。違法が疑われた5,111事業場のうち、実に82%(4,189事業場)で違法行為が横行していた。
サービス残業、名ばかり管理職、賃金不払い、職場のパワーハラスメント・・・・違法行為のオンパレードだった。
主として時間外労働、賃金不払い残業、過重労働による健康障害防止措置の不備などの労働基準関係法違反が指摘され、これらの企業には労働局から是正指導が入った。是正されない場合、送検され、企業名が公表される。
(2)調査にあたって最初に疑わしい企業が抽出されているとはいえ、8割強の企業で違法行為が放置されているのは異常事態だ。
(a)違法企業の典型事例として目立つのは、依然、「名ばかり管理職」が横行している点だ。「名ばかり管理職」とは、十分な権限・報酬がないのに管理職扱いをされ、残業代を支給されない従業員のことだ。マクドナルド訴訟で社会問題化した。ある企業では、半数程度が20代であるにもかかわらず、正社員の7割を係長以上の管理職(管理監督者)として取り扱い、残業代を払っていなかった。
(b)営業成績の出来不出来によって、基本給を減額していた事例も散見される。ある企業では、始業・終業時刻を従業員の静脈認証で把握していたが、その記録と残業申請記録との間にギャップがあり、時間外労働賃金が適正に支払われていなかった。かかる小手先の小細工で残業代を抑制する事例は、他の企業でも多数存在した。
(c)さらに悪質なのは、定期賃金の不払いだ。驚くべし、約1年にわたって支払われていないにもかかわらず新規採用が行われていた事例もあった。
(3)今回の調査では、日本全国にある427万事業場の0.1%をサンプル調査したにすぎない。今回浮上した悪質な事例は、氷山の一角だ。
ために厚労省は、監督姿勢の強化を継続する構えだが、企業を指導・監督する労働基準監督官が3,000人しかいないことが問題だ。マンパワーが足りないのだ。
国家公務員数が削減傾向にある中、監督官を増やすことはできない。【厚労省幹部】
この結果、一罰百戒に期待せざるを得ない状況が続く。
(4)対象企業の業種別構成比に見られるとおり、製造業、商業、運輸交通業、接客娯楽業・・・・工場労働者、外食・小売り・ホテルといったサービス業の従事者、トラック運転手といった職種の労働実態が特に問題視されている。
厚労省は、「集団指導」で効率的な是正強化を進める方針だ。<例>業界団体を通して注意喚起を促す。
(5)副次効果もあった。
ブラック企業調査がセンセーショナルにメディアで取り上げられたこともあって、調査期間中に労働者からのタレコミ(通報)が2,500件も殺到した。
常に労働局が目を光らせている・・・・という姿勢が、ブラック企業の減少につながる可能性がある。
□浅島亮子(本誌)「厚労省初「ブラック企業調査」 違法行為8割の呆れた実態」(「週刊ダイヤモンド」2014年1月4日号)
↓クリック、プリーズ。↓

【参考】
「【ブラック企業】対策講座 ~騙されないための心得~」
「【ブラック企業】対策講座 ~就活~」
「【社会】ブラック企業大賞2013 ~ワタミフードサービス~」
「【社会】「ブラック企業」への反撃 ~被害対策弁護団が発足~」
「【社会】「ワタミ」の偽装請負 ~渡辺美樹・前会長/参議院議員~」
「【社会】学校もこんなにブラック ~公教育の劣化~」
「【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負」
「【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負・その後 ~裁判~」
「【本】ブラック企業 ~日本を食いつぶす妖怪~」
「【本】ブラック企業の実態」
「【社会】若者を食い潰すブラック企業 ~傾向と対策~」
「【本】ブラック企業の「辞めさせる技術」 ~違法すれすれ~」
「【心理】組織の論理とアイヒマン実験 ~ブラック企業の心理学~」
「【社会】第二回ブラック企業大賞候補 ~7社1法人~」
「【社会】ブラック企業における過労死、ずさんな労務管理 ~ワタミ~」
「【社会】ブラック企業の見抜き方 ~その特徴と実例~」
全国労働局による過去の監督実績、離職率の高さなどを基に調査した。違法が疑われた5,111事業場のうち、実に82%(4,189事業場)で違法行為が横行していた。
サービス残業、名ばかり管理職、賃金不払い、職場のパワーハラスメント・・・・違法行為のオンパレードだった。
主として時間外労働、賃金不払い残業、過重労働による健康障害防止措置の不備などの労働基準関係法違反が指摘され、これらの企業には労働局から是正指導が入った。是正されない場合、送検され、企業名が公表される。
(2)調査にあたって最初に疑わしい企業が抽出されているとはいえ、8割強の企業で違法行為が放置されているのは異常事態だ。
(a)違法企業の典型事例として目立つのは、依然、「名ばかり管理職」が横行している点だ。「名ばかり管理職」とは、十分な権限・報酬がないのに管理職扱いをされ、残業代を支給されない従業員のことだ。マクドナルド訴訟で社会問題化した。ある企業では、半数程度が20代であるにもかかわらず、正社員の7割を係長以上の管理職(管理監督者)として取り扱い、残業代を払っていなかった。
(b)営業成績の出来不出来によって、基本給を減額していた事例も散見される。ある企業では、始業・終業時刻を従業員の静脈認証で把握していたが、その記録と残業申請記録との間にギャップがあり、時間外労働賃金が適正に支払われていなかった。かかる小手先の小細工で残業代を抑制する事例は、他の企業でも多数存在した。
(c)さらに悪質なのは、定期賃金の不払いだ。驚くべし、約1年にわたって支払われていないにもかかわらず新規採用が行われていた事例もあった。
(3)今回の調査では、日本全国にある427万事業場の0.1%をサンプル調査したにすぎない。今回浮上した悪質な事例は、氷山の一角だ。
ために厚労省は、監督姿勢の強化を継続する構えだが、企業を指導・監督する労働基準監督官が3,000人しかいないことが問題だ。マンパワーが足りないのだ。
国家公務員数が削減傾向にある中、監督官を増やすことはできない。【厚労省幹部】
この結果、一罰百戒に期待せざるを得ない状況が続く。
(4)対象企業の業種別構成比に見られるとおり、製造業、商業、運輸交通業、接客娯楽業・・・・工場労働者、外食・小売り・ホテルといったサービス業の従事者、トラック運転手といった職種の労働実態が特に問題視されている。
厚労省は、「集団指導」で効率的な是正強化を進める方針だ。<例>業界団体を通して注意喚起を促す。
(5)副次効果もあった。
ブラック企業調査がセンセーショナルにメディアで取り上げられたこともあって、調査期間中に労働者からのタレコミ(通報)が2,500件も殺到した。
常に労働局が目を光らせている・・・・という姿勢が、ブラック企業の減少につながる可能性がある。
□浅島亮子(本誌)「厚労省初「ブラック企業調査」 違法行為8割の呆れた実態」(「週刊ダイヤモンド」2014年1月4日号)
↓クリック、プリーズ。↓



【参考】
「【ブラック企業】対策講座 ~騙されないための心得~」
「【ブラック企業】対策講座 ~就活~」
「【社会】ブラック企業大賞2013 ~ワタミフードサービス~」
「【社会】「ブラック企業」への反撃 ~被害対策弁護団が発足~」
「【社会】「ワタミ」の偽装請負 ~渡辺美樹・前会長/参議院議員~」
「【社会】学校もこんなにブラック ~公教育の劣化~」
「【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負」
「【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負・その後 ~裁判~」
「【本】ブラック企業 ~日本を食いつぶす妖怪~」
「【本】ブラック企業の実態」
「【社会】若者を食い潰すブラック企業 ~傾向と対策~」
「【本】ブラック企業の「辞めさせる技術」 ~違法すれすれ~」
「【心理】組織の論理とアイヒマン実験 ~ブラック企業の心理学~」
「【社会】第二回ブラック企業大賞候補 ~7社1法人~」
「【社会】ブラック企業における過労死、ずさんな労務管理 ~ワタミ~」
「【社会】ブラック企業の見抜き方 ~その特徴と実例~」