語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【メンタル・スケッチ】聖夜

2013年12月24日 | 詩歌
  クリスマス・イブには
  いつも セルマ・ラーゲルレーヴの薄い書物
  「キリスト伝説集」を読み返えす

  小学生の息子は毎晩三時間はテレビを離れない
  たしか おととしごろから
  サンタ・クラウスも信じなくなった

  私は四十才をすぎてもなお
  スエーデン人の語る聖なる幼な子を愛している
  しかし息子にセルマのような優しい祖母はいない

  神さまというかたがおいでだとすれば
  家族そろって食卓を囲んだときに
  かならず欠けている あの寂しい誰かのことだ

  クリスマスの夜も妻は寝しなに
  粉ぐすりの袋をかさかさ振る
  どんな病気だか生涯知らせることもできまい。

□安西均「聖夜」(『安西均詩集』、思潮社 (現代詩文庫)、1969)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする