語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【仮想通貨】ビットコインは円を駆逐するか?

2013年12月30日 | 社会
 (1)仮想通貨の典型例ビットコイン(Bitcoin)が、わずかな期間でその価値が何十倍にも上昇している。投機熱をあおったり、麻薬取引などに利用されることを懸念した中国人民銀行や米国FBIなどが、注意喚起や摘発に乗り出す事態に発展している。

 (2)仮想通貨とは、モバゲーなどネット上の特定のサービス内でのみ流通・取引されている物質性のない通貨を指す。スイカなどの電子マネーや企業が発行するポイントを含める場合がある。
 ビットコインは、電子マネーやポイントなどと違って、発行主体(企業)が存在せず、国境を超えて世界的に流通している点が新しい。
 ビットコインは、サーバーを介さず、コンピュータ同士のネットワーク上に存在する。ために、記録が残りにくい。入手方法は、
  (a)取引所で既存通貨とデジタル通貨を交換する。
  (b)無料ソフトを使って自ら「採掘」する。採掘量に上限が設定されているから希少性が生まれ、ビットコイン自体の価値を担保している。ビットコインは、金本位制における金に相当する。

 (3)銀行の立場からすれば、自分でデータとして持っていればよいから銀行への預金が不要で、銀行業が成り立たなくなる。
 利用者の立場からすれば、(a)銀行取引を介さないので、送金手数料を安く抑え、匿名性を保てる。ただし、(b)価値が大きく変動するリスクがある。
 国家の立場からすれば、お金として認められていないビットコインからは税金を徴収しにくい。加えて、その匿名性を悪用して武器や麻薬の取引に使われるリスクがある。

 (4)遠い将来、仮想通貨が円やドルなどの現実の通貨にとって代わる日が来るのだろうか?
 ビットコインの発行量は、2,100万枚が上限になっている。仕組み上、誰か発行者がいて信用の裏付けとなることはあり得ず、世界の主要通貨としては流通の絶対量が足りない。
 流通規模は、まだ小さい。
 一般の人々の認知度は低い。
 何よりの限界は、リアルマネー(ドルや円)と交換できることが価値の源泉である点だ。
 ビットコインは、政府(中央銀行)の通貨権を脅かす存在にはなり得ない。

□記事「仮想通貨は円を駆逐するか」(「週刊東洋経済」2013年12月28日-2014年1月4日号)
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