(1)正社員として若者を大量に採用し、酷使して、半年から数年で離職させるような企業・・・・それが「ブラック企業」だ。
ブラック企業では、過労のあまり鬱病となる20代社員が頻発し、自殺・過労死する者も珍しくない。
ブラック企業は、今後も増え続けるだろう。
(2)そもそも、「正社員」の労働条件は、法律の定めるところではない。労働契約や労使の合意(団体交渉・労働協約)によって決まる。
しばしば日本型雇用=正社員と言われるが、「正社員とは、終身雇用、年功賃金、社内訓練の充実した社員だ」と法律が定めているわけではない。日本型雇用は、労使関係・労務管理の一つのあり方にすぎない。
(3)ブラック企業は、新しい労使関係・労務管理の形だ。
ブラック企業は、急成長したIT、外食、小売業界などの新興企業に多い。急激に成長した企業には、労働組合がなく、労務管理の伝統や長期的な計画が乏しいため、若者の「使い潰し」が発生しやすいからだ。
<例>急成長した大手居酒屋チェーン店が、長時間・低賃金労働の末に過労死・過労自殺事件を引き起こしてる。
ブラック企業の業務は単純化されていて、いつでも替えが利く。だから、長期的な育成を行わず、次々と使い潰すことで利益を上げることができるのだ。
(4)かかる新興企業への若年労働人口の移動は、今後も進んでいく。市場経済は、産業構造の転換を必然的にもたらすからだ。
<例>今後急速に普及していく人型ロボットによって、製造業に必要な労働者はさらに削減される。仕事を記憶し、自律してライン作業に従事できる汎用型ロボットは、200万円程度で購入可能だ。
かくして、製造業の雇用はより高度なものに絞られていく。従来型の労使関係不在の新興企業へ、労働人口は移動していくことになる。
また、製造業の単純労働の担い手が新産業へ移ると、新興企業の正社員との競争はさらに激化する。これもブラック企業の増加を促す要因となる。
(5)すでに問題化しているように、ブラック企業は社会を壊す。
若年労働者に鬱病が蔓延する。
傷病手当金受給者のうち、若年労働者層の鬱病によるものが断トツになり、その額が急激に増加している。
(6)労働の単純化が避けられないにしても、長時間労働による「使い潰し」は避けなければならない。
従来型の賃金上昇が望めなくても、健康を害さずに最低限の生活が可能になるような「持続可能な労働形態」を生みださないと、日本の少子化や医療費膨張を抑制できない。
(7)労使交渉の主体である労働組合は、従来型産業で働く段階世代がリタイアすることで、今後5年のうちに急速に組織率が低下する。
労組は、新興産業の労働者を組織しなければ生き残れない。
ブラック企業の観点からも、組織率の観点からも、従来型の日本型雇用にとらわれないで、新しい要求を掲げる労働運動が求められる。
日本型雇用ではない「そこそこの働き方」を求める労使交渉が、今後広がっていくはずだ。
□今野晴貴(NPO法人「POSSE」代表理事)「ブラック企業 激変する若年労働者市場 労使間の話し合いは不可欠」(「週刊ダイヤモンド」2014年1月4日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【ブラック企業】調査対象の8割で違法行為 ~厚労省初「ブラック企調査」~」
「【ブラック企業】対策講座 ~騙されないための心得~」
「【ブラック企業】対策講座 ~就活~」
「【社会】ブラック企業大賞2013 ~ワタミフードサービス~」
「【社会】「ブラック企業」への反撃 ~被害対策弁護団が発足~」
「【社会】「ワタミ」の偽装請負 ~渡辺美樹・前会長/参議院議員~」
「【社会】学校もこんなにブラック ~公教育の劣化~」
「【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負」
「【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負・その後 ~裁判~」
「【本】ブラック企業 ~日本を食いつぶす妖怪~」
「【本】ブラック企業の実態」
「【社会】若者を食い潰すブラック企業 ~傾向と対策~」
「【本】ブラック企業の「辞めさせる技術」 ~違法すれすれ~」
「【心理】組織の論理とアイヒマン実験 ~ブラック企業の心理学~」
「【社会】第二回ブラック企業大賞候補 ~7社1法人~」
「【社会】ブラック企業における過労死、ずさんな労務管理 ~ワタミ~」
「【社会】ブラック企業の見抜き方 ~その特徴と実例~」
ブラック企業では、過労のあまり鬱病となる20代社員が頻発し、自殺・過労死する者も珍しくない。
ブラック企業は、今後も増え続けるだろう。
(2)そもそも、「正社員」の労働条件は、法律の定めるところではない。労働契約や労使の合意(団体交渉・労働協約)によって決まる。
しばしば日本型雇用=正社員と言われるが、「正社員とは、終身雇用、年功賃金、社内訓練の充実した社員だ」と法律が定めているわけではない。日本型雇用は、労使関係・労務管理の一つのあり方にすぎない。
(3)ブラック企業は、新しい労使関係・労務管理の形だ。
ブラック企業は、急成長したIT、外食、小売業界などの新興企業に多い。急激に成長した企業には、労働組合がなく、労務管理の伝統や長期的な計画が乏しいため、若者の「使い潰し」が発生しやすいからだ。
<例>急成長した大手居酒屋チェーン店が、長時間・低賃金労働の末に過労死・過労自殺事件を引き起こしてる。
ブラック企業の業務は単純化されていて、いつでも替えが利く。だから、長期的な育成を行わず、次々と使い潰すことで利益を上げることができるのだ。
(4)かかる新興企業への若年労働人口の移動は、今後も進んでいく。市場経済は、産業構造の転換を必然的にもたらすからだ。
<例>今後急速に普及していく人型ロボットによって、製造業に必要な労働者はさらに削減される。仕事を記憶し、自律してライン作業に従事できる汎用型ロボットは、200万円程度で購入可能だ。
かくして、製造業の雇用はより高度なものに絞られていく。従来型の労使関係不在の新興企業へ、労働人口は移動していくことになる。
また、製造業の単純労働の担い手が新産業へ移ると、新興企業の正社員との競争はさらに激化する。これもブラック企業の増加を促す要因となる。
(5)すでに問題化しているように、ブラック企業は社会を壊す。
若年労働者に鬱病が蔓延する。
傷病手当金受給者のうち、若年労働者層の鬱病によるものが断トツになり、その額が急激に増加している。
(6)労働の単純化が避けられないにしても、長時間労働による「使い潰し」は避けなければならない。
従来型の賃金上昇が望めなくても、健康を害さずに最低限の生活が可能になるような「持続可能な労働形態」を生みださないと、日本の少子化や医療費膨張を抑制できない。
(7)労使交渉の主体である労働組合は、従来型産業で働く段階世代がリタイアすることで、今後5年のうちに急速に組織率が低下する。
労組は、新興産業の労働者を組織しなければ生き残れない。
ブラック企業の観点からも、組織率の観点からも、従来型の日本型雇用にとらわれないで、新しい要求を掲げる労働運動が求められる。
日本型雇用ではない「そこそこの働き方」を求める労使交渉が、今後広がっていくはずだ。
□今野晴貴(NPO法人「POSSE」代表理事)「ブラック企業 激変する若年労働者市場 労使間の話し合いは不可欠」(「週刊ダイヤモンド」2014年1月4日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【ブラック企業】調査対象の8割で違法行為 ~厚労省初「ブラック企調査」~」
「【ブラック企業】対策講座 ~騙されないための心得~」
「【ブラック企業】対策講座 ~就活~」
「【社会】ブラック企業大賞2013 ~ワタミフードサービス~」
「【社会】「ブラック企業」への反撃 ~被害対策弁護団が発足~」
「【社会】「ワタミ」の偽装請負 ~渡辺美樹・前会長/参議院議員~」
「【社会】学校もこんなにブラック ~公教育の劣化~」
「【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負」
「【社会】私学に広がる教員派遣と偽装請負・その後 ~裁判~」
「【本】ブラック企業 ~日本を食いつぶす妖怪~」
「【本】ブラック企業の実態」
「【社会】若者を食い潰すブラック企業 ~傾向と対策~」
「【本】ブラック企業の「辞めさせる技術」 ~違法すれすれ~」
「【心理】組織の論理とアイヒマン実験 ~ブラック企業の心理学~」
「【社会】第二回ブラック企業大賞候補 ~7社1法人~」
「【社会】ブラック企業における過労死、ずさんな労務管理 ~ワタミ~」
「【社会】ブラック企業の見抜き方 ~その特徴と実例~」