(1)日本の政治の近未来
自民党失政による「失われた20年」の間に、日本は確実に没落の道を歩んだ。自民党の大罪は、(2)のとおり4つ【注】。
自民党政治に国民がレッドカードをつきつけたのが、政権交代(2009年)だった。だが、民主党はクリーンではなかった。権力を奪取したとたん、既得権グループが陳情に列をなした。彼らの支えで選挙を戦う体制ができて、あっというまに自民党化した。加えて、民主党には労組というしがらみがある。自民党以上にしがらみを背負った結果、民主党の悪政は自民党を上回るに至った。具体的には(3)のとおり。要するに自民党の4つの大罪を拡大する路線だ。
しかも、官僚のシナリオどおりに進む。政治主導に失敗した理由は、(4)のとおり。
かくして民主党は 背後霊の官僚の勧めにしたがって、自民党の大罪路線を突き進む。おかげで、自民党は自らの罪を反省するどころか、認める必要もない。それどころか、今や事実上の連立が成立している。公明党も加わり、「民自公大罪連合」の大合唱だ。
ここから予想されるのは、「失われた30年」だ。いや、日本そのものの喪失だ。
(2)自民党の大罪
(a)900兆円の財政赤字を積み上げた。そのかなりの部分がシロアリ官僚の生活を守るための資金となった。
(b)人口増加を前提とした仕組みの抜本的改革を怠り、社会保障の持続可能性をつぶしてしまった。少子高齢化は昔から自明だったのに、「百年安心プラン」のごとき寝言を言い続け、子育て政策も皆無。国民の老後の安心を崩壊させた。
(c)成長できない日本を作った。世界最高水準の技術と労働力、民間企業にあり余る資金。その上、世界の成長センター(アジア)の中にあって、なお成長できない日本の大きな原因の一つが、新たな成長分野におけるがんじがらめの規制だ。資本主義、自由主義の日本で、3大成長分野(農業、医療、再生可能エネルギー)で企業が自由に活動できない。その背後に、必ず官僚たちの利権がある。
(d)原子力ムラと原子力神話を作り、福島第一原発事故を招いた。これも官僚の利権が絡み、彼らが支える世界だった。
(3)民主党の大罪
(a)子ども手当はもちろん、整備新幹線、高速道路建設凍結解除など、自民党長老もびっくりするほどのバラマキで財政赤字の累積スピードは加速した。
(b)社会保障の抜本改革も、マニフェストを無視して、自民党の微修正先送り路線に走った。
(c)成長のための構造改革も、できないどころか、郵政を始め、改革とは真逆の政策を繰り広げる。
(d)脱原発政策の放棄。安全神話復活に手を貸し、原子力ムラの一員になって利権に食い込もうと必死だ。
(4)官僚と戦えない民主党
(a)政治主導の意味をはき違えた。野党時代、官僚は敵(与党自民党の親衛隊)だったから、政権に就くや敵を排除しようとした。実は、官僚を使わなければ行政はできない。
(b)官僚に代わって行政を担う能力を欠いていた。それを薄々気づいた民主党首脳は、財務省とは事を構えない戦略をとった。これが命取りになった。
(c)総理・官房長官・各省大臣を補佐し、官僚と戦えるスタッフを欠いた。(b)の能力を欠いて、サポートスタッフの欠いては何もできない。結局、頭を下げて官僚に頼るしかなくなった。
(d)実は、民主党にはやりたい政策がなかった。民主党政治はアンチテーゼ政治だ。政権をとるために、自民党政治を否定することしか頭になかった。マニフェスト放棄は、ちっとも不思議ではない。その後は、官僚のあやつり人形となって政権運営するだけだ。
【注】「【政治】自民党の「4つの大罪」、それを引き継いだ民主党 ~「失われた20年」~」
以上、古賀茂明「自民党の罪を拡大 ~民主解体「失敗の本質」~」(「文藝春秋」2012年8月号)に拠る。
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自民党失政による「失われた20年」の間に、日本は確実に没落の道を歩んだ。自民党の大罪は、(2)のとおり4つ【注】。
自民党政治に国民がレッドカードをつきつけたのが、政権交代(2009年)だった。だが、民主党はクリーンではなかった。権力を奪取したとたん、既得権グループが陳情に列をなした。彼らの支えで選挙を戦う体制ができて、あっというまに自民党化した。加えて、民主党には労組というしがらみがある。自民党以上にしがらみを背負った結果、民主党の悪政は自民党を上回るに至った。具体的には(3)のとおり。要するに自民党の4つの大罪を拡大する路線だ。
しかも、官僚のシナリオどおりに進む。政治主導に失敗した理由は、(4)のとおり。
かくして民主党は 背後霊の官僚の勧めにしたがって、自民党の大罪路線を突き進む。おかげで、自民党は自らの罪を反省するどころか、認める必要もない。それどころか、今や事実上の連立が成立している。公明党も加わり、「民自公大罪連合」の大合唱だ。
ここから予想されるのは、「失われた30年」だ。いや、日本そのものの喪失だ。
(2)自民党の大罪
(a)900兆円の財政赤字を積み上げた。そのかなりの部分がシロアリ官僚の生活を守るための資金となった。
(b)人口増加を前提とした仕組みの抜本的改革を怠り、社会保障の持続可能性をつぶしてしまった。少子高齢化は昔から自明だったのに、「百年安心プラン」のごとき寝言を言い続け、子育て政策も皆無。国民の老後の安心を崩壊させた。
(c)成長できない日本を作った。世界最高水準の技術と労働力、民間企業にあり余る資金。その上、世界の成長センター(アジア)の中にあって、なお成長できない日本の大きな原因の一つが、新たな成長分野におけるがんじがらめの規制だ。資本主義、自由主義の日本で、3大成長分野(農業、医療、再生可能エネルギー)で企業が自由に活動できない。その背後に、必ず官僚たちの利権がある。
(d)原子力ムラと原子力神話を作り、福島第一原発事故を招いた。これも官僚の利権が絡み、彼らが支える世界だった。
(3)民主党の大罪
(a)子ども手当はもちろん、整備新幹線、高速道路建設凍結解除など、自民党長老もびっくりするほどのバラマキで財政赤字の累積スピードは加速した。
(b)社会保障の抜本改革も、マニフェストを無視して、自民党の微修正先送り路線に走った。
(c)成長のための構造改革も、できないどころか、郵政を始め、改革とは真逆の政策を繰り広げる。
(d)脱原発政策の放棄。安全神話復活に手を貸し、原子力ムラの一員になって利権に食い込もうと必死だ。
(4)官僚と戦えない民主党
(a)政治主導の意味をはき違えた。野党時代、官僚は敵(与党自民党の親衛隊)だったから、政権に就くや敵を排除しようとした。実は、官僚を使わなければ行政はできない。
(b)官僚に代わって行政を担う能力を欠いていた。それを薄々気づいた民主党首脳は、財務省とは事を構えない戦略をとった。これが命取りになった。
(c)総理・官房長官・各省大臣を補佐し、官僚と戦えるスタッフを欠いた。(b)の能力を欠いて、サポートスタッフの欠いては何もできない。結局、頭を下げて官僚に頼るしかなくなった。
(d)実は、民主党にはやりたい政策がなかった。民主党政治はアンチテーゼ政治だ。政権をとるために、自民党政治を否定することしか頭になかった。マニフェスト放棄は、ちっとも不思議ではない。その後は、官僚のあやつり人形となって政権運営するだけだ。
【注】「【政治】自民党の「4つの大罪」、それを引き継いだ民主党 ~「失われた20年」~」
以上、古賀茂明「自民党の罪を拡大 ~民主解体「失敗の本質」~」(「文藝春秋」2012年8月号)に拠る。
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