2010/9/10up全ページ目次 |
黒板掲示物なしは常識・宿題は戦争 |
自分の勉強のための本からの書き抜き・講演メモなどです。
なお、当時「発達障害」はまだ「軽度発達障害」と呼称されていました。
■■『教室ツーウェイ』06年7月書き抜き/西岡美香氏■■
◆前面黒板上の級訓などの掲示物が
「特別支援」を要する子にとってどれだけ障害になっているか、わかっていない。
◆授業中に、前を見ると教師の顔より、教師が言っていることより、
黒板上の掲示物に目がいって、授業どころではなくなるのだ。
注意があちこちにとびやすいので、
授業に集中させるためには、前には黒板だけが望ましいのである。
◆これは、特別支援教育ではすでに常識である。
■『軽度発達障害の臨床』横山浩之著・書抜き■
・「反抗挑戦性障害」(ODD)とは、周囲に対して反抗することが当然の行動となり
自分の利益になることであっても、反対することが当たり前になっている状況をいう。
<DSM‐IVによるODD「反抗挑戦性障害」の定義>
◆以下が6か月、4つ存在する。
① かんしゃく
② 大人と口論
③ 大人の要求、規則に、積極的に反抗
④ 故意に他人をいらだたせる
⑤ 失敗を他人のせいにする
⑥ 容易にいらだつ
⑦ 腹を立てる
⑧ 意地悪で執念深い
<DSM‐IV行為障害の定義>
◆3つが過去12か月に存在1つは過去6か月に存在。
① 他人をいじめ威嚇する
② 取っ組み合いの喧嘩
③ 武器を使用(バット、ナイフなど)
④ 人に身体的暴力を加えた
⑤ 動物に身体的暴力を加えた
⑥ 被害者の面前での、盗みをしたことがある
⑦ 性行為を強いたことがある
⑧ 放火
⑨ 他人の所有物を破壊
⑩ 他人の住居への侵入
⑪ 嘘をつく。だます。
⑫ 被害者の面前ではなく、盗みをした
⑬ 夜遅くの外出が13歳以前から始まる
⑭ 一晩中家を空けたことが2回あった
⑮ 学校を怠ける行為が13歳以前から始まる
■AD/HDと遺伝(02バークレー講演) ■
AD/HD患児との関係で以下の割合で遺伝。
① 兄弟が25~35パーセント
② 双生児が75~92パーセント
③ 母親が15~20パーセント
④ 父親が20~30パーセント
◆また、親がAD/HDの場合子どもの27~54%がAD/HDである。
■『教育トークライン10月』/甲本卓司氏・書き抜き■
◆AD/HDの子が、教室にいる。
その子をどやしつけて指導する40代教師のビデオを見たことがある。
これは何を意味するのか。
この40代教師は、新採用研修をクリアーし、
5年研修を受け、10年研修を受けた教師だということだ。
まったくの無知。
その無知で、子どもを痛めつけている。
■■『特別支援教育教え方教え方教室13号』06年9月書き抜き■■
◆7年前、まだ「特別支援教育」などという言葉もなく、
教師のほとんどの人が、ADHDの言葉を知らなかった時のことである。
アメリカのメアリー・ファウラーは
『手のつけられない子それはADHDのせいだった』
の中で宿題について書いた。
向山氏によるその要約。
◆要約ここから◆
『ADHDを持つ親には、宿題は頭の痛い問題だ。
宿題は学校で丸一日
「ルールを守る」「集中する」「自分をコントロールする」
ということを、がんばり続けて帰宅したその後に、
家でしなくてはならない。
ADHDを持つ子の父親は
「ほとんど戦争でした」
と、宿題について語っていた。
「毎晩、毎晩、三時間も四時間も、私は顔を真っ赤にして怒鳴り続けた」
という。
本当なら
「15分で終わるはずの宿題を、そこまでしなければいけなかった」
という。
こういう思いは、一つや二つではない。
他の人も、
「宿題をさせるのが、どれだけ大変だったか」
を語ってくれた。
親が手を貸して何とか宿題をさせようとしても、
息子は回転イスをくるくる回しているだけ。
「鉛筆を持ちなさい」
といっても、イスを回しているだけ。
親が下手に出て
「お願いだから、鉛筆を持って」
といい、
「答えは、さっき言ったでしょう。あれで合ってるのよ」
と催促し
「あとは、ノートに書くだけでしょう」
と言っても、はかばかしくない。
そのうち、やりとりはエスカレートして、怒鳴りはじめることになる。
こんなことが毎日続き、息子は宿題をやらずに登校するようになった。』
◆要約ここまで◆
親は
「宿題はほとんど戦争でした」
という。
日本でも、事情は同じである。
宿題を出すと、上位の子は、やってくる。
中位の子は時々忘れて叱られる。
下位の子は、親子で必死にやるが、やがて忘れるようになる。
その裏に「戦争状態」があったのである。
■ADHDを抑える授業■
◆運動のある授業
・追い読み・書く・教師の所へ持って行く
・体を動かすと、脳は神経伝達物質のドーパミンを出す。
ドーパミンは前頭前野を活性化する。
活性化すると、ADHD児の症状を抑える。
・聞きっぱなしの問題解決学習は、拷問。
◆緊張のある授業
・「全員起立。言える人は座りなさい」
・適度な緊張状態で前頭前野が活性化される。
■『軽度発達障害の臨床』横山浩之著・書き抜き■
◆最初に行なうべきは、親や子どもが診察室に入ってくる時の行動観察である。
① 親がどのようなあいさつをするか。
② 子どもが、自分からあいさつをするか。
③ 親が子どもにどんな働きかけをするか。
④ 子どもが脱いだ靴を、そろえてこられるか。
⑤ 子どもが靴をそろえなかったときに、親がどう働きかけをするか。
⑥ 親が、脱いだ自分の靴をそろえるか。
⑦ 診察室に入った後に、子どもが何をするか。
おもちゃに突進するか、それともイスに座るか?
⑧ 子どもがおもちゃに突進したときに、親がどう働きかけをするのか
◆子どもが靴をそろえてこられなければ、
整理整頓の基本が不十分である可能性が高いこともわかる。
親が靴をそろえていないようであれば、親自身もしつけられていない。
ということは、子どもはなおさら、と言った具合である。
◆「反抗挑戦性障害」を持つ子は、
しっかりアイコンタクトがとれた後に、あえて目を伏せることが多い。
◆(初診のとき)私は内容を聞くより、保護者の話し方に気をつけている。
たとえば、「敬語の使い方」をチェックする。
「敬語の使い方」が正しい保護者は、
少なくとも、小学6年生の国語を子どもに教えることができる。
それができる保護者は、全体の、10パーセントに満たない。
◆もちろん、チェックするわれわれのほうが、
正しい敬語の使い方ができなければどうにもならないのは、いうまでもない。
■症状をさらに悪化するケース■
強く非難したり叱責したりすると言った指導により、
次々と引き起こされる
「失敗する→叱責される→落ち込む→失敗する→叱責される→落ち込む」
の負の連鎖は、ADHD児の症状をさらに悪化させてしまうからである
追いつめることが、深刻な、
反抗挑戦性障害、行為障害といった、二次的問題を呼び起こしてしまう