そのサナギはいつか自分も蝶になれるのを知らず、
サナギの姿に憂いていました。
こんな汚い姿は、私じゃない!!
そして、あるとき母親が脱ぎ捨てた蝶の被り物を見つけ、
自分がそれをかぶって蝶になりました。
「おぉ~!お前もとうとう蝶になれたんだねぇ~。きれいだぞ~!」
そんなふうに褒めてくれた父親の言葉や、
同い年のほかのサナギたちから、
「わぁ~!○○ちゃん きれい~!!いいなぁ~!」
と、羨ましがられ・・・ついつい有頂天になってしまいました。
母親が脱ぎ捨てた蝶の被り物は、徐々に腐っていきます。
これを脱いだら、またサナギに逆戻り・・・。
「なぁ~んだ!!まだサナギだったんじゃない!!」
と言われたくなくて、彼女は蝶の被り物を見つけては身にまとっていきました。
親戚のお姉さんの蝶の被り物や、おばあちゃんが使っていた昔の蝶の被り物、
腐っていくものもあるので、とにかくできるだけ身につけて、
サナギであることを隠さないと!!
そのうち、そのサナギは被りすぎて身動きが取れなくなってきました。
どうしよう???
こんなに被っていたら動けない・・・。でも、脱いだらサナギって
バレてしまう。。。
でも、何とか自由に動きたい!
そんなとき、魔法の妖精スクールを見つけ、
そこに行けば自由に動けるかも知れない!!
そう思って、高い受講料を払って入学したのです。
妖精スクールでは、その汚い被り物を脱ぎなさい!!と
何度も言われます。
「ハイ。次回までに脱いできます。」と返事はするものの、
脱いだらサナギがバレてしまうと思って、なかなか脱げません。
業を煮やした妖精スクールの先生は、
強引に彼女の白い被り物を取り払いました。
「なぁんだピンクの可愛い○○ちゃんだったんじゃない♪」
と褒めてくださったものの、また数日すると
「そのピンクの蝶も被り物じゃないの?脱がないとダメよ!」
そして無理やり脱がされ・・・オレンジの蝶が現れました。
今度こそ、本当の姿なのか?と思いきや、
黄緑色の羽が見え隠れするので、そのオレンジ色の被り物も
脱がされてしまいました。
「一体、いくつの被り物を身につけてるの???
そんなじゃ本物の妖精にはなれないのよ!!」
先生は、とうとう○○ちゃんの被り物を全て引っぺがしてしまいました。
「え~ん!え~ん!!せっかく蝶になっていたのに・・・・」
そのサナギはせっかく蝶になりきっていたのに、
とうとう本当のサナギの姿に戻され、泣きじゃくるのでした。
蝶の被り物を引っぺがされるために妖精スクールに
入ったんじゃないのに・・・。え~ん!え~ん!!
ひどいよ~!!これじゃお家にも帰れない!!
でも、そのとき・・・
「○○ちゃん 今までは、他人の蝶の被り物を被っていたけど、
ほら!あなたはあなた自身の蝶に今まさに変身できるのよ♪」
見ると、まだフワフワで赤ちゃんのような羽が自分自身にあるのを見つけました。
もう、あの醜いサナギではありませんでした。
そう!
このサナギは蝶になるときを迎えていたのに、
被り物を被っていたために自分本来の蝶になり損ねていたのです。
被り物をとっぱらったおかげで、ようやくそのサナギが蝶にかえったのです。
この羽で飛べるのかしら?被り物のときに比べたら
まだまだ羽は小さいのです。
でも、恐る恐る飛んでみたら、飛べました!!
あ!私・・・飛んでる!!
軽~い!!きゃあ~ こんなにフワフワと飛べるんだ~!!
まるで何も着てないみたい!!
「そう、今は何も着てませんよ♪
今までは被り物が重かったから飛べなかったの。
あなたは、被り物などなくても自分自身で飛べるのに、
被り物を被りすぎてたから、身動き取れなくなってたのよ。」
なぁ~んだ!!そうだったのか~!!
なんて軽く飛べるんでしょう???
わぁ~!!こんなに楽に飛べるなんて♪
今まで他人の被り物を着て飛んでいたけど、
どんなに重くて大変だったか・・・。
もうちょっとだけ時期を待って、
自分自身が蝶にかわるのを待ってれば良かったんだ!!
今この蝶は自分らしくイキイキと輝いて
軽々と自由に飛び回っています♪
サナギが蝶に生まれ変わる場所・・・
それが、「魔法の妖精スクール」じゃなくて
「極和ファシリテーター養成スクール」なのです♪