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大阪府島本町議会議員
とだ*やすこの活動報告

損害賠償発生って、どういうこと?(2)

2018年04月25日 | JR島本駅西まちづくり
つづき

さて、コメントでいただいた「JR西側地区については今回の開発がなくなっても損害賠償は発生しないと聞いたと思うのですが」というお尋ねの件です。読みやすいように二つの記事に分けました。

まず、業務代行予定者である開発事業者が先行事務費を地権者側に請求しないということ(地権者主体の土地区画整理事業の問題)と、先の記事で述べた「国立景観訴訟」=自治が裁かれる?(自治体の都市計画・地区計画に関連)は、分けて考える必要があります。

業務代行予定者である開発事業者が先行事務費を地権者側に請求しないということについて、以下、戸田が2月定例会議に行った一般質問から一部を抜き出してUPします。

■戸田
土地区画整理事業の資金計画概要について
平成28年8月、準備組合による「(仮称)北部大阪都市計画事業 JR島本駅西土地区画整理事業概要書」において、資金計画の収入は30億5千万円です。

(中略)事務費は2億円と想定されています。JR島本駅東側には、準備組合は事務所を構えておられます。業務代行予定者・株式会社フジタの担当職員の人件費も生じている。測量調査なども実施済みです。

万一、事業が白紙撤回となった場合、これらの先行事務費をどこが負担するかという問題が生じます。平成29年6月15日・準備組合ニュース第2号には、「本組合が設立できず事業を断念する場合は、フジタ・阪急不動産は、それまでの費用を請求しないと約束します。」とあります(第38回理事会決定事項)。

【問】先行事務費については、事業断念により地権者がそれを負担しなければならないリスクはない、という理解で良いですか。

■都市創造部長
当該土地区画整理事業の断念により地権者側が先行事務費を負担するリスクにかかるご質問につきましては、本まちづくりニュースにおいても、本組合が設立できず事業断念する場合は、業務代行予定者として、それまでの費用を地権者側に請求しないという旨の記載をされておりますことから、町といたしましても、議員と同じ認識をいたしているところでございます。


これは地権者のみなさん、すなわち土地区画整理事業準備組合に対して先行事務費を請求しないということ。冒頭に述べたように、自治体が事業者に与えた損害を賠償請求されるのではないか、という話とは別の問題になります。

重要なのは、自治体の定める都市計画・地区計画に基づいて、すなわちルールに則って秩序ある開発が行われるべきであって、土地を売却しようとするものや開発事業者のために都市計画があるのではないということ。ここを間違ってはいけない、とわたしは思います。

「町は事業主等から訴えられたら負け損害賠償ものです」などと流布(ほとんど脅し?)されているとしたら、それはわたしの見解とは異なります。住民を不安に陥れているとしたら残念なことです。

議員としてなすべきことは「事業主等から訴えられるような状況をつくらないこと」です。どのような街区が島本町の未来にとって最もふさわしいのかを住民とともに熟議するプロセスこそが、本来、そういった事態を避けられるとわたしは思います。

お答えになっているとよいのですが。


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京都市内、中心市街地の農家レストラン
ビルの屋上に設けられたガラス越しの農園に
複雑な心境で幼馴染たちと会食したある日

損害賠償発生って、どういうこと?!

2018年04月25日 | JR島本駅西まちづくり
ブログ記事のUPにはこうみえて結構な時間を要します。常に校正待ちの記事がいっぱいで、それらは時間とともに「没」となっていきます。

次のようなコメントをブログにいただいていますが、コメントでの返信では伝わらないと思い、ついついお返事が遅くなりました。


前代未聞の空白の議会お疲れ様でした。
ところで伊集院議員がご自身のブログ、ネガキャンに負けないvol.3で『町は事業主等から訴えられたら負け損害賠償ものです』と書いてますが、JR西側地区については今回の開発がなくなっても損害賠償は発生しないと聞いたと思うのですが、開発が出来ない=損害賠償発生=町は財政不安に陥る→合併につながる?ということになるのでしょうか?
一町民として不安になったので、伊集院議員の仰ることが正しいのかどうか確認したくコメントしました。■


お尋ねの件、その内容が正しいかどうかを判断することはできかねる、というのが正直なところですが、記事の「損害賠償発生」の部分がやはり気になります。

当該ブログは、今、なにかと話題になっているようで、他にもお尋ねや苦情の声が届いています。一読して事実と異なる点も多く、議会運営上の問題をイデオロギーの問題にすり替えるなどして自分を正当化されている印象。正直、困っています。

ところで、昨今、開発に関わり「自治体が事業者から訴えられる」と懸念されたり、吹聴されたりすることが実はよくあります。忌々しき事態である!とわたしは思います。

おそらくその背景には「国立景観訴訟」があるのでは?と考えます。東京都の国立市で高層マンション建設を巡って複数回争われた一連の裁判。これら複数の裁判はあまりにも複雑で、にわかには理解できない内容になっています。

元市長の上原公子氏の講演に出向いたり、本を読んだりしましたが、正確に説明できる自信はありません。重要なキーワードはふたつ「景観」と「住民自治」。今回は後者の話になります。

国立市が補正予算を計上してマンション事業者に損害賠償金及び遅延損害金として3123万9726円を支払ったという事実はありますが、同額が国立市に寄付され、事実上返還されています。

訴訟の目的は金銭ではなく事業の正当性を明らかにすることだったため、寄付は教育、福祉の施策に充ててほしいというのが事業者側の説明だったそうです。

その後、国立市民4人が、事業者に支払った損害賠償金と同額を、国立市が上原公子元市長個人に対して請求するよう住民訴訟を起こしました

ここから先、おそらく政治的にでしょう、非常に複雑な展開になっていきます。最終的に東京高裁は、市の請求を認めなかった一審判決を取り消し、事業者側の寄付は損害の補填に当たらないとして上原元市長に全額の支払いを命じたそうです(驚きと怒り)。

上原元市長は最高裁に上告するも2016年12月15日棄却され敗訴が確定。しかしながら2017年11月21日、約5000人の支援による第三者弁済により、延滞金を含む総額約4500万円は完済されています。 ※日付・数字はインターネットから引用したもの

くにたち上原景観基金一万人の会

上原氏を多くの弁護士が支え、「わたしも上原公子」と全国の市民が立ち上がり、上原氏に一円の支払いもさせることなく、全額、市民のカンパで払い終えました。選挙で選ばれた首長の「政策決定」「住民自治」を守り抜いたのです。

「主権者は市民」であることを国立市民と全国の「上原公子」が明らかにしました。

つづく


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水上隣保館・桜バザーの日の椎尾神社
雨あがりの新緑は格別です