JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
出水駅発行 福岡市内ゆき片道乗車券
昭和61年6月に鹿児島本線出水駅(現・肥薩おれんじ鉄道出水駅)で発行された、福岡市内ゆきの片道乗車券です。
青色こくてつ地紋のA型一般式大人・小児用券で門司印刷場で調製されたものです。鹿児島本線をひたすら上る単純な乗車経路の券で、経由表記は「鹿児島本線経由」となっています。
着駅の「福岡市内ゆき」の下には「(姪浜・今宿・周船寺駅を除く)」の表記がありますが、これは門司印刷場で調製された長距離一般式券独特の表記方法で、他の印刷場が裏面に表記するところ、門司印刷場では表面に表記しています。
裏面です。表面に表記があるため、裏面には「姪浜・今宿・周船寺駅を除く」の表記はありません。
昭和58年3月の福岡市営地下鉄1号線(現・空港線)開業以前は筑肥線が非電化のまま気動車で博多駅まで乗入れており、姪浜・今宿・周船寺の各駅は福岡市西区に位置することから「福岡市内」の駅に属していました。
しかし、姪浜駅~博多駅間が福岡市営地下鉄開業と引き替えで廃止され、廃止区間である西新・鳥飼・小笹・筑前高宮・筑前簑島の各駅が市営地下鉄の駅になることで「福岡市内」の駅から除外され、さらには姪浜・今宿・周船寺の各駅も福岡市内の国鉄(現・JR)線のみでつながっていないために「福岡市内」駅から外れています。
なお、下山門駅は昭和61年7月の開業であったためにこの券が発券された当時には対象外であり、九大学研都市駅はJR化後の平成17年の開業のため、こちらも対象外となっています。
※ 出水駅には九州新幹線が停車する駅でもあるので肥薩おれんじ鉄道の駅であると同時にJR九州の駅だろうと重箱の隅を突くが如く間違いを指摘される方がいらっしゃると思うので先に弁解しておきます。九州新幹線も鹿児島本線であると言えばそうですが、乗車券では在来線と新幹線はきちんと区別されていますので、ここでは在来線の鹿児島本線という意味から敢えて「肥薩おれんじ鉄道の駅」としてあります。