JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
JR北海道 木古内駅発行 竜飛海底駅ゆき 片道乗車券
1988(昭和63)年3月に、JR北海道江差線(当時)の木古内駅で発行された、竜飛海底駅(現・竜飛定点)ゆきの片道乗車券です。
桃色JR北地紋のA型一般式大人・小児用券で、札幌印刷場で調製されたものです。
裏面です。券番以外の記載はありません。
御紹介の券が発行された1988(昭和63)年3月13日は、JR北海道の青函航路が営業最終日になった日であり、かつJR北海道の海峡線が開業した日であることから、同駅ではそれを記念して海峡線の竜飛海底駅までの普通乗車券を発売したものです。
竜飛海底駅は同日に開業した青函トンネル内にある海峡線の駅で、当時、JR北海道では唯一本州(青森県)内にある駅になっていました。しかし、同駅は旅客営業はしていたものの、北海道側の吉岡海底駅(現・吉岡定点)とともに、海底駅見学用の整理券を持った見学者のみが利用できる駅としての開業で、一般的な駅としての営業はしていませんでした。
そのため、御紹介の乗車券は記念乗車券的な要素で発売されたに過ぎず、JR東日本の駅まで乗車して乗越精算をする以外、実際に使用して記載の区間のみを乗車することは出来ませんでした。
その後、北海道新幹線の工事が進むにつれ、青函トンネル見学者向けの停車および見学コースの営業は2013(平成25)年11月に終了したために営業休止駅になり、翌2014(平成26)年3月のダイヤ改正時に正式に廃駅になっています。
現在、竜飛海底駅は同時に廃止された吉岡海底駅とともに青函トンネル内の保守および避難拠点として現存していますが、駅名はそれぞれ「竜飛定点」「吉岡定点」に改称されています。
この券が発売されたJR北海道の木古内駅は、2016(平成28)年3月21日に北海道新幹線の開業準備に伴って在来線営業を終了し、そして終了から5日後の3月26日に北海道新幹線が開業し、同時に江差線の五稜郭駅から同駅間がJR北海道から経営分離されて道南いさりび鉄道に移管されたことから、同日を以て北海道新幹線の専用駅となり、所属路線が北海道新幹線に変更されています。
また、北海道新幹線の開業に伴って奥津軽いまべつ駅が開業し、現在、同駅がJR北海道唯一の本州(青森県)内にある駅になっています。