JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
紋別駅発行 渚滑・元紋別ゆき片道乗車券
昭和61年9月に名寄本線紋別駅で発行された、渚滑・元紋別ゆきの片道乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型矢印式大人・小児用券で、札幌印刷場で調製されたものです。
札幌印刷場で調製された矢印式券や相互式券は他の印刷場とは異なって駅名については細字の明朝体が使用されており、発駅・着駅ともにひょろっとした印象を受けます。
この券も発駅である「紋別」と着駅である「渚滑」「元紋別」共に明朝体の活字が使われています。
名寄本線はJR北海道に継承された路線で、名寄駅で宗谷本線から分岐して興部・紋別を経由して遠軽駅で石北本線に接続しておりました。また、途中の中湧別駅では湧別に至る支線もありましたが、平成元年5月に特定地方交通線として廃止されてしまい、紋別・渚滑・元紋別の各駅も宗谷本線の廃線と共に廃駅となってしまっています。
同駅はみどりの窓口が設置された駅で、みどりの窓口には鉄道電話回線を使用して稼働していたマルス105のK型簡易端末が設置されており、印字すると通常のマルス端末で発券されたものとは違うカタカナが殆どの券が発券されていましたが、当時としては特に興味がなかったためにわざわざ指定券類を購入しませんでしたので、残念ながら手元のコレクションに無いのが、今となっては心残りになっています。
旧小田急電鉄 代々木八幡駅発行 両矢印式券
発行された時期が不明ですが、旧小田急電鉄(現・小田急電鉄 ← 東京急行電鉄)代々木八幡駅で発行された、新宿および豪徳寺ゆきの片道乗車券です。
桃色JPRてつどう地紋のB型矢印式小児専用券です。発行された日付が不鮮明ですが、旧小田急電鉄が発足した昭和16年3月から東京急行電鉄に吸収合併されて解散する昭和17年5月までの間に設備されたものと思われますが日付の年号の残り具合からして昭和17年ないし19年の発行と思われ、恐らく東京急行電鉄になってから発券された、旧小田急電鉄時代の残券であったものと思われます。
代々木八幡から新宿側は小田急本社前(現・南新宿)と新宿が、小田原側は下北沢・世田谷代田・梅ヶ丘・豪徳寺の各駅が着駅となっています。
このうち、小田急本社前駅は現在の南新宿駅が相当しますが、実際には現在の南新宿駅よりも新宿側の、新宿駅地上ホーム線および地下ホーム線の分岐を過ぎたあたりのところに駅があり、今でも駅に隣接していた旧小田急電鉄の本社であったビルが、「小田急南新宿ビル」として現存しています。
JR九州バス 福間駅発行 鞍掛・西郷ゆき乗車券
「バス人気ブログランキング」をなんとなく見ていたら、6位に拙ブログが上がっていました。
特にバスの記事をエントリーしていたわけではなかったのに、バスを趣味とされている方にも、結構乗車券を趣味とされている方が多いのかもしれません。
ということで、今回はバス関連の内容にしたいと思います。
平成元年6月に鹿児島本線福間駅で発行された、JR九州バス直方線の鞍掛・西郷ゆきの乗車券です。
桃色JRK地紋のB型大人・小児用一般式券で、門司印刷場で調製されたものです。
国鉄バスからJRバスに変わっても大抵記載のある「JRバス経由」や「自動車線経由」という経由表記が見当たりませんので、一見すると鉄道の乗車券のようですが、これはバスの乗車券になります。
裏面です。
下車前途無効の文言と発行箇所名の記載がありますが、バス乗車券であるにも拘わらず、料金箱対応がなされておりません。
JR九州バスは国鉄民営化の昭和62年4月に、国鉄九州自動車部から九州旅客鉄道(JR九州)の自動車事業部として発足し、平成13年にJR九州の子会社化され、ジェイアール九州バスとなっています。
JR化されてから路線バス部門が縮小されてきていますが、直方線は今も健在で、福間駅から福津市役所・イオンモール福津、御紹介の乗車券の着駅である鞍掛・西郷、朝日ヶ丘団地・福丸(駅)・宮田(町駅)・共立病院・鞍手高校を経由して直方駅に至る片道1時間15分の行程を走行します。
途中の福丸停留所はかつて自動車駅であった福丸駅が、宮田停留所は同じく自動車駅であった宮田町駅が停留所化されたところで、宮田町駅はかつて路線のあったJR宮田線の筑前宮田駅とは800m程度離れています。
西武鉄道 西武新宿駅発行むさし53号特急券
昭和55年5月に西武新宿線西武新宿駅で発行された、むさし53号の特急券です。
黄色西武鉄道自社地紋のA型大人・小児用券で、井口印刷で調製されたものと思われます。
西武鉄道の特急券には列車名常備式のものと記入式のものがあり、常備式の場合は列車名のほか、発車時刻までが印刷された完全常備券となっていました。本来は発売時に乗車日および座席指定を記入もしくは押印して発売されますが、発車間際の発売の際にはそれらの記載は省略され、「オバケ特急券」と呼ばれていました。
現在では新宿線系統の特急列車は西武新宿~本川越間を結ぶ「小江戸」号が運転されていますが、当時は休日のみ運転の西武新宿~西武秩父間を結ぶ「おくちちぶ」号という特急列車があり、おくちちぶ号運転日には、朝5000系レッドアロー車を小手指にある車両管理所から西武新宿まで送り込む列車と、夕方小手指への車庫返却列車についても西武新宿~所沢間の旅客営業が行われ、それらの列車が西武新宿発着の「むさし」号として運転されていたと記憶しています。
もともと「むさし」号は池袋~飯能間の短距離特急の名称でしたが、便宜上であったのか、西武新宿~所沢間の列車についても「むさし」を名乗っており、後に夕方西武新宿発の53号は本川越まで延長され、「小江戸」号が登場すると新宿線の「おくちちぶ」と「むさし」は廃止され、「小江戸」に統一されています。
南柏駅発行 北千住接続営団線140円区間ゆき連絡乗車券
昭和60年12月に南柏駅で発行された、北千住接続営団(現・東京メトロ)線140円区間ゆき片道連絡乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型大人・小児用金額式券で、東京印刷場で調製されたものです。
この券は他の東京印刷場の連絡用金額式券とは異なり、かっこで括られた接続駅名の下に「千代田線 経由」と経由表記があります。これは、北千住駅では営団地下鉄線は千代田線のほかに日比谷線も乗り入れていますが、国鉄と営団との間には北千住接続日比谷線との普通旅客の連絡運輸が設定されていないため、敢えて「千代田線」という表記をして区別されているものと思われます。
これは南柏駅発の券だけではなく、常磐線であれば亀有~取手間、武蔵野線であれば吉川~南流山間を発駅とする券が該当します。
尤も、北千住駅は千代田線だけでなく日比谷線も改札内で乗場が繋がっていますので、実際のところでは日比谷線に乗車しても、乗車券としては有効であったものと思われます。
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