JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
JR東日本 〇社 新宿から120円区間ゆき片道乗車券(小児用)
前回エントリーで、小田急電鉄新宿駅の精算窓口で発行されたJR東日本新宿駅から120円区間ゆきの片道乗車券を御紹介致しました。同窓口には小児用券も設備されておりましたので、今回はそちらを御紹介致しましょう。
1987(昭和62)年12月に小田急電鉄新宿駅の精算窓口で発行された、JR東日本新宿駅から120円区間ゆきの小児用片道乗車券です。
桃色こくてつ過渡期地紋のB型金額式小児専用券で、東京印刷場で調製されたものです。
記憶違いでなければ、50kmまでの(740円)区間までしか発売していなかったと思いますが、需要の多い低額の区間用については大人専用券と小児専用券が設備され、少々高額な区間用については大人・小児用券と小児用券が設備されていたような気がします。
同窓口では新宿駅までの小田急線の有効な乗車券を回収のうえで発売することになっており、まだ乗車券の蒐集が一般的ではありませんでしたので、当時所持しておりました有効な定期券を提示のうえ、乗車券を蒐集していることを説明のうえ、発売していただいております。
JR東日本 〇社 新宿から120円区間ゆき片道乗車券
1987(昭和62)年4月に小田急線新宿駅にあります、JR線への乗換改札の精算窓口で発行された、新宿駅から120円区間ゆきの片道乗車券です。
桃色こくてつ過渡期地紋のB型金額式大人専用券で、東京印刷場で調製されたものです。
小田急電鉄の新宿駅とJR東日本の新宿駅は連絡改札で繋がれており、乗車券を所持していない旅客に対応するため、精算窓口で新宿駅から先のJR線の乗車券の発売が行われていました。従いまして、小田急電鉄が発売を受託している乗車券になりますので、発行駅名の前に社線で発売されたことを示す「〇社」の符号があります。
この当時はまだSuicaのようなIC乗車券は登場していませんでしたから、電車に乗るには予め乗車券を購入することがあたりまえであったため、小田急の電車が到着すると、窓口にはJRへの連絡乗車券を所持していない旅客で行列が出来ていましたが、現在では首都圏ではIC乗車券が浸透し、予め乗車券を購入して乗車する旅客のほうが少数派になってきているようにも見受けられます。
御紹介の券は国鉄民営化直後の券になりますが、その後はJR地紋の券に変更され、JR東日本の硬券廃止に伴い、印発機による乗車券に様変わりしています。
本年(2020年)7月、拙ブログ2020年8月23日エントリーの「小田急電鉄 新宿駅東口出札発行 130円区間ゆき片道乗車券」でも御紹介致しました通り、新宿駅では東口および西口の改札口を移動させて東西を結ぶ自由通路を開通させる工事が完成しましたが、これに合わせて小田急電鉄とJR東日本の間での委託契約に変更があったようで、小田急電鉄の精算窓口でのJR線乗車券の発売は中止されてしまっています。
JR東日本 定期券購入者用 NewDays&KIOSK 10%OFFクーポン
きっぷでも何でもないのですが、JR東日本の品川駅で通勤用の定期券を購入したとき、窓口氏から
「これでお飲み物でも御購入ください。」
と渡された、「NewDays&KIOSK 10%OFFクーポン」なるクーポン券です。
カラーコピーで印刷したようなもので、手作り感満載のクーポンです。
このクーポンは、定期券を購入した旅客に「景品」のようなものとして渡される、田町駅・品川駅・大井町駅・大森駅・蒲田駅・大崎駅・目黒駅にあるNewDays(JR東日本管内にある駅構内のコンビニ)かKIOSKで使用することのできる10%割引券です。
JR東日本の駅では、特に定期券購入の需要期である3月から4月にかけてと9月から10月にかけて、定期券購入者にこのような割引クーポンを配布することがよくあります。駅によっては、定期券だけでなく、指定券券売機で乗車券類を購入した旅客に対してもこのようなクーポンを配布するようなこともあります。
かつて国鉄時代、営業成績が独立採算制となっていて、定期券や指定券、企画乗車券などの高額商品の売上の奪い合いのようなことをやっていたことがありましたが、それほどではないにせよ、「民間会社」なのですから、現在でも駅単位で営業成績のノルマのようなものがきっとあるのでしょう。
御紹介の券は10%OFFと割引率が高いですが、駅によっては隣接する駅ビルで使用できるクーポンを配布しているところもあり、そういう所は商品単価が高価ですから5%OFFというところもあります。
裏面です。「JR東日本」という文字が斜めに入れられており、恐らく偽造防止の意味合いになっているものだと思います。
今月は下期の定期券購入時期になる方も多いかと思います。このような「景品」のある駅で定期券を購入してみてはいかがでしょうか?
東京急行電鉄 渋谷より10円区間ゆき片道乗車券
前回エントリーで
> 1954(昭和29)年に私鉄で初めて阪急電鉄梅田駅に手動式券売機が登場し、これは後に電動化されていきますが、
> 予め印刷された軟券をカットして発売する券売機が登場し、
> 関東私鉄においても東急電鉄・京王電鉄・営団地下鉄で導入されていきました。
と御紹介いたしましたが、当時発券された軟券式の券がございましたので御紹介致しましょう。
日付が鮮明でないので発行日が不明ですが、当該券売機で発券された渋谷より10円区間ゆきの片道乗車券です。「2等」とありますので、1960(昭和35)年6月以降に発行されたものと推測されます。緑色PJRてつどう地紋の金額式軟券となっています。
なぜだか分かりませんが、「渋谷から」ではなく「渋谷より」という表記になっており、昭和20年代前半にタイムスリップしてしまったみたいです。
発行前の券はロール状に繋がっており、券の四隅に開けられた穴に歯車を噛ませて券紙を引き出し、1枚づつ裁断して発行される方式であったようです。
裏面です。裏面には券番があり、恐らく、前2桁はロール番号で後4桁が券番と思われます。
他駅で発行されたものもございますが、こちらも日付は不鮮明で、まだ日付の印字機能は完成されたものではなかったようです。もともと発行年までの印字機能は無かったのかも知れませんが、「12 -7」という印字から12月7日の発行であることは判ります。
東京急行電鉄 渋谷駅から10円区間ゆき片道乗車券
前回および前々回エントリーで東京急行電鉄(東急電鉄)渋谷駅で発行された券売機発行の片道乗車券を御紹介いたしました。
東急電鉄渋谷駅は乗車券の券売機発売の分野では「一目置かれる」存在の駅でした。
日本で初めて乗車券類が券売機で発売されたのは1911(明治44)年に登場した「入場券売函」という機器で、2銭銅貨を機械に入れてレバーを押すと、印刷済の硬券入場券が出てくるというもののようですが、記録の残されているところでは、1926(大正15)年に鉄道省の東京駅および上野駅に入場券用の券売機が設置されたのが最初となっており、やはり硬貨を入れてレバーを押すと、てこの原理で予め印刷された硬券の入場券が1枚出てくる仕組みであったようです。
乗車券の券売機になりますと、1935(昭和10)年に鉄道省の新宿駅に設備されたのが最初で、こちらもやはり硬貨を入れてレバーを押すと、予め印刷された硬券の乗車券が1枚出てくる仕組みであったようです。
その後、1954(昭和29)年に私鉄で初めて阪急電鉄梅田駅に手動式券売機が登場し、これは後に電動化されていきますが、予め印刷された軟券をカットして発売する券売機が登場し、関東私鉄においても東急電鉄・京王電鉄・営団地下鉄で導入されていきました。
いずれにせよ、当時の券売機は出札窓口の補助的な位置づけにあり、硬貨を入れると予め印刷された券が発行されるもので、発売できる券種は1種類の「単能式」券売機であったようです。
ところが1962(昭和37)年、東急電鉄渋谷駅に1台で多種の券を発行することができる「多能式」券売機が設備されたのです。当時はまだ、硬券乗車券が発行されるものでしたが、旅客が硬貨を入れて購入したい任意のボタンを押すことによって乗車券が発券される、現在の券売機の原型とも言える機器でした。
こちらが1963(昭和38)年7月に当時の多能式券売機で発券された、渋谷から10円区間ゆきの片道乗車券です。黄色PJRてつどう地紋のB型券となっています。
この券売機は、全く印刷されていないカットされただけの硬券券紙がセットされ、発券される都度、発売額の内容のゴム製印版を選択し、日付とともに印字されて発券されたようです。
裏面です。券番等の記載は一切ありません。
この機器は渋谷駅のほかに自由が丘駅にも設備されたようです。大変画期的な機器ではあったのですが、硬券の券紙は表面が大変固く、ゴム製の印版が券紙の固さに負けてしまって摩耗が激しく、程なく消え去ってしまったようです。
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