趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
土佐くろしお鉄道 中村から東京都区内ゆき 片道連絡乗車券
1988(昭和63)年8月に、土佐くろしお鉄道中村線中村駅で発行された、東京都区内ゆきの片道連絡乗車券です。
若草色土佐くろしお鉄道自社地紋のA型一般式券になります。印刷場は不明ですが、同社の硬券乗車券独特の様式です。
乗車経路は、中村~(土佐くろしお鉄道中村線)~窪川~(土讃線)~多度津~(予讃線)~宇多津~(本四備讃線)~茶屋町~(宇野線)~岡山~(山陽本線)~神戸~(東海道本線)~東京という経路で、営業距離は1,036.9km有効期間は発売日共7日間という、硬券のJR連絡乗車券としては最長距離のものかもしれません。
当時の運賃は12,300円となっていますが、現在の運賃は13,910円になるかと思います。
裏面です。本来であれば無くてはならない東京都区内各駅では下車前途無効である旨の表記はなく、券番と発行駅名だけの大変シンプルなものとなっています。
現在、同社では硬券は使用されていないようで、東京都区内までの乗車券の発行はできますが、みどりの窓口に設置されているマルス端末での発券になります。
JR北海道 武佐駅誕生記念 釧路から武佐ゆき 片道乗車券
1989(平成元)年2月にJR北海道根室本線の釧路駅で発行された、同じく根室本線の武佐駅ゆきの片道乗車券です。
桃色JR北地紋のD型一般式大人専用券で、札幌印刷場で調製された硬券式の記念乗車券になっています。
当時のJR北海道では、観光入場券や記念入場券・記念乗車券などを各駅でこぞって発売して増収を確保していた時期があり、御紹介の券はその時代のものになります。
この頃の券の特徴として、通常の記念乗車券のように前売りで有効期間が長いものではなく、普通の乗車券と同じく発売当日限り有効となっており、発売の都度日付を刻印しての発売となっていました。
裏面です。
武佐駅はこの券が発売された前年の1988(昭和63)年3月に開業した駅で釧路駅から4.1kmのところにあることが記載されています。なので、恐らくこの券が発売されたのは開業当日であろうと思われますので、発売開始から約11ヶ月が過ぎたものと思われ、券番2023というところから、実際には発売された当初が一番枚数が出たものと思われますが、平均すれば1ヶ月あたり183枚、1日あたり6枚程度が発売されていたことになります。
券に記載されております星園高校は釧路市立の女子高で、同駅は同校の最寄り駅として開業したようですが、同校は2000年代になって閉校されてしまっており、乗降客数の減少は相当数であったものと推測されます。
同和鉱業(小坂鉄道) 大館から70円区間ゆき片道乗車券
今から44年前の1978(昭和53)年9月6日に、同和鉱業(小坂鉄道)の大館駅で発行された、70円区間ゆきの片道乗車券です。
若草色無地紋のA型金額式券売機券で、スミインク式券となっています。券紙は単なる若草色のもので、図示いたしませんが、裏面も同じ色になっています。
同駅には当時券売機が2台あり、この券は2番券売機で発行されています。様式的には当時の国鉄で発売されていた金額式の券売機券に酷似しており、「国鉄線」の文字が「同和鉱業(小坂鉄道線)」に変更されている程度です。
同駅の券売機は昭和60年代初頭にドット印字型の感熱式機に代替されてしまっており、そのときには白色の券紙に変更されています。
その後、同線は1989(平成元)年に同和鉱業が小坂精錬が分離されたことによって「小坂精錬(小坂鉄道線)」となりましたが、1994(平成6)年には旅客営業が廃止されてしまっています。
秋田駅発行 普通入場券
前回エントリーでJR東日本秋田駅で発行された普通入場券を御紹介いたしました。今回は国鉄末期の同駅で発行された普通入場券を御紹介いたしましょう。
1985(昭和60)年7月に秋田駅で発行された普通入場券です。
白色無地紋のB型大人・小児用券で、民間印刷場で調製されたものです。
同駅は国鉄時代は秋田鉄道管理局管内の駅となっており、国鉄時代は新潟印刷場で調製された硬券類が使用されておりましたが、国鉄末期の合理化によって新潟印刷場の印刷業務が民間の印刷場に委託されるようになり、御紹介の券はそのときに設備されたものです。
民間印刷場で調製された硬券類は印板印刷方式が使用され、印刷は鮮明できれいではありましたが、活版印刷独特の凸凹感がなくなり、のっぺりとした印象でした。
その後、硬券の需要の減少に伴い、国鉄民営化直前になると硬券印刷場の統廃合が行われ、今まで新潟印刷場は仙台印刷場、名古屋印刷場の一部(静岡地区)で使用される硬券類については東京印刷場が担当することになり、売り切った口座から、順次東京印刷場で調製された券に切り替わって行きました。
再掲いたしますが、東京印刷場で調製された券になります。
JR東日本の場合、他の旅客鉄道会社と違って硬券の入場券には発行鉄道会社を示す「ロ東」の符号が付けられず、国鉄時代と変わらない様式が承継されておりますので、JRになってからの秋田駅で発行されていた硬券入場券が、国鉄時代に印刷されたものが引き継がれたものなのか、それともJRになってから印刷されたものなのか、判断することができません。
JR東日本 秋田駅発行 普通入場券
今からちょうど35年前の1987(昭和62)年9月2日に、JR東日本奥羽本線の秋田駅で発行された普通入場券です。
白色無地紋のB型大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
当時の秋田駅にはまだ硬券の設備が多く残されており、出札窓口には普通入場券は乗車券の他、特急券等についても立席特急券などの特殊なものも含め、豊富に発売されていました。
こちらは同時に購入した小児専用券です。
入場券については御紹介の大人・小児用券の他に小児専用券も設備されており、特急が停車する県庁所在地の駅になりますので、見送り等、それなりの需要があったものと推測されます。
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