隊長
ご安全に!
(敬礼。ピシ!)
おいおい
なによいきなり
それに
軍隊じゃないんだから
敬礼はしないの
あ
サーセン
スイマセンでしょ
もう今日びの若いもんはなんでもすぐ省略するから
ハイ
やりなおし
どーもすいません
三平か!(笑)
えー
わたしあのひとキライなんです
ぜんぜんおもしろくないから
うん
ワシも好かん
けどお父さんはムチャクチャおもしろかったけどね
お父さんも三平なんでしょう?
そう
昭和の爆笑王
今のは二代目やからね
♪
好きです
好きです
好きです
トーシー子ーさん
こっちむいて
いいじゃないのさ
♪
キャー
きもーい
なんですかそれ?
三平のヒット曲
ホントはトシ子さんじゃなく
ヨシコさんやけどね
「もう大変なんすから」
それもギャグですか?
そう
「からだだけは大事にしてください」
っていうのもあったね
そうそう
で
「ご安全に!」
ですよ
お
うまく戻したね
もー
わたしがコントロールしなきゃ
線路をはずれっぱなしになるんですもん
どーもスイマセン
もぉぉぉ (-_-)
どーもスイマセン
まあいいです
「ご安全に!」
って建設業だけの合言葉ですか?
いや
そうじゃない
昭和28年に住友金属工業ではじまったと言われちゅう
その元となったのは
ドイツの鉱山で坑夫さんたちが使ってたあいさつの言葉で
” Gluck auf "
直訳すると
「ご無事で」
ていう言葉らしい
それがどうして
「ご安全に」
になったかはよくわからんけど
とにかく
それをキッカケとして日本全国に広がって
今に至ってるっちゅうわけやね
ちなみに
住金が発祥で全国に広がったといえば
有名なものがもうひとつあって
なんですか?
危険予知訓練
ケーワイですか?
そう
危険予知訓練
の頭文字をとって
K(危険)
Y(予知)
K(訓練)
あるいは
KYT(トレーニング)
今では KY とだけ呼ぶのが一般的かな
そうそう
KY も質問しようと思ってたんですよ
あれって
この会社へ入ってはじめて耳にした言葉だったんで・・
そうか・・
けど今日は
「ご安全に」
だけにしちょこう
ハイ
お願いします!
というても
もう説明は終わったけどね
えー
あれでオシマイなんですか?
うん
あれで知ってること全部
ん・・・
けど
せっかくやから・・・
安全
っていう言葉の意味はわかる?
危険じゃない
ってことですか?
うん
それもマチガイではない
じっさい辞書には
「危険がなく安心なこと」
(『デジタル大辞泉』より)
ってあるしね
じゃあ
「危険」とは?
「安心」とは?
っていうことになりますよね
そうそう
物事を掘り下げていくという姿勢が身についてきたやんか
えへ
じゃあ「危険」からいってみよう
同じデジタル大辞泉では
「あぶないこと。生命や身体の損害、事故・災害などが生じる可能性のあること。また、そのさま」
次に「安心」は
「気にかかることがなく心が落ち着いていること。また、そのさま」
って書いてあるね
ふたつを合体させると
「身体にあぶないことが気にかかることがなく心が落ち着いている」
っていう感じやろかね
けど、それじゃあなんかピンとこんよね
もともとの語源はなんなんですか?
お
ええ質問やね
それはね
『孝経』という昔の中国の書物
孔子やね
といっても孔子が直接書いたもんじゃなく
弟子と孔子の問答集みたいなもんやね
そこにはこうある
「上に安じ、下に全うするは、礼より善きはなし」
意味は
上は陛下に対して奉り
下は万民に向かい
至誠を尽くして天下の安全をはかれ
っていう感じらしい
それもなんかピンときませんねぇ
そうやねー
きませんねー
まあそれはあくまでも語源やキね
それはそうと・・
ワシ
労働安全コンサルタント
ていう国家資格を持っちょってね
あ
知ってますよ
だって
これみよがしにヘルメットに貼ってるじゃないですか
うん
情報は発信しなければ伝わらない
なんか使い方まちがえてません?
ま
それはいいとして
その受験勉強のときに参考書として読んだ本のひとつに
大関親さんっていう人が書いた
『新しい時代の安全管理のすべて』
っていうのがあるがよ
それにね
こんなエピソードが載っちゅうが
******
ある大きな企業の労務部長が、労働災害で死亡した従業員の家にお悔やみに行き帰ろうとしたときに、2人の幼い子供を膝に抱えて悲嘆に暮れていた奥さんが、「いま会社には何人の方が働いていますか」と問いかけてきた。この部長は怪訝に思ったが「1万人です」と答えると、「主人が死んで会社は1万人に1人をなくしたわけですね。しかし、私どもはすべてを失いました」との一言に脳天を割られたようなショックを受けたとの話がある・・
(『新しい時代の安全管理のすべて』大関親、中央労働災害防止協会、P.24)
******
それにつづいて大関さんは、「奥さんの一言が安全のすべてを物語っているといえる」と書いちょってねえ
読んだとき
すごく考えさせられたね
・・・・
でね
「ご安全に!」
に戻るけど
なんか今は
ただのあいさつ言葉とか
朝礼やKYのときの締めくくり言葉
いわゆる決り文句
ぐらいになってしもうちゅうよね
いや
それはそれで
その言葉を口にするっていうことだけで
大いに意味があることやとワシは思うけど
どうせなら
「自分だけではなく、仲間や家族(仲間の家族も含めた)のことにも思いを馳せて、その人たちを悲しませないためにも安全に仕事をしようね」
という意味と気持ちを込めて
「ご安全に!」
て言いたいよね。
ハイ!
今日はちょっと考えさせられました
おいおい
いつもは考えんのかーい
ハイ
あんまり
なんじゃそりゃ
だってすぐオチャラケるじゃないですかぁ
スマンつい
ウソです
いつも勉強になってます
ありがとうございます
じゃあ今日のところはこのへんで
え
まだ話足りんのに
いいですから
じゃあ
最後にごいっしょに
あ
ぅ
うん
じゃあ
いきますよ~
ウン!
イチ
ニー
サン
ダー!!
(おじさんは昭和のプロレス者なんです)
もー
ちがうって!
どぉーもスイマセン
じゃあ気持ちを込めて
いきますよ~
ウン!
イチ
ニー
サン
ご安全に!
でわ
(宮内)
参考図書:
『新しい時代の安全管理のすべて』(大関親)
参考サイト:
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