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北海道)オハウにイモシト…アイヌの食文化を駅弁で発信

2018-04-16 | アイヌ民族関連
朝日新聞社2018年4月16日03時00分
アイヌ民族の食文化を駅弁で――。JR札幌駅構内の駅弁売店で、アイヌ民族の伝統料理を再現した駅弁「イランカラプ(小文字)テ」の販売が今月から始まった。献立や味付けはアイヌ民族の女性らが監修し、伝統料理を現代風にアレンジ。関係者は手軽な駅弁を通して、道民や観光客らに奥深いアイヌの食文化を発信したいと意気込んでいる。
 「イランカラプ(小文字)テ=こんにちは! アイヌ料理のお弁当です」
 13日、札幌駅構内で、民族衣装を着た女性たちが、新作駅弁をPRしていた。弁当を監修した「アイヌ女性会議 メノコモシ(小文字)モシ(小文字)」のメンバーだ。駅利用客が興味深そうに足を止めたり、早速買い求めたりしていた。
弁当の献立は、大根やジャガイモなどの野菜にサケの切り身、行者ニンニクが入った「オハウ(汁物)」の煮こごり、エゾシカ肉(ユク〈小文字〉)と長ネギの焼き串、樺太シシャモを使った春巻き揚げ、芋もち(イモシト)など、アイヌ民族の代表的な料理が盛りだくさん。塩味をベースに、チーズなども使い、食べやすいようアレンジしている。
 駅弁をつくったのは、札幌駅構内で駅弁売店「弁菜亭」を営む札幌駅立売商会(同市東区)。今年、北海道が命名され150年を迎えたのを機に、10日から駅構内六つの売店で販売を始めた。同社は明治32(1899)年創業だが、洲崎昭光社長によると、アイヌ料理の駅弁をつくるのは今回が初めてという。
 きっかけは、昨年10月に札幌市で開かれた「アイヌフードフェスティバル」。アイヌ民族の食文化を発信しようと、メノコモシ(小文字)モシ(小文字)が初めて開いたイベントで、ユク(小文字)などを使った試作弁当を販売したところ、100食がたちまち売り切れた。評判を聞きつけた洲崎さんがメノコモシ(小文字)モシ(小文字)に協力をお願いし、アイヌ料理の駅弁が完成した。
 監修に携わったメノコモシ(小文字)モシ(小文字)の光野智子さんは「自然の素材がもつおいしさを大切にするのがアイヌ料理の特徴。アイヌの伝統食を食べる機会は私たちでも儀式ぐらいの時しかないが、おいしくできてうれしい」と喜ぶ。「北海道には今も先住民族のアイヌがいて、すばらしい食文化をもっていることを、駅弁を通して、多くの人に知ってもらえたら」
 弁当は税込み1200円。日本人のほか、観光などで訪れる外国人にもPRできるよう、弁当の包みには英語で献立の説明書きを添えている。一日30食で、9月末まで札幌駅限定で販売する。問い合わせは札幌駅立売商会(011・721・6101)へ。(斎藤徹)
https://www.asahi.com/articles/ASL4F3J2LL4FIIPE00L.html

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オーストラリアの見どころを一挙紹介、「Australia Tourism Exchange 18」レポート

2018-04-16 | 先住民族関連
トラベルウオッチ 2018年4月16日 00:00笠原一輝
オーストラリア各州の観光局がアピール

「Australia Tourism Exchange 18」のあいさつを行なう、オーストラリア政府観光局 マネージング・ダイレクター ジョン・オサリバン氏
 オーストラリアの観光業界向けイベント「Australia Tourism Exchange 18」(以下、ATE18)が、4月16日~19日の4日間にわたり、オーストラリアの南オーストラリア州アデレードにあるアデレード・コンベンションセンターで開催される。4月13日には主催者であるオーストラリア政府観光局による、報道関係者向けのイベントが行なわれ、オーストラリアの都市、州、テリトリーによる各地域の観光の目玉や状況などが説明された。
 各州ともターゲットとしているのは、観光客の増加が続く最大の市場である中国、そして2番目に観光客が多い米国などだが、日本からの観光客も日本航空が東京~メルボルン線を開設した影響などで増えており、メルボルンがあるビクトリア州などでは日本からの観光客が急速に増えているという。
「オーストラリアへのインバウンド需要は増加している」とオーストラリア政府観光局
 冒頭あいさつに立ったのはオーストラリア政府観光局 マネージング・ダイレクター ジョン・オサリバン氏。オサリバン氏は「オーストラリアを訪れる観光客は7%増えており、インドネシアやインドなどからの観光客が特に顕著だ。依然として中国と米国がメインであることに変わりはないが、今後も新しい製品を開発したり、ホテルの部屋数の増加などインフラへの投資を行なうなどして観光客を増やしていきたい」と述べ、オーストラリアへの観光客は増加傾向にあり、かつオーストラリア政府観光局としても今後もホテルや新規航空路線開設への投資や、観光客に響くような新しい体験プログラムなどを開発していくことで、海外からの観光客を増やしていきたいと述べた。
 オサリバン氏に次いで登壇したのは、南オーストラリア州観光局 最高責任者 ロドニー・ハレックス氏。南オーストラリア州は、今回のATE18が行なわれるアデレードの地元州となり、かなり力を入れてアピールしていた。そのため、通常の報道関係者向けのイベントなどではあまり見ないような、会見の途中でスパークリングワインや地元のスイーツが振る舞われるなどしていた。
 ハレックス氏は「昨年州全体では9%の観光客増加が見られた。州都であるアデレードでは、この新しいコンベンションセンターでグローバルの航空業界のイベントが行なわれるなどMICEにも力を入れているほか、食事やお酒などにも力を入れており、アデレードからクルマで25分しかかからないアデレード・ヒルにはたくさんのワイナリーが存在するし、南オーストラリアはオーストラリア全体のプレミアムワインの74%を生産しており、多くは輸出に回っている」と述べ、南オーストラリア州の特徴をアピールした。
 ハレックス氏によれば、観光客の目を引く体験プログラムも力を入れて開発しており、ケージの中に入ってサメに近づく体験プログラム、さらには「Lion 360」と名付けられた、人間の方が丸いケージの中に入って、ライオンがその周りに近づいてくるという聞いただけも怖そうだけど行ってみたい体験プログラムなどについて説明した。
 ほかにも、釣りやゴルフ、先住民体験プログラムなど多数のプログラムを開発して好評を得ていると説明した。
 また、昨年の12月にはマクラーレンバレーと呼ばれるワイナリーが集中しているエリアにルービックキューブ型のビルを建設し、そこでワインやフードを楽しむことができる施設を建設するなど、ワイナリー関連の施設の充実にも力を入れているとした。
 ビクトリア州観光局のシュック・イエン・リウ氏は、オーストラリアで2番目に大きな都市であるメルボルンがあるビクトリア州の観光の状況などを説明した。リウ氏によればビクトリア州を訪れる観光客で、最大数は依然として中国、2位が米国とのことだが、昨年大幅に伸びたのはインドと日本だという。
 リウ氏は「日本からの観光客が伸びたのは新しい路線ができたことが大きい」と述べ、昨年の9月に新規開設された日本航空の成田~メルボルン線(関連記事「JAL、成田~メルボルン線就航。初便のビジネスクラスを体験」)による影響が大きいと説明した。日本からの観光客は30%以上も増えており、ビクトリア州全体の10%超という数字と比べても大きく伸びている。
 リウ氏は「メルボルンには多数の新しいホテルが建設中で、すでに27階建てのNOVOTELがオープンした。またFormula 1などのスポーツイベントにも力を入れており、今年にはゴルフワールドカップなども開催する予定だ」と述べ、建設中のホテルなどを紹介した。
オーストラリアで訪れるべき観光地 No.3のキャンベラ
 オーストラリアの首都であるキャンベラがあるオーストラリア首都特別地域(ACT)のキャンベラ観光局 グループマーケティングマネージャー キャサリン・フレーサー氏は、キャンベラとその周辺の観光情報を説明した。
 キャンベラはブッシュ(茂み)の中に作られた政治機能のための計画都市となっている。このため、基本的には住民は政府の関係者が中心だが、観光客用のホテルなども用意されており、観光業が盛んな都市の1つとなっている。なお、有名な旅行関係の出版社であるLonely Planetはオーストラリアで訪れるべき観光地のトップ10の中でキャンベラを3位にしたそうで、近年は観光地としても認知されている。フレーサー氏によれば、都市から非常に近いところで大自然に触れる体験などができるほか、冬はスキーやスノーボードなどを楽しむことができると説明した。
タスマニアは、手つかずの自然をアピール
 オーストラリア南方の島となるタスマニア島を中心としたタスマニア州のタスマニア観光局 PR/アーンドメディアマネージャー シェレーネ・サマービル氏は、タスマニア島の大自然を利用した観光などについて説明した。
 サマービル氏によれば、タスマニア島はスイスと同じぐらいの面積の島で、30程度の大小の島から構成されており、手つかずの自然が残されているという。特に最近力を入れているのは自転車を利用した大自然を満喫するツアーということで、宿泊についても、ほかにはないようなロッジを作ったりしているという。また、ウィスキーやジンの製造に関してはタスマニアは長い歴史をもっているとのことで、それらを楽しむツアーなども人気があるということだった。
豊富なアクティビティの西オーストラリア
 西オーストラリア州観光局 広報担当 ミッシェル・コソネン氏とジェイデ・リトル氏は西オーストラリア州の観光資産などについて説明した。
 西オーストラリア州は、その名前のとおりオーストラリアの西側の州で、大きな都市としては州都のパースなどがある。西オーストラリア州もホテルなどのインフラに投資を続けており、2020年までに14のホテルを建設し、2600室を新たに追加する予定であるとのこと。ビーチや、ヘリコプターツアー、さらには先住民ツアーなどさまざまな観光資産を用意していると説明した。
 また、後半には同州の観光大使を務めるオーストラリア人の俳優ルイス・リンカーン氏が登場し、同氏の西オーストラリアでの観光体験などの説明が行われた。
オーストラリアで最も北側にあるノーザンテリトリー、ワニの生態を観察するツアーなどが人気
 ノーザンテリトリー観光局 国際PR・メディア担当 タマナ・キルクビー氏は、オーストラリアで最も北側にあるノーザンテリトリーについての説明を行った。ノーザンテリトリーには州都となるダーウィンなどがあるほか、こちらも手つかずの自然が残っており、ワニの生態を観察するツアーなどが人気だという。また、報道陣にはノーザンテリトリーにある有名な国立公園であるカカドゥ国立公園で出されているスムージーなどが振るまわれた。
グレートバリアリーフの環境保全などについて説明した、クイーンズランド州
 クイーンズランド州観光・イベント局 グローバル広報課長 シェリー・ウィンクル氏は、グレートバリアリーフなどで知られるオーストラリア北東の州であるクイーンズランド州の紹介と、グレートバリアリーフの環境保全などについて説明した。ウィンクル氏はクイーンズランドのTOP10というランキングを紹介し、1位はグレートバリアリーフでのダイビングだとした。
 その後、グレートバリアリーフの環境保護活動を行なっているカッサンドラ・アーブス氏、レディエリオット島のオーナーだというピーター・ゴッシュ氏をステージに呼んで、グレートバリアリーフにおける環境保護についての説明を行なった。
オーストラリア最大の都市であるシドニーがあるニュー・サウス・ウェールズ州
 最後に壇上に立ったのは、オーストラリア最大の都市であるシドニーがあるニュー・サウス・ウェールズ州 観光局 コミュニケーション本部長 タマシン・アレイ氏で、「昨年インターナショナルには420万人の観光客を迎えて、昨年に比べて7.4%のプラスとなった。それに加えてオーストラリア国内の環境客も増えており、国内の観光客向けの商品を増やしたり、投資を行なっていきたい」と述べ、今後もシドニーを中心としたニュー・サウス・ウェールズ州の観光振興に向けて投資を増やしていくと説明した。
 そうした中でソニーミュージックと提携して、シドニー観光をアピールする中国語の歌を作って中国向けに配信したり、シドニーの有名なオペラハウスにプロジェクションマッピングしたり、船などにLEDを飾ったりするVividSydneyと呼ばれる企画を行なうなどして観光客を増やしていきたいと説明した。
🔗オーストラリア政府観光局 https://www.australia.com/ja-jp/
https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1117152.html

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ラテンアメリカとカリブ海諸国では女の子の4人に1人が児童婚

2018-04-16 | 先住民族関連
メガブラジル 4/15(日) 21:37配信

写真はブラジルで、インターネット上の性的搾取被害に合った17歳のウィニーさん(中央)(2016年3月)
ラテンアメリカとカリブ海諸国は、児童婚や事実婚状態の子どもの割合の高さが過去10年間で改善していない世界で唯一の地域であると、ユニセフ(国連児童基金)ラテンアメリカ・カリブ海諸国地域事務所が4月12日(木)に発表した。
調査によると、ラテンアメリカとカリブ海諸国における児童婚の水準は、過去10年間、約25%のまま変わっていないという。一方、世界の他の地域では児童婚は減少傾向にあり、特に南アジアではこの10年で、児童婚の割合が50%近くから30%まで下がっているという。
ユニセフの調査で、ラテンアメリカとカリブ海諸国では、先住民の女の子、農村部に住む女の子、中・低所得層における児童婚や早期の事実婚状態が、都市部や高所得層よりも多くなっていることがわかった。また同地域では、結婚の形式をとらない事実婚の状態の方が、正式の法律婚よりも多い傾向にあることもわかった。
ユニセフ・ラテンアメリカ・カリブ海諸国地域事務所のマリア・クリスチーナ・ペルセヴェル代表は、同地域では4人にひとりの女性が18歳未満で結婚或いは事実婚状態であると指摘した。
「18歳になる前に結婚を強制された女の子たちは、短期的にも長期的にも機会を奪われ、そうしたことが最終的に権利の実現に影響するのです。性的暴力、早く母親になってしまうこと、学校を去ることへのリスクが高まっていることや、仲間から社会的に排除されていることこそ、この地域で女の子たちが置かれている状況を明確に示しています。今行動しなければ、この状況は続き、彼女たちは取り残されてしまうでしょう」(マリア・クリスチーナ・ペルセヴェル代表)
この問題を解決する取り組みや投資の拡大がなければ、ラテンアメリカ・カリブ海諸国は2030年までに新たに約2,000万人の女の子が児童婚を強いられ、その割合は世界で2番目に高い地域になると目されているという。
ユニセフは、ラテンアメリカ・カリブ海諸国で児童婚や早期の事実婚が減っていない背景に、同様に高い割合(世界で2番目)の若年妊娠率と女の子への性的暴力のリスク(10代の女の子110万人が性的暴力を受けたと報告)があるとしている。ジェンダー間の複合的な不平等が、この地域の女の子たちの選択肢や機会を奪っているという。
また、貧困や法律も、児童婚や早期の事実婚状態と関わっているとユニセフは指摘する。国によっては、18歳未満の結婚が認められていたり、両親の同意や法定代理人もしくは司法当局の認可によって結婚できるという例外を定めている場合もあるという。
「ラテンアメリカ・カリブ海諸国における女の子の平等は、早期に母親になること、事実婚、暴力や、限られた人生の機会という複合的な原因によって制限されています。(彼女たちの)潜在能力が活かせず、権利が忘れられていることをこれ以上見て見ぬふりはできません。私たちは、国連人口基金(UNFPA)やUN Womenとともに、地域プログラムを開始し、地域における児童婚を直ちに終わらせることを呼びかけています。他のパートナーの参加も歓迎します」(マリア・クリスチーナ・ペルセヴェル代表)
(文/麻生雅人、写真上/© UNICEF_UN017596_Ueslei Marcelino、写真下/© UNICEF_UNI177021_Richter)
http://megabrasil.jp/20180415_38952/

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<北海道>アイヌ文化を発信「ウレシパチセ」リニューアル(動画)

2018-04-16 | アイヌ民族関連
HTBニュース 4/15(日) 18:14配信
 道東の白糠町でアイヌの文化施設「ウレシパチセ」がリニューアルされ、15日落成式が行われました。
 「ウレシパチセ」とはアイヌ語で「互いにはぐくむ家」を意味します。落成式ではアイヌの人たちが炉を囲み祝詞(のりと)をあげました。施設は儀式を行う場として1992年に建てられましたが老朽化が進んでいました。リニューアルで新たに展示コーナーが設けられています。「ウレシパチセ」では今後もアイヌの伝統儀式が行われるほか、外国の先住民族と交流する場としても使われる予定です。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180415-00000004-htbv-hok

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釧路の2事業国が支援/訪日客増加図る

2018-04-16 | アイヌ民族関連
釧路新聞2018年04月15日
 北海道経済産業局は13日、2017年度補正予算の地域文化資源活用空間創出事業(商店街支援事業)として、阿寒アイヌ工芸協同組合とNPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構による阿寒湖温泉商店街回遊性向上事業と、釧路駅西商店街振興組合によるクルーズ客誘引事業など、道内の4事業を採択したと発表した。地域文化資源と連携した空間の創出で、訪日外国人観光客らの増加を図るほか、商店街の振興につなげる取り組みを国が支援するもの。阿寒湖温泉での事業は、阿寒湖アイヌシアターの魅力強化と、アイヌ文化のデジタルコンテンツを制作、上映による旅行客の商店街回遊の促進。クルーズ客誘引事業は、クルーズ船の乗客・乗員を対象とする市内バスツアーの実施など。
http://www.news-kushiro.jp/news/20180415/201804153.html

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シドニー・ビエンナーレ注目作は? 社会派も抽象芸術も

2018-04-16 | 先住民族関連
朝日新聞2018年4月15日15時11分編集委員・大西若人
 オーストラリアで開催中の巨大現代美術展「第21回シドニー・ビエンナーレ」は、「世界の縮図」を目指し、社会派から抽象芸術まで多様な表現を包み込むように展開されている。芸術監督の片岡真実氏が選んだ69作家約300点の中から、注目作をキーワードごとにまとめて紹介すると――。
 まず、スケールの大きいところで「宇宙」に触れた作品から。エイヤ=リーサ・アハティラ(フィンランド)は、宇宙空間を普段着のまま漂う女性の新作映像を展示している。まるで羊水に浮かぶようでもあり、シャツの胸には「LOVE」の文字。生命や宇宙への愛への言及なのだろう。N・S・ハルシャ(インド)の作品は、日用品の紙の箱を使って消費社会を批評しているが、一方で箱の中には闇=宇宙があるという発想で、星空の描写もある。
 風変わりなのが、スバイ・サレス(カンボジア)の映像作品。観光地化したアンコールワットの大きさを、米袋を繕う針の長さを基準に測り続ける姿をとらえている。自らの体を使い、現代社会や地球、さらには宇宙までも測ろうとするかのように映る。
 次に「音」。サムソン・ヤン(香港)の作品は、熱演するオーケストラの映像なのだが、聞こえてくるのは摩擦音や動作の音のみ。弦にテープを巻くなど、本来の音が出ないようになっているのだ。音と映像のギャップを扱いつつ、現代社会の不能感も漂う。
 スザンヌ・レイシー(米)は輪になって伝統音楽を歌う人々の神聖な姿を通して、民族の問題などを考えさせる。これに対し、マルコ・フシナト(豪)は、参加者が音を出す。巨大な白い壁に向かって、野球のバットをたたき付けるのだ。響く轟音(ごうおん)。本人は怒りなどを発散させたつもりでも、その怒りが音を介して拡散する矛盾を突くようにも思える。
 今展の顔ともいえる艾未未(アイウェイウェイ)(中国)が巨大な難民ボートを展示したように、「民族」を扱う作家も多い。ティファニー・チュン(ベトナム)は香港にいる元ベトナム難民の現在の暮らしを水彩画で描き出した。
 豪先住民族出身のマーレン・ギ…
残り:1150文字/全文:1996文字
https://www.asahi.com/articles/ASL456DN4L45ULZU00N.html

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