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人間はなぜマイノリティ差別と殺戮を繰り返すのか

2020-04-10 | 先住民族関連
JBpress 4/10(金) 6:00配信
 ホロコースト、ポグロムなど、レイシズムに起因する数多の悲劇はどんな時になぜうまれるのか。ファシズムが台頭していた第2次世界大戦中に、人種差別の本質を鋭く問いかける名著があった。『菊と刀』の著者が時代を超えて私たちに提示する解決の方法とは。(JBpress)
 (※)本稿は『レイシズム』(ルース・ベネディクト著、阿部大樹訳、講談社学術文庫)より一部抜粋・再編集したものです。
■ 排外主義の歴史
 レイシズムの研究をしていると、そのドクトリンが政治的な利害関係から形づくられたり、煽り立てられたりすることがあらゆる国で頻繁に起きていると分かる。
 ある時は血のつながった兄弟のように国と国が結びつき、またしばらくすれば宿命の仇敵として憎み合う。
 第一次世界大戦の前、イギリスの歴史家カーライルとJ・R・グリーンは勇ましいゲルマン系部族がイングランド人の祖先であるとしていた。
 しかし1914年には、「ドイツ人は1500年前の蛮族だった頃とまったく変わっていない、我らの祖先を攻め立てて、ローマ帝国の文明を破壊した頃から進歩していない」と。かつて東からやってきたモンゴル帝国の「フン族である」とまで言っている。
 そしてロシアは同盟国側についていたから、ケルト人の魂だとかスラヴ人の精神性だとかには丁重な言葉が並べられている。
 国家的レイシズムの歴史は、排外主義の歴史そのものである。私たちがヨーロッパの歴史を学び、生物学的な遺伝や慣習の受け継がれていく様式について知り、そして好戦的な愛国主義と一線を引くことができれば、レイシズムは雑音として消えていくに違いない。
 しかし私たちが傲慢無知であったり、あるいは恐慌に煽られて平常心を失うとき、分かりやすくて耳に心地よい物語がそっと忍び入る。自暴自棄になったとき、私たちは誰かを攻撃することによって自分を慰める。
 物語は、一方で私たちを時代の正統なる相続人と褒めそやし、もう一方で他者を根絶するべき劣悪な血族と貶す。この半世紀をみる限り、レイシズムの幹となっているのは科学ではなく政治である。
 現代というナショナリズムの時代には、レイシズムは政治家の飛び道具である。遠ざけたい相手がいれば罵詈雑言をまき散らし、そして協力しておきたい相手がいるときには美辞麗句を送り合う。
 歴史をみるならば、レイシストの発する言葉が利己的な動機を隠すためにあることは否定しようがない。四方八方に撃ちまくることで弾幕を張っているのだ。
 この世界はこうも問題だらけで、利害がそれぞれに絡み合っている。だから現実の仕事をするためには、レイシストのスローガンの背後にあるものを見つけ出さなければならないし、彼らが扇動しようとする対立が実際のところ何であるかを見極めなければならない。
 すべての闘いが悪というわけではないし、時にはそのどちらか一方に加担しなければいけないこともある。しかしその判断は、レイシズムという危うい足場に立って行われるべきではない。
 体制側による迫害を正当化するために人種間の対立が言われていることだけ押さえておけば、レイシストの論理にみられる珍妙な矛盾も不思議ではなくなる。
 人類の本性に背くものとしてレイシストは通婚を批難し、そして歴史家・生物学者・人類学者がこれを繰り返し論破してきた。「自然が通婚を禁じているなら、どうしてそれがこうも頻繁に起きているのか?」と。
 しかし通婚を批難することが常に二つのグループ間に対立関係を生み出すことに着目してみよう。実のところ、批難の対象が人種間の通婚である必要は全くない。ローマの貴族は平民との結婚を嫌ったし、カトリックはユグノーとの結婚を避けていた。
 同じ人種にだけ性的魅力を感じる本能が人類に備わっているからではなく、内集団の特権をアウトサイダーに渡したくないために通婚が批判されるのだ。
 もしも内集団がアングロサクソン系であるかどうかによって定義されるなら、植民地の先住民族との結婚は否定される(婚外交渉は否定されない)。
 インドでの英印混血児や、南米でのムラートが相当な数にのぼることは、他の人種と交わることの禁忌があくまでも文化的なものであって生物学的なものではないことを証明している。
 人種差別を目に見える差異によって説明しようとするのも誤りである。顔の形や皮膚の色が違うから人々は人種差別をするのだとしてしまうのは、あまりに表面的だ。
 アルビジョアの民衆やユグノーには、皮膚の色や鼻の形状について明らかな差異などなかった。一方で、貧困にあえいでいるかどうかは、皮膚の色と同じくらい外見上の差異を生んだはずだ。
 グループをどうやって分けるかは極めて恣意的である。日曜のミサに行くかどうか、hを発音するかどうか、と(英国を中心として、hの発音を省略することは教育程度が低いことを表していると考えられていた)。
 原始的な部族民は、同じ人種・同じ言語を使うものであっても、隣の集落の人間をみたら即座に殺すということが知られている。籠の担ぎ方が冒瀆的だからというのがその理由だ。
 肌の色が「目に見える」からではなくて、肌の色が何世代にもわたって受け継がれていくということが人種差別をこれまでにない問題としている。
 ミサに行くのを止めたり、洗礼を受けるのは簡単である。もともとユグノーであったアンリ四世は「パリが手に入るなら、ミサくらいなんでもないさ」といってカトリックに改宗できた。あるいは戯曲『ピグマリオン』のヒロインは強烈な訛りも上品なオックスフォード風に矯正できた。
 しかし肌が黒ければあのように上流階級に潜り込むことはできなかっただろうし、それは孫の代になっても同じことである。境界となるものが永続的であることこそ人種差別の本質であって、「目に見える」かどうかだけが問題なのではない。
 歴史を振り返ると、マイノリティの迫害は激しいときもあれば、穏やかなときもあった。しかしそのことは、取り上げられた差異が可視的であったかどうかには関係がなかった。
 異人種に対して本能的な敵愾心があるのだとか、目に見える差異があるから反発するのだとかは机上の空論であって、人種差別の本質を考えるうえで大した意味はない。
 人種の対立を理解するためには、人種とはなにかではなく、対立とは何であるかを突き止める必要がある。人種差別として表面化したものの奥に、あるいはその根本に何があるのかを知る必要がある。
 文明を自負する私たちが差別をなくそうとするなら、まずは社会の不公正を解決する手立てを見つけなくてはならない。
 人種とか宗教に寄りかかるのではない形で不公正を是正して、そのことを一人ひとりが共有財産とする必要がある。権力の無責任な濫用をなくし、日々の尊厳ある生活を可能にしてくれる方策ならば、それがどの領域で行われるのだとしても、人種差別を減らす方向に働くだろう。逆に言えば、これ以外の方法で人種差別をなくすことはできない。
■ 敗戦の捌け口に利用したヒトラー
 そもそもの問題が人種ではないことに、私たち皆はもう気づいているではないか。既得権益層は死にものぐるいで現状維持を行い、持たざるものがそれを批判する。貧困、雇用不安、政府間の対立、そして戦争。
 捨て鉢になった人間は生贄を求める。一瞬の間だけ、惨めな境遇を忘れさせてくれる魔法である。支配する側の人間、搾取する側の人間は生贄を捧げることに反対しない。むしろ積極的にそれを推奨する。人々が暴力沙汰に興じているのは支配層にとって好都合でさえある。もしそれがなくなったら、怒りがいつ自分たちに向くかわからないから。
 ナチスの再軍備計画によって民衆の生活は苦しくなった。労働時間が長くなり、それなのに手取り賃金は減った。
 そこで1938年にヒトラーは、そもそも1919年にドイツが負けたのはユダヤ人のせいなのだと言い出した。そして暴動を扇動した。――これは二つの目的にかなっていた。栄養不良に陥った国民に怒りの捌け口を、しかも政府にその矛先が向かないような捌け口を作り出すことができた。そしてさらにユダヤ人の資産を政府が接収する口実となった。
 第三帝国はヨーロッパに古くからあった反ユダヤ主義に便乗したに過ぎない。人種問題ではなく宗教問題としてだが、中世からユダヤ人迫害はあった。カトリックが異端宗派と交流を持つのを避けるように、ユダヤ教徒とキリスト教徒の結婚は忌避されていた。
 十字軍の時代のポグロムは民衆によって行われた。出征の真似をして、キリストの死に復讐しようとしたのだ。十字軍はアラブ人とトルコ人を征伐し、我々はユダヤ教徒を殺す、というように。
 つまりユダヤ人とトルコ人は人種として結びつけられたのではない。二つが並列されたのは、前者がキリストを殺し、後者がその墓を手にしているからであった。だからユダヤ人を人種として皆殺しにしようという運動もなかった。回心を表明すれば、ユダヤ教徒はひとまずの安全を手に入れることができた。
 ユダヤ人に多少とも好意的な宗教指導者や教皇は、「力によってユダヤ教徒に洗礼を受けさせることがあってはならない、キリスト教の祭礼に参加することや印をつけることを強制してはならない」とする法令を発布している。世界大戦の時までも、レイシストは民族抹殺ではなく混交によって摩擦を解消しようとしている。
 19世紀末にドイツ政府内でレイシズムを推し進めた、国家主義の歴史家トライチュケもこれに賛成していた。
■ ドレフュス事件
 しかしヨーロッパ全体でレイシストの声が大きくなるにつれて、ユダヤ人はユダヤ教徒としてではなく、ユダヤ人種として攻撃されるようになる。
 1880年までに、ポグロムが大波のようにヨーロッパを襲った。土地所有が禁じられていたためにユダヤ人は都市ゲットーで生活せざるを得なかったのだが、このことがユダヤ人はブルジョワジーであって都会生活を謳歌しているのだという風に曲解された。
 ユダヤ人は嫌われ、大昔からの宗教上の敵意が増幅されて、排斥は激しくなった。
 80年代のドイツでは社会民主党を攻撃するために、(皮肉にもブルジョワジーを中心としていた)保守党員によって反ユダヤ主義のデマゴーグが流布された。そしてユダヤ教会堂は焼き討ちされて、ユダヤ人への暴力は処罰されずに黙認されるようになった。
 カトリックの子供の血がユダヤ教の儀式に使われているという噂話が、また広まった。あるいはフランスでは90年代のドレフュス事件によって反ユダヤ主義が爆発した。おそらくこれが戦前期のヨーロッパで反ユダヤ主義の最高潮となった瞬間であろう。
 軍隊に代表される反動的党派がアルフレド・ドレフュス大尉を濡れ衣によって「炎上させた」事件は、一年間にわたってフランス世論を二分した(フランスの名誉のために付け加えておくと、陰謀のあったことは後に明らかにされて、ドレフュスは名誉回復された)。
 真に反逆の罪を犯していたのは、大衆の反ユダヤ感情を利用して自分たちの地位を守ろうとした軍部である。
■ マイノリティの安全保障
 つまり人種差別を最小化するには、差別につながる社会状況を最小化しなくてはならないのだ。人種そのものが対立の火種となることはない。
 対立が生じるのは、何らかのグループが、でっち上げによって全体から切り離されるときである(人種差別ではその「何らかのグループ」が人種であるだけで、それが信仰する宗教だとか、社会経済的な階級によって分けられることもある)。
 ある集団がマイノリティとなると、法による保護の枠外に置かれて、生活するための権利や、社会参加の機会を奪われてしまう。差別の口実が人種であろうと、それ以外の要因であろうと、このことは変わらない。いずれの場合にも、社会としてあらゆるマイノリティ差別の撤廃に向かっていくことこそ健全と言うべきではないだろうか。
 この世界の現況では、あらゆる差別を撤廃するなんて全く実現不可能なことと思われるだろう。しかしこれは単に人種差別をなくすためだけのプログラムではない。ただマイノリティの人権を法律によって保護するよう求めているのでもない。
 少数派の生活を保障することは、マジョリティの側も、つまり今のところ迫害する側に立っているひとも、将来の生活について安心できるよう仕組みを作ることである。そうでなければ、どんな条文も、保護政策も、結局はまた新たな犠牲者を、絶望を忘れるための生贄を探し出してくることだろう。
 失業対策、最低生活水準の引き上げ、市民権の保障をすれば、どんな国家であれ人種差別を無くす方向に一歩進むことになる。逆に他国民についての恐怖を煽ったり、特定の個人を辱めたり、社会参画を阻害したりすれば、対立は激しくなる。
 人類は未だに、家畜小屋から出ることができていない。雄鶏につつかれれば雌鶏もつつくだろう、自分より強いその雄鶏ではなく、自分より弱い別の雌鶏を。そして弱い雌鶏がもっと弱い雌鶏をつつく。それが続いて、最後には一番弱い雌鶏がつつかれて死んでしまう。
 人間にもやはり「つつく序列」があって、たとえ「優等人種」に属していようと、つつかれた人間はまた誰か別の人をつつかずにはいられないものだ。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200410-00060082-jbpressz-life

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「北海道物産展」秋開催に向けた商談会も中止に 新型コロナ

2020-04-10 | アイヌ民族関連
産経新聞 4/9(木) 16:54配信
 秋の「北海道物産展」に向け、全国の百貨店やスーパーなどからバイヤー約2000人が札幌に集まる6月の商談会の中止が決まった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、主催者の北海道などが9日発表した。道内340社が出展を予定しており、「屋内に大勢の来場者が密集する環境が発生する」と判断した。
 中止が決まったのは、6月9、10の両日、札幌市内で予定されていた「北海道産品取引商談会」。加工食品などの販路拡大を目的として、道と道貿易物産振興会の主催で年1回開催してきた。
 出品される商材は弁当やコロッケ、スイーツといった加工食品のほか、アイヌ工芸品なども。昨年は982社計2195人のバイヤーが来場した。主催者側によると、商談会後に道内の取引先を回るバイヤーが多いが、今年はバイヤーが出張を自粛する傾向もみられるという。
 集客力の高い北海道物産展は各地で開催され、物産展を主要な販路とする道内の食品関連企業が少なくない。道内での感染拡大の影響で2月以降、中止が相次ぐと、道内企業が過剰な在庫を抱えるなどの問題が起きた。
 首都圏や近畿圏などでの感染拡大を受け、物産展の中止は5、6月も続くとみられている。6月の商談会は秋の物産展で扱う商品について交渉や相談を行う場となるだけに、商談会中止の影響は大きそうだ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200409-00000548-san-hok

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コロナ影響ウポポイ開業延期で…北海道庁カウントダウンボードも"50日前"に変更 記念式典も延期

2020-04-10 | アイヌ民族関連
北海道文化放送 2020年4月9日 木曜 午前11:42
 新型コロナウイルスの影響で、北海道胆振地方白老町に建設されるウポポイの開業が延期され、北海道庁に設置されていた「カウントダウンボード」の変更作業が行われました。
 アイヌ文化の発信拠点、民族共生象徴空間ウポポイは、4月の開業を予定していましたが、新型コロナウイルスの全国的な感染拡大の影響を受け、5月29日に開業が延期されました。 
 4月9日道庁では、道庁赤れんが前に設置された開業までの日数を数える「カウントダウンボード」を、50日前に変更する作業が行われました。 
 また、記念式典も5月23日に開催が延期され、道は開業の延期を広く道民に周知したいとしています。
https://www.fnn.jp/articles/-/30205

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4月23日の北海道まるごとラジオは「アイヌ文化を語ろう!」

2020-04-10 | アイヌ民族関連
NHK 2020年4月9日(木)午後1時55分 更新
4月23日(木)放送のテーマは、アイヌ文化!
電話ゲストは、北海道・栗山町出身のお笑い芸人 バービーさん!
スタジオには、アイヌ文化・アイヌ語・アイヌ史が専門の、
札幌大学 本田優子教授をお迎えします。
進行は、鈴木遥アナウンサーと堀菜保子アナウンサー
リポートは、芳川隆一アナウンサー
国立アイヌ民族博物館などを含む民族共生象徴空間・ウポポイの開業を控えたいま、
アイヌ料理や、楽器、歌など、その魅力に迫ります。
私たちが住む日本の先住民族・アイヌの考え方に触れることで、
世界が揺れ動く今を生きるためのヒントも見つかるかもしれません。
番組では、メッセージを募集しています。
・いま直面している悩み、いま考えていること
をはじめ、
・アイヌ文化と言えば思い浮かぶのは?
・あなたの知っているアイヌ語
などをお寄せください!
メールは、番組ホームページから
FAXは、011-241-4716
Twitterは、 #北海道まるごとラジオ でつぶやいてください。
お待ちしております!
https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-n5bad2fd1456e

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新たな観光施設の開業延期続く、羽田直結の大型ホテルや北海道のアイヌ文化施設など、5月から夏に後ろ倒し

2020-04-10 | アイヌ民族関連
トラベルボイス 4/9(木) 13:31配信
東京オリンピック・パラリンピック開催の節目として、2020年に照準を当てて開業を予定していたMICE、商業施設やホテルが、新型コロナウイルスの感染拡大で、次々と開業延期を余儀なくされている。
住友不動産と羽田エアポート都市開発は新型コロナウイルス特措法に伴う緊急事態宣言を受け、4月下旬に開業を予定していた大型複合施設「有明ガーデン」と「羽田エアポートガーデン」の開業延期を決定した。
有明ガーデンは749室のホテル、8000席の大型イベントホール、大型ショッピング施設、羽田エアポートガーデンは国際線ターミナルに直結し、約2400平方メートルのイベント施設、国内最大級の1717室のホテル、バスターミナル、天然温泉などを備える東京のMICEの要として期待されているが、それぞれ5月15日、夏ごろの開業に変更する。
群馬県の「Gメッセ群馬」は3万平方メートルの屋内外展示スペース、2000台の駐車場を備えて4月20日に開業する予定だが、4月18日の開所式典は中止。群馬県の担当者は「粛々と準備を進めている。情勢、関係者の意見など総合的に判断したい」と話す。
国内外からの観光誘致に不可欠な商業施設、ホテルにも影響が出ている。三井不動産は、全面建て替えを進めていた「三井アウトレットパーク 横浜ベイサイド」の4月13日の営業開始を見送り、当面の間休館。NTT都市開発は、京都の複合施設「新風館」について、「エースホテル京都」(213室)、セレクトショップ、飲食店、ミニシアターを含む全館の開業を4月16日から5月21日に延期すると発表。「拡大防止への取り組みが引き続き求められているほか、ホテル利用客や関係者の安全を最優先に考慮した」と説明している。
余波は文化施設にも及んでいる。政府は、アイヌ文化復興の中核施設「民族共生象徴空間」(ウポポイ)を北海道白老町に4月24日に開業する予定だったが、5月29日を目指して準備を進めるという。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200409-00010000-travelv-bus_all

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循環バスや催し、延期検討 ウポポイ開業1カ月延期 物販スペースのオープン未定 町民「態勢立て直しを」

2020-04-10 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/10 05:00

閉鎖されている町のインフォメーションセンターの物販ブース。ウポポイの開業延期に伴い、オープンが先延ばしになっている
 【白老】アイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の開業が5月29日へと約1カ月延期されたのを受け、町が対応に追われている。開業に合わせて予定していた循環バスの運行開始や、JR白老駅北側での集客イベントは延期の方向で検討を進めている。関係者はスケジュールの再調整に追われる一方、町内からは「もともと遅れていた地元の受け入れ態勢を立て直すいい機会だ」と前向きな声も上がる。
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府はウポポイの開業を当初予定の今月24日から5月29日に延ばし、今月18日の開園記念式典を5月23日に変更した。
 町は、定員36人のバス2台でウポポイや町中心部の商店街などを結ぶ循環型の「町交流促進バス」について、ウポポイの開業延期に合わせる形で、運行開始も当初の今月24日から5月29日にずらす方向で検討に入った。JR白老駅を起点に、観光客を町内各地に誘導する役割が期待されていたが、開業延期でウポポイ敷地内のバス停が使えなくなることを考慮した。
 白老駅北側の観光商業ゾーン(ポロトミンタラ)で、町が今月24日から8月上旬まで予定していた集客イベントも先送りする。新型コロナウイルスの流行により、出店事業者を確保できないことから既に規模の縮小を決めていたが、「感染状況から考えて引き続き出店者を確保するのは難しい」(町経済振興課)として、時期や企画内容も練り直すことにした。
 また、ゾーン内で今月1日に開業した町のインフォメーションセンターのうち物販スペースは、オープンが延期されたまま、営業開始のめどは立っていない。
 地元ではウポポイの開業延期が決まる以前から、ポロトミンタラのPR不足や開業ムードの停滞が課題として指摘されていた。白老町商工会の熊谷威二会長は「開業延期を好機と捉え、町内一丸で観光客の歓待方法などを再検討するべきだ」と話している。(金子文太郎)
◆「ポロトミンタラ」のラは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/410902

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登別アイヌ文化サイト開設*ヌプルペッ 市教委歴史や地名 まち歩きに活用も

2020-04-10 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/10 05:00
登別市教委が作成したアイヌ文化を紹介するウェブサイト
 【登別】市教委は登別のアイヌ文化を紹介する専用のウェブサイト「ヌプルペッ」を開設した。菅野修広学芸員(42)は「登別のアイヌ文化について知る入り口にしてほしい」と話す。
 市民からアイヌ文化を学ぶ機会が少ないと要望があったことから、国のアイヌ政策推進交付金を活用して作成した。学芸員らが1月から準備を始め、登別アイヌ協会の協力も受けて3月末から公開している。現代の登別とのつながりを意識して題材を絞り、10ページにわたって歴史や物語、地名などの分類で掲載した。
 物語のページでは、知里幸恵の「アイヌ神謡集」から沼貝にまつわる物語を抜粋。ローマ字表記したアイヌ語の発音と現代語訳を併記し、アイヌ語の音の響きも分かるようにしている。アイヌ語に由来する地名を記した市内の地図も新たに作成し、まち歩きに活用できるようにしたという。
 今後は英語版を作成し、サイトにつながるQRコードのついたチラシも公共施設などに設置する予定。小中学校の授業での活用も目指す。菅野学芸員は「登別の文化について知る新たなツール。まちの魅力アップにつなげたい」としている。ウェブサイトは市公式ホームページ(http://www.city.noboribetsu.lg.jp/)内のバナーから閲覧できる。(久保耕平)
◆「ヌプルペッ」のルは小さな「ル」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/410895

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ウポポイ開業「あと50日」に変更 道庁赤れんが前

2020-04-10 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/09 17:21
 道は9日、胆振管内白老町のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の開業が24日から5月29日に延期されたことを受け、道庁赤れんが庁舎前に常設しているカウントダウンボードを「あと15日」から「あと50日」に変更した。
 ボードは開設千日前に当たる2017年7月29日に設置。北海道の形をかたどり、ウポポイのロゴマークをあしらっている。この日は業者がボードの後方にあるタイマーを操作し、日程を変更。道アイヌ政策課は「新型コロナウイルスが終息し、今度こそあと50日でオープンしてほしい」と話した。(村田亮)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/410851

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ヒグマ題材にアクセサリー 室蘭の関根さん ホッキ貝など地場素材活用

2020-04-10 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/09 05:00
 銀粘土細工の「アートクレイ」に長年取り組んでいる室蘭市絵鞆町の創作工芸作家、関根一晴(いっせい)さん(35)が、ヒグマをモチーフにしたり、ヒグマの爪を使ったりしたアクセサリー作りに挑戦している。ホッキ貝など地元ならではの素材を使った先鋭的な色使いのデザインに注目が集まっている。
 ヒグマをモチーフにした工芸品は2018年から20作品以上作っている。ネクタイピンにあしらったヒグマはホッキ貝製で、アイヌ民族の伝統工芸に使われるというターコイズ(トルコ石)のシャケを口にくわえている。このほかにもヒグマの爪のペンダントや、ライター、ヘアアクセサリーなどを作った。
 週に2回、室蘭港エンルムマリーナ(絵鞆町)内にある工房で作業している。アクセサリーが完成するまでの時間は約1カ月。目の粗さが異なる8枚の紙やすりで素材を磨き上げていく。関根さんは「ヒグマの爪は、ごつごつしているが、加工しているうちにさまざまな表情を見せる。試行錯誤を重ねて、思い通りの輝きが出せた時に達成感を感じる」と話す。
 関根さんは室蘭出身。幼いころから、もの作りに熱中する少年だった。高校1年生の時、銀粘土細工技術者のインストラクターの資格を持つ母久子さんの指導のもと、創作を開始。約2年間かけて、技術者の会員組織「アートクレイワールド本部(現アートクレイ倶楽部)」(本部・東京)から、当時の国内最年少のインストラクターとして認定された。
 その後、道浅井学園大(現北翔大)芸術メディア学科に進学し、絵画や陶芸など美術を学んだ。現在は父勝治さんの母恋めし本舗(室蘭)を手伝う。
 関根さんの作ったアクセサリーを、オープン予定が5月に延期となったアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」内の土産店で販売しては、という提案もあるという。関根さんは「ウポポイは注目の施設。実現につながればうれしい」と話している。(渡辺愛梨)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/410538

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アマゾンの孤立先住民族ヤノマミ、新型コロナ感染を初確認

2020-04-10 | 先住民族関連
AFPBB News 2020年4月9日 14:20 発信地:ブラジリア/ブラジル [ ブラジル 中南米 ]

【4月9日 AFP】ブラジル当局は8日、アマゾン(Amazon)の熱帯雨林に暮らす孤立先住民族ヤノマミ(Yanomami)に、新型コロナウイルスへの感染が初めて確認されたと発表した。外界から隔絶された環境に住むヤノマミは疫病に弱いことで知られる。
 感染者は15歳の少年で、北部ロライマ(Roraima)州の州都ボアビスタ(Boa Vista)にある病院の集中治療室(ICU)で治療を受けているという。
 ヤノマミの人口は約2万7000人。20世紀中頃まで外界からほぼ孤立した状態にあり、1970年代には麻疹(はしか)やマラリアで壊滅的な被害を受けた。
 ブラジルには推定80万人の先住民が300を超える部族に分かれて暮らしている。アマゾン先住民は世界の大多数の人々が免疫を獲得した病原菌などに長年さらされずにいたため、外界から持ち込まれた感染症への抵抗力が非常に弱い。
 ブラジルでは1週間前、先住民族コカマ(Kokama)の女性(20)に初めて新型コロナウイルスの陽性反応が出た。有力紙グロボ(Globo)の報道によると、これまでに少なくとも先住民7人の感染が確認されている。(c)AFP
https://www.afpbb.com/articles/-/3277846?pid=22293022

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UFC、米先住民の居留地で開催か 新型コロナの規制回避

2020-04-10 | 先住民族関連
AFPBB News 2020年4月9日 13:17 発信地:ロサンゼルス/米国
【4月9日 AFP】総合格闘技大会「UFC(Ultimate Fighting Championship)」の今月中旬の大会が、新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)の規制を回避するため、米カリフォルニア州にある先住民の居留地で開催される計画があることが分かった。米メディアが8日、報じた。
 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、UFCのダナ・ホワイト(Dana White)代表が、4月18日に開催される「UFC249」をカリフォルニア中部にあるタチ・パレス・カジノリゾート(Tachi Palace Casino Resort)で開催する計画を持っていると伝えた。
 同カジノは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)を受けて3月20日から閉鎖されているが、タチ・ヨクト族の居留地にあり、スポーツイベントを禁止する州のガイドラインを避けることができる。
 通常、先住民の居留地は州から独立して機能し、地元当局や連邦政府のコントロールが及ばないため、主催者は同地で大会を開催すれば、カリフォルニア州アスレチック・コミッション(CSAC)の認可を取る必要もなくなる。
 ホワイト代表は繰り返しUFCを開催し続ける意向を示しており、無観客であれば安全だと強調している。COVID-19のパンデミック対策で規制が強化されたことを受け、UFCは試合開催地を見つけることができず、これまでに3大会を延期している。(c)AFP
https://www.afpbb.com/articles/-/3277804?cx_part=top_category&cx_position=2

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謎の読書家集団「Riverside Reading Club」が、ヒップホップ好きにオススメする6冊

2020-04-10 | 先住民族関連
好書好日4/9(木) 11:11配信
 ストリートカルチャーに精通し、独自の解釈で読書を楽しむ集団「Riverside Reading Club」(RRC)は、クラブやライブハウスでいつも会ってる友達と本の話で盛り上がってるうちに誕生した。メンバーはたくさんいるけど、全員に共通しているのは「読書がめちゃくちゃ好き」ということ。面白い本はプレゼントしたり、貸しあったり。ブラックカルチャーにまつわる本、映画の原作本、SF、ハードボイルドなどなど、そのジャンルは多岐にわたる。今回は、活字から得た膨大な知識を共有するRRCからikm、Lil Mercy、CENJUの三人にオススメの本を教えてもらった。自宅にいることが多いこんな時期だからこそ、まずは短編から読んでみてはいかがだろうか?
好きな音楽やカルチャーを友達と共有したいだけ
――Riverside Reading Clubとはどんな集団なんですか?
ikm:単純に読書が好きで、周りにもそういう人たちが結構いたんです。たまに会った時に最近読んだ本の感想を話したりするのが楽しくて。そのノリで作りました。名前の由来は俺が川沿いに住んでるから。名前があるとロゴが欲しくなって、ロゴが出来たらグッズを作りたくなる。それを友達にあげてたら、結構反応してくれる人たちがいて。
Lil Mercy:でも最初はほとんど活動実態がなかったよね。ikmくんはお酒飲まないし、飲みに行こうって誘うことはないですし(笑)、クラブやライブハウスで会った時に本の話で盛り上がるのと、DMでいきなり本の話を送り付けあうみたいな(笑)。当時はRRCと言ってるだけっていうか(笑)。でもこの連載(ラッパーたちの読書メソッド)で仙人掌がRRCの名前を出してから一気に形になりはじめた。自分たちで定義づけようとしたっていうイメージ。
CENJU:僕はその過程を側で見てました。実は僕も川沿いに住んでて。むしろ川が近くにないと安心できない(笑)。それで本も好きだからikmくんに「入れて」って。
ikm:そんなふうに言ってくれたのはCENJUくんだけだよ(笑)。でも俺らはみんなで集まって読書会をしたり、RRCとして場を設けて何かする、みたいなことはしないと思う。好きな音楽やカルチャーを友達と共有したいだけ。でも最近は共感してくれる人が多くなったので、RRCのグッズを売ったり、インスタ(@riversidereadingclub)も作りました。あと、東京・雑司が谷の鬼子母神通りでやってるイベント「みちくさ市」のフリーマーケットとかに古本を出品したりして、そこで少しだけグッズも売ったりしてます。
「ブラック・デトロイト」/ドナルド・ゴインズ
CENJU:じゃあまずは僕から。ikmくんがプレゼントしてくれた『ブラック・デトロイト』です。実は僕、本の好き嫌いが激しくて。興味が持てないと全然読み進められない。ひどい時は3ページで挫折する。だけどこの本はピンプが主人公で。ピンプは日本で言う所の女衒、ポン引き。ヒップホップやR&Bでは本当によくテーマになる題材です。にも関わらず、日本ではその実態があまり知られてないので、ものすごく興味深く読めました。
ikm:海外にはピンプに関する本が結構ある。最も有名なのが『ピンプ――アイスバーグ・スリムのストリート売春稼業』(アイスバーグ・スリム/浅尾敦則<訳>)。公民権運動が盛んな1960年代に出たクラシックですね。本当にいろんなラッパーに影響を与えてるけど、個人的には『ブラック・デトロイト』のほうが好きだな。
CENJU:この本の舞台は60年代のデトロイト。著者の半自伝的な小説です。主人公のホーサンは売春婦の息子。売春婦はスラングでホー(Ho/Hoe)と言われてる。その息子(サン)だからホーサン。このエピソードひとつとってもどんな環境か想像が膨らみますよね。しかもホーサンは14歳くらいでいっぱしのピンプになるんですよ。14歳ですよ。あと当時イケてた洋服の合わせ方が克明に描かれてる。
ikm:ちなみにこの本はマーシーくんのPV「PUSHER MAN」にも出てきます(笑)。
CENJU:ikmくんもマーシーくんも僕の好みを知ってるから、いつも僕が好きそうな本をピンポイントで回してくれるんです。海外文学は翻訳者によって難度が変わるけど、これはかなり読みやすかったな。僕の好きな言葉で訳されてる感じがした。
ikm:特に黒人文学に顕著なんですけど、スラングをどこまで訳すかという問題があって。一般的には直訳が多いと思う。でも俺やマーシーくんはむしろ翻訳っぽい文章が好きなんですよ。
Lil Mercy:日本人作家の文章を読むと、読みやすすぎてびっくりしませんか(笑)。それでハマって同じ作家の本続けて読んだりしますね。
ikm:あと日本の小説は会話が多いからね。会話って読書をドライブさせるんですよ。でも海外文学は会話にカギカッコを付けず地の文章で書くことがあるから、慣れない人はちょっと読みづらいかもね。だから自分が読みやすい文体の翻訳家を見つけるのも重要だと思う。
CENJU:でも、この『ブラック・デトロイト』はすでに絶版なんだよね。
Lil Mercy:えっ、そうなの? 古本屋で探せばたぶん見つかると思ってた。
ikm:最近RRCとして選書企画に呼んでもらえることがあるけど、俺らが紹介するのは絶版が多い(笑)。別に意識して絶版を選んでるわけじゃなくて、俺らが好きな本はいわゆるベストセラーではないからほとんど重版がかからない。でも古本屋さんにはちょこちょこあります。俺も『ブラック・デトロイト』は2~3冊古本屋で買ってるから。
Lil Mercy:うん。今、家にあるのBOOK OFFの100円コーナーで発見したし。
「ニューヨーク145番通り」/ウォルター・ディーンマイヤーズ
Lil Mercy:ちなみに、自分が次に紹介する『ニューヨーク145番通り』も近所の古本屋というか、リサイクルショップの本のコーナーで発見しました。この本も絶版だけど、古本屋さんには普通に売ってるはず。新刊の本ももちろん買いに行きます。でも古本屋さんにも面白い本はたくさんあって。この本は作家名も何も知らなかったけど、タイトルに惹かれて買ってみました。有名な本だと思いますけどね。
CENJU:ニューヨークの145番通りってハーレム地区だよね。
Lil Mercy:そうそう。文字通り145番通りを舞台にした短編集で、人の死を予知できる「アンジェラの目」とか、生きてる時に葬式をした「ビッグ・ジョーの葬式」みたいな不思議な話が多かったりして興味深い。それぞれストーリー的に繋がってないけど、同じ登場人物が何回か出てきたりもして同じ時間と場所なんですよね。この本はとにかく読みやすい。たぶん1日で読めると思う。
ikm:読みやすいのは、翻訳が金原瑞人さんだからというのもあると思う。金原さんの翻訳はめちゃくちゃ良い。俺は金原さんの仕事をすごく信頼してて、買うか悩んだ時の基準にしてます。ちなみに、作家の金原ひとみさんのお父さんです。翻訳家として本当にいろんな本を手がけていて、児童文学や中高生向けに書かれたヤングアダルト文学もたくさん翻訳してる。この本も背表紙にY.A.Booksって書いてあるから、たぶんヤングアダルト文学なんだと思う。だから読みやすいっていうのもあるんじゃないかな?
Lil Mercy:なるほどね。街の描写とかめちゃくちゃイメージしやすかった。
CENJU:145番通りは本当に黒人ばっかりのところでしょ? キャムロンとかディプロマッツもあの辺が地元だよね。
Lil Mercy:そうそう。でもこの本には、いわゆるアフリカ系アメリカ人だけじゃなくて、ヒスパニックやカリブ系の人もたくさん出てくる。145番通りの雰囲気がわかるというか。実際ハーレム何回か歩いててもそれは感じたな。
ikm:向こうの小説ってとにかく街の描写が細かいよね。「どこそこの角を曲がったデリで俺らはいつも買い物してるから」みたいな。架空の街じゃなくて地元のことを書く。そこが日本と違うとこかも。
Lil Mercy:あとこの本には学校の話も出てくるんです。ハーレムの子供たちが学校の中でどんなことしてるかなんて、普通じゃなかなかわからないから、そういう面でも面白かったですね。
ikm:自分が好きなアーティストの地元の小説を読むのは本当におすすめかも。向こうのアーティストはリリックで地元のめちゃくちゃ細かい場所の話をしますよね。街について書かれた小説を読んでると、たまにリリックの場所が出てくることがあって。そうすると脳内の解像度がグッと上がる気がする。しかも好きなアーティストの曲が流れるシーンもあったり。かなりブチ上がったのはワシントンD.Cが舞台の小説で「地元の英雄・フュガージ(フガジ)が流れていた」という一文を読んだ時。スケボーしてる少年がラジカセで流してたんですよ。ちなみに俺はそこまでフガジが好きなわけじゃなかったけど、テンション上がってCD買っちゃいましたね。しかも一応出版された年を調べて同じ時期のアルバムを(笑)。
Lil Mercy:そうそう。今だったらサブスクでいろいろ聴けるしね。そういう意味でも『ニューヨーク145番通り』はハーレム出身のラッパーが好きな人は楽しめると思います。本当に読みやすいから入門編としてもちょうど良い。このあと何読んだらって聞かれても答えられないと思うけど(笑)。
「フライデー・ブラック」/ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー
ikm:この本は読みきってないんですけど、すでにRRCクラシックに確定しているので持ってきました。
CENJU:これ出たばっかりの本だよね?
ikm:うん。2月とか。構成作家の古川耕さんとRRCの別のメンバーが同じ日に薦めてくれたので速攻買いました。この本は冒頭からいきなりケンドリック・ラマーの言葉が引用されていて。最初の短編「フィンケルスティーン5」は、ブラック・ライブズ・マター運動の発端になったトレイボンマーティン事件がベースになってるんです。この小説では無実の黒人少年達がチェーンソーで首を切られる事件が起こるんだけど、犯人は無罪になってしまう。ちなみに、実際の事件は射殺です。それに対して黒人たちは何を考え、どう対応していくのか、ということが書かれています。興味深いなと思ったのはこの短編に出てくる「ブラックレス」という概念。簡単に言うと「黒人らしさ」ということ。黒人らしさ全開が10だとすると、面接の電話では1.5に抑える。白人に迎合してでも仕事が欲しいから。でも殺人事件が起きた時、哀悼を捧げるために彼は7.6まで「ブラックレス」を上げる。さらにスナップバッグを逆さに被ると8になる、みたいな(笑)。
Lil Mercy:その辺のディティールの表現はすごく理解を助けてくれるよね。
ikm:これを読んでいて、リチャード・ライトの『ブラック・ボーイ――ある幼少期の記録』という小説を思い出したんです。『ブラック・ボーイ』は1908年生まれの作家が書いたアメリカ南部のミシシッピで過ごす少年の話。100年近く前の文学なんです。にも関わらず「ブラックレス」に関してほとんど同じような記述があって。結局、今も昔も全然変わってないんだなって、かなりショックを受けました。
「ローン・レンジャーとトント、天国で殴り合う」/シャーマン・アレクシー
CENJU:前にマーシーくんからアメリカのインディアン居留地・リザベーションを舞台にした『リザベーション・ブルース』という長編小説が回ってきたんですよ。ロバート・ジョンソンという実在のブルースマンが使っていたギターに実は呪いがかかっていて、それを偶然手に入れたリザベーションの少年がバンドを始めるっていう。僕が2冊目に紹介する『ローン・レンジャーとトント、天国で殴り合う』はその著者が『リザベーション・ブルース』よりも前に書いてた短編集です。『リザベーション・ブルース』と同じ登場人物も出てきます。
ikm:日本人からするとインディアンってスピリチュアルなイメージがありますよね? でもこの本を読む限り、実際は全然違う。みんな、めちゃくちゃアメリカナイズされてる(笑)。というか、アメリカ的な生活に憧れを持ってる、という感じかな。でもインディアンはすごく差別されてるから、結局リザベーションから出られない。そのジレンマがこの短編集には結構出てますね。
Lil Mercy:この本を読むまでインディアンのことをあまり理解できていなかったと思います。インディアンはもともとアメリカの先住民族だけど、後から来た白人との戦争になって、内部分裂した結果、負けて最終的に現在のリザベーションを与えられました。しかも戦争の過程でとてつもなく虐殺されてて。インディアンに関しては、アメリカ的に本当に触れづらい歴史なんだと思う。
ikm:興味深いのは、リザベーションの若者たちはどっかでスピリチュアルな感覚を信じてるという部分。ファッションやカルチャーを取り入れても、リザベーションから出られないからそうなってしまう。
Lil Mercy:出られないから、ってとこがキモだよね。読んでて思ったのは、リザベーションってものすごく閉鎖的で能天気な空間に感じてしまう部分もある。
ikm:そこも結局さ、外に出ていけないから能天気にならざるを得ないんじゃない? 
Lil Mercy:なるほどね。ビールを飲み続けるしかないわけか。しかもそのビールもアメリカ政府から支給されたものなんだよね。家も。リザベーションを出たらそういう保護は受けられない。だから出られない。この本で描かれてるリザベーションは、本当に落伍者の群れって感じだった。その描き方の奥があるっていう意味で。
CENJU:あと、この短編ってタイトルが最高じゃない? 「スモーク・シグナルズ」って映画の原作になった「アリゾナ州フェニックスってのは」も良いし、ジミヘンのやつもヤバいと思った。
ikm:「おれはウッドストックでジミ・ ヘンドリックスが“星条旗”を演奏するのを見た、たったひとりのインディアンなんだ」でしょ(笑)。これも金原さんの訳なんですよ。こういうニュアンスも最高だと思っていて。あ、あとインディアンものだと、映画「フィールド・オブ・ドリームス」の原作を書いたW.P.キンセラの本も面白い。あの人は野球とインディアンのことしか書かない(笑)。カナダのインディアンの女の子が白人に暴行されて、不良たちが仕返しに行く話もあったり。キンセラのインディアンものも、スピリチュアルなエピソードはほぼ出てこないですね。
「アメリカ短編小説興亡史」/青山南
Lil Mercy:この本はタイトルのままなんですけど、アメリカの短編小説の歴史や構造などについて書かれたものです。自分はこの本の「いよいよ死ぬぞっていうとき、人間はじぶんにむかって短い話をするものさ――長編はお呼びでないの」というパンチラインが大好きなんですよ。これがこの本の内容を最も端的に表現してる。さっきから俺らが紹介しているのは、実はほとんど短編小説。アメリカでは毎年コンスタントに良い短編小説が出てくると思うんですけど、この本を読むとその理由がわかる。そもそも日本とは、短編の扱いがかなり違う。
ikm:わかる。まず書き方が全然違う。日本の短編は起承転結があって、最後にうまいこと言って落とす、みたいな感じが多い気がするけど、アメリカの文学はその日、突然起こったことを書いたような作品が多い。さっき紹介した『フライデー・ブラック』に「母の言葉」という短編があるんですよ。それは3ページしかない。だけど、ものすごく素晴らしい。誰かの人生のある瞬間にスッと入り込んだ感覚がした。友達の話を聞いてる感じにも近いというか。
Lil Mercy:そうだね。『アメリカ短編小説興亡史』を読むとアメリカ文学の短編がもっと気軽に読めるようになると思う。構える必要もないというか。作家やライターが原稿料を稼ぐために書いてたり、「ニューヨーカー」誌に載せてもらうために書いてたり。つまり名前を上げるための手段でもあったりする。アメリカでは短編を書くためのワークショップがあるっていう話も出てきます。もともとアメリカ文学の短編が好きな人にとっては舞台裏を知ることができるし、それ以外の人も読み物として普通に楽しめるはず。この本は一回友達にプレゼントしたんですが、やっぱり手元に置いておきたくて買い直しました。ただこの注釈に出てくる、短編集は未訳のものが多すぎるんですけどね(笑)。
CENJU:俺はそこまでたくさん読んでるわけじゃないけど、アメリカの短編はちょっとラップっぽいね。
ikm:間違いない。自分のストーリーを1曲の中に落とし込む。俺はマーシーくんのアルバム「WAVES, SANDS, & THE METROPOLIS」は短編集だと思って聴いてた。
Lil Mercy:確かに、1曲ごとに場所というかシュチュエーションは変えて書いてますね。作家ごとに趣向や観点が違うのもラップぽいかもね。あとこの本はアメリカ文化の観点から短編を紹介してるから余計に読みやすいと思う。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200409-00010000-bookasahi-life&p=1

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