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先住民族関連ニュース

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星を数える

2020-04-23 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/22 16:00
 「父は貧しい人の味方のような人でした」。登別市の掛川至さん(72)は振り返る。
 至さんの父、源一郎は伊達高教諭を務めながら、北海道の人や風景を撮った室蘭出身の写真家。
 漁村、開拓農家、アイヌ民族の暮らし、ポリオの子どもたち、伊達火発建設の反対運動、そして有珠山噴火―。2007年に亡くなるまで94年の人生で、撮影した写真は実に幅広い。
 アイヌ民族の歌人で、故郷の伊達で晩年を過ごしたキリスト教伝道者、バチェラー八重子を写した作品群もその一つだ。
 八重子との出会いは1954年、伊達市の有珠聖公会バチラー夫妻記念堂でのこと。源一郎は、八重子が8年後に78歳で亡くなるまで、その日常を写した。理由をこう記す。
 「同胞の救済に生涯を賭け、闘い、疲れ、今はただ祈ることに魂の平安を求めているこの特異な、同時に極めて平凡なお婆さんの人間像を描きたい」
 写真に見る八重子の姿からは温かな人間像が伝わる。幼い頃、一緒に花見に行った至さんも「やさしい人だった」と話す。
 源一郎は八重子の没後、彼女の短歌を収め、2人共著の形で写真集「若きウタリに」を出版した。そのなかに、日曜学校を詠んだ作品があった。
 <空にのみ 星ありとすな 人の世の 星を数(かぞ)へむ 良き子集めて>
 星とは、希望や幸せだろうか。
 今は人の世を重苦しさが覆うが、八重子にならい、星を数えてみたい。(田中秀実)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/414666

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