先住民族関連ニュース

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アイヌ施設「ウポポイ」目的は? 国が整備し文化発信 博物館や慰霊施設も=回答・山下智恵

2020-04-16 | アイヌ民族関連
会員限定有料記事 毎日新聞2020年4月16日 東京朝刊
「民族共生象徴空間」(ウポポイ)の入り口付近=貝塚太一撮影
 なるほドリ 北海道の「ウポポイ」という施設が開業延期(かいぎょうえんき)になったと聞いたよ。どんな施設なの?
 記者 日本列島北部周辺の先住民族(せんじゅうみんぞく)アイヌの文化を国内外に紹介(しょうかい)する拠点として国が整備を進める施設です。正式名称は「民族共生象徴空間(きょうせいしょうちょうくうかん)」で、愛称を「ウポポイ」としました。4月24日開業予定でしたが、新型コロナウイルスの影響(えいきょう)で5月29日まで延期されました。
この記事は有料記事です。
残り514文字(全文735文字)
https://mainichi.jp/articles/20200416/ddm/003/070/024000c

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道職員がアイヌの歴史学ぶ研修会

2020-04-16 | アイヌ民族関連
NHK 04月15日 19時54分
アイヌ文化の発信拠点ウポポイのオープンを来月に控え、道の職員がアイヌの歴史など学ぶ研修会が室蘭市で開かれました。
アイヌ文化の発信拠点ウポポイは来月29日に白老町にオープンします。
これを前に、道の胆振総合振興局の職員にアイヌの文化や歴史を学んでもらう研修会が室蘭市で開かれました。
この中で苫小牧駒澤大学の岡田路明客員教授は、アイヌ民族には客観的な定義はないため、先祖も自分もアイヌであるという意志が求められるということや、アイヌの人たちは江戸時代に漁業の過酷な労働を強いられましたが、胆振・日高地方では少なかったため、多くのアイヌの集落が残ったのではないかとアイヌの歴史を説明しました。
また、アイヌ民族文化財団の村木美幸副本部長は、アイヌであることで差別を受たみずからの経験を紹介したうえで「ウポポイができることで、アイヌ文化への理解が深まり新しい世代がアイヌであることに誇りを持って生きられる社会にしていきたい」と述べました。
胆振総合振興局の佐々木聡部長は「職員1人1人が、アイヌの歴史や文化を理解し発信者となることで、よりたくさんの人にウポポイに訪れてもらいたい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200415/7000020185.html

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<コロナ・ショック 現場は今>消えた物産展 菓子店苦悩 在庫の山 迫る賞味期限 損失額数千万円「どうすれば」

2020-04-16 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/16 05:00
 新型コロナウイルスの感染拡大による物産展の中止が、道内の菓子店の経営を圧迫している。冷凍庫には年明けから準備していた菓子の在庫が積み上がり、損失額が数千万円に上る店もある。未曽有の事態に関係者は「先行きが見えずどうすれば…」と頭を抱える。
 「見ての通りパンパンの状態です」。小樽市の菓子メーカー「円甘味(まるあまみ)」の堀井久志社長(49)は、物産展の中止で普段の3倍近くに膨れ上がった在庫を前に厳しい表情を浮かべる。幅、高さ各2・5メートル、奥行き5・5メートルの冷凍庫の中には洋菓子やまんじゅうの箱約2500個がぎっしりと積まれている。
 3~4月に出店予定だった全国28会場の物産展は軒並み中止になった。物産展1週間分の売り上げは店頭販売1カ月分に相当するため経営への影響は大きく、事態の長期化を見越し、銀行から運転資金を借り入れた。年明けから作り始めた商品の中には5~6月に賞味期限を迎えるものもあり、堀井社長は「在庫が全て廃棄になれば、1千万円以上の損失になる」と頭を抱える。
 胆振管内白老町で洋菓子店を経営する「しらおい菓子工房まいこ」も、3~6月に出店予定だった13回の物産展が全て中止になり、損失額は3千万円以上。毎年の売上高の6割を占める物産展の中止は大きな痛手だ。
 客足も落ち込んでおり、町内2店舗のうち1店舗を休業、工場の稼働も一部停止した。従業員20人を抱え、一部には自宅待機を命じたが、給料は全額支払っている。見込んでいたアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の開業効果も、この状況下では期待できない。佐藤朋子代表(62)は「赤字が続く厳しい状況だが、ネット販売などで少しでも穴埋めしたい」と話す。
 洋菓子製造・販売の「ベイクド・アルル」(江別)の物産展中止による損失は5千万円以上。在庫のチーズケーキやシュークリームは他社の物流センター内にあり、在庫が増えれば保管料もかさむ。在庫解消に向け、7日に自社通販サイトを開設すると15日時点で200件ほどの注文が入ったが、依然として注文800件分の商品が残る。多くは7~8月が賞味期限で、注文が伸び悩めば大量廃棄が発生する可能性もある。その場合には、物産展の主催者側に損害補償を求めることも検討するが、「事情が事情だけに難しいだろう」(担当者)と諦めムードも漂う。(土屋航、岩内江平)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/412773


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道南バス ウポポイ路線新設延期

2020-04-16 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/15 19:39
 【室蘭】道南バス(室蘭)は15日、胆振管内白老町のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の開業延期を受け、24日から予定していた登別温泉―ウポポイの路線新設を延期すると発表した。
 新設路線は1日1往復で、運行開始はウポポイ開業日と同じ5月29日の予定になった。既に運行している登別温泉―札幌駅前、登別温泉―新千歳空港の2路線各1往復も同日からウポポイを経由する。
 また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で減便している室蘭―札幌など都市間バス6路線の減便期間を、4月23日から5月28日までに再延長することも決めた。(今関茉莉)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/412699

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アイヌ絵の世界(8) 小玉貞良「古代蝦夷風俗之図」(部分)

2020-04-16 | アイヌ民族関連
北海道大学客員教授 佐々木利和
日本経済新聞 2020/4/16付
海岸に沿った川ふちを松前城に殿さまへの謁見(ウイマム)に赴く途中のおさ(ニシパ)たちを描いている。前景に2人のニシパ、そして母と子。うしろには献上品を背負った2人の従者。右のニシパの着物は、黒地で裏が赤。背、裾にアップリケを施した着物を左前に着ている。
そのとなりのニシパは青地に白い縞(しま)があり、さまざまな生地を縫い付けたような着物である。2人とも柄を右肩の上に出して太刀(エムシ)を負い、刀…
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https://www.nikkei.com/article/DGXKZO58080360V10C20A4BC8000/

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北海道 白老町のアイヌ文化発信拠点 開業1か月余延期へ

2020-04-16 | アイヌ民族関連
NHK  2020年4月7日 13時23分
国土交通省などが北海道白老町に整備したアイヌ文化の発信拠点「ウポポイ」について、赤羽国土交通大臣は、開業時期を当初の今月24日から1か月余り延期して、来月29日とすることを明らかにしました。
「ウポポイ」は、アイヌ文化を発信するため北海道白老町に整備された国立博物館などの施設の愛称で、今月24日に開業を予定していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、国や地元自治体などが開業時期の検討を進めてきました。
これについて、赤羽国土交通大臣は閣議のあとの記者会見で「北海道ではこのところ感染の状況は安定傾向にあり、特に白老町では感染者は確認されていないが、全国的な感染状況や地元の意向も踏まえ、ウポポイを最高の形でスタートさせることが重要だと考えた」と述べて、開業時期を当初の予定から1か月余り延期して来月29日とすることを明らかにしました。
そのうえで赤羽大臣は「新たな開業日までの間を『攻めの準備期間』として位置づけて、ウポポイの認知度の向上など来場を一段と加速する取り組みを進めていきたい」と述べました。
白老町長「情報発信やPRに取り組む」
北海道白老町の戸田安彦町長は「オープンを楽しみにしていた町民にとっては大変残念なことだが、国内外の状況を考えると国の判断は正しいと考えている。ウポポイから感染者が出る可能性もあるため、白老町としてはきのう、開業よりも感染拡大防止に努めたいという意向を国に伝えた。1か月の期間ができたので、さらなる情報発信やPRに取り組みたい」と話していました。
アイヌ協会理事長「延びた分だけきちんと準備」
北海道アイヌ協会の加藤忠理事長は「残念な気持ちだが、新型コロナウイルスの影響で日本全国のイベントが中止や自粛となっているので、ウイルスを克服してから開業するほかない。1か月の延期期間については長いとも短いとも思わない。ウポポイのオープンはアイヌ民族が待ち望んでいた歴史の1ページでもあるので、準備期間が延びた分だけきちんと準備をして、多くの人が来てくれることを期待しています」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200407/k10012371891000.html

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「本の地産地消」、地方の文化継承へ

2020-04-16 | アイヌ民族関連
オルタナ4/15(水) 15:08配信
北海道札幌市にある中西出版は北海道の歴史や自然、文化に関連する書物を扱っている地方出版社だ。社員は5人だが、30年にわたって北海道の魅力を書籍で発信しており、北海道における地方出版社の中核的な存在となっている。(武蔵大学松本ゼミ支局=反田 実穂・武蔵大学社会学部メディア社会学科2年)
近年多くの世代で本離れが急速に進んでいる。特に少子高齢化による人口減少が著しい地方では、その地域の文化を支える情報発信の担い手だった地方出版社が、縮小する市場で東京の出版社と競合し、非常に厳しい状況に置かれている。
本州とは海を隔てて独自の風土や文化に恵まれた北海道も、例外ではない。こうした中北海道の出版文化の存続と道民の読書習慣の向上に向け、地方出版ではまだ数少ない電子出版に力を入れている出版社がある。
武蔵大学松本ゼミでは、そうした地方出版では珍しい電子出版に力を入れている北海道札幌市にある中西出版を訪問し、代表取締役の林下英二さん、常務取締役の河西博嗣さんに、これからの地方出版に必要な取り組みについてお話を伺った。
中西出版は1988年に中西印刷の出版事業部から独立。以後約30年間、事業を通して、北海道の地方出版の中核的な存在として多くの地元の本の出版を手掛けてきた。社員は5名で、他にデザイナーなど、社外スタッフを抱えている。
中西出版では主に北海道の歴史や自然、文化に関連する書物を扱っており、売り上げの比率は道外が2割、道内が8割を占めている。「本を作る人も題材も読者も北海道にこだわり、地元の人に地元の良さを伝えることを目標に本をつくっているため、それだけ地元の読者に多く読まれているのではないか」と林下さんと河西さんは語る。
地域をテーマにした本で近年、大きな話題となったのが、北海道を舞台にその魅力を伝える絵本「おばけのマ~ル」シリーズだ。2005年に『おばけのマ~ルとまるやまどうぶつえん』が出版されて以来、雪まつりや科学館などを舞台にした作品が出版されて、今年春には白老町に誕生するアイヌ文化復興等のナショナルセンターであるウポポイ(民族共生象徴空間)を舞台に、第10作目となる『おばけのマ~ルとすてきなことば』が発売される予定である。
こうした地域に根差した本を出版しつつ、それを多くの読者に読んでもらうため、中西出版では道内出版社の中では最も早く電子出版事業に取り組んでいる。2013年に道内の他の出版社に呼び掛けて一般社団法人北海道デジタル出版推進協会を設立し、林下さんが理事に就任した。こうして電子書籍化の取り組みは道内で徐々に広がり、2014年の札幌市中央図書館リニューアルオープンの際には、電子書籍閲覧サービスが開始された。
近年ではSTVのラジオ番組で北海道の歴史で重要な役割を果たした人をとりあげて大きな話題となった「ほっかいどう百年物語」の書籍化をしたが、その電子版では読者が関心のある人物やコンテンツ毎にばら売りもしている。
河西さんは中西出版のこうした手法を、「紙と電子のハイブリッド」と表現する。読者に出来る限りの選択肢を提供し、本に触れる機会を増やすことが読書習慣の向上に繋がっていくと考えているという。
今日、娯楽の多様化やSNSなどのメディアの出現により、全国的に読書離れは深刻化している。ターゲットを地域の読者に地域の魅力を伝えていくことに絞り、それを若い世代を中心としたデジタルデバイスで情報を得る習慣の広まりを踏まえ、紙媒体と電子媒体の双方で出版して読書習慣を維持していこうとする中西出版株式会社の取り組みは、これからの地方出版にとって重要である。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200415-00010002-alterna-soci

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デビュー2作目で直木賞を受賞した現役会社員作家・川越宗一が明かす「受賞後の生活」

2020-04-16 | アイヌ民族関連
SPA! 4/15(水) 8:51配信
 会社勤めのかたわら、40歳を手前にして小説を書き始めたというその男はデビューからわずかにして小説を書き始めたというその2年足らずで眩い脚光を浴びることとなった。今年1月に発表された第162回直木賞を『熱源』で受賞した川越宗一。
ʼ18年に発表した『天地に燦たり』が文学賞への応募2作目にして松本清張賞を射止めると、デビュー2作目で直木賞受賞。あまりにも順調すぎるように見えるキャリアを当の本人はどう受け止めているのか。
自分の幸せとか生き方とかは自分で決める
――直木賞の受賞に際しては「現役会社員が異例のスピート受賞」ということで注目を集めました。川越さんの周囲ではどのような受け止められ方をしていましたか?
川越:授賞式の会見を見てくれた会社の人には「やればできるじゃん」と言われましたね。普段、そんなにひどいのかな……。ただ、最初はみんな声をかけてくれましたが、それももう落ちついてきて今は普通です。いつも通りのダメサラリーマンに戻りました。今日もこの取材のあとに出社します。
――「直木賞を受賞して世界が変わった」みたいなこともなく?
川越:もちろん作家さんのなかには華々しい生活を送られている方もいるかと思うのですが、僕はそんなに変わらなかったですね。お祝いの花をたくさんいただいたので、家はすごく華々しくなったのですが……。
――物理的に華々しく(笑)。
川越:特に胡蝶蘭をたくさんいただき、大事に世話はしたものの、結局枯れてしまって泣く泣く処分することとになり。そのときに初めて気づいたのですが、実は贈答用の胡蝶蘭って見えない部分が針金で支えられていて、結束バンドでガチガチに固定してあるんですよ。おかげで「後片付けがすごく大変」という有用なトリビアを得ることはできました (笑) 。
自分が絶対に読んでみたいと思える題材を小説にしている
――スピード受賞もさることながら、小説とは無縁だった経歴も驚きをもって受け止められました。 受賞作『熱源』の題材は小説を書き始める以前にたまたま行った夫婦旅行で、アイヌ民族博物館にあるブロニスワフ・ピウスツキの銅像に出会ったのがきっかけだったそうですね。
川越:そのときはまだ小説を書こうとまったく考えていなかったので、「そういった物語があったら読みたいな」と思っていたくらいでした。ポーランド人なのになぜアイヌの土地に銅像が立っているのだろうかという疑問から資料にあたったり、そこから妄想したりして、イメージを膨らませていったという感じです。
――『天地に燦たり』もご夫婦で行かれた旅行がきっかけだったとか。
川越:そうですね、沖縄で守礼門を見た際にいろいろなことに思いを馳せたのがそもそもの着想でした。いうなれば「もし小説になったら絶対に読みたい」っていう題材が、自分にとっての『熱源』と『天地に燦たり』の世界だったんです。
――実際に執筆を進めていくうえで、特に意識したことはありますか?
川越:普通の人を普通に書きたいという思いがありました。登場人物は結果的に英雄のような行動をしましたが、生まれついての英雄なんてそうはいないだろうという思いもあり……「普通の人が普通に頑張ろうと思って、普通にダメになる」みたいな話があってもいいんじゃないかなって。普通の人って、なかなか目標通りにいかないじゃないですか。
――たしかに、ある意味でありふれた等身大の挫折が、歴史的な背景や当時の空気感と合わさって丹念に書かれていたのが印象的でした。
川越:あと、明らかに悪を働く人もいるかもしれませんが、僕が思うに世の中の矛盾や理不尽の大半は基本的に誰かが善かれと思ってやっていることがグニャッと歪んでいった結果じゃないかなと。それぞれの立場があり、それぞれの言い分や事情がある。戦争や同化など『熱源』は人々が対立するエピソードが多いですが、それも誰かが善かれと思った行動が次第に歪んでいってしまった結果だと考えながら書いています。
※4/14発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
【Soichi Kawagoe】
ʼ78年、大阪府生まれ。京都府在住。龍谷大学文学部史学科中退。’18年、『天地に燦たり』で第25回松本清張賞を受賞。『熱源』は第10回山田風太郎賞候補、第9回本屋が選ぶ時代小説大賞、第162回直木賞を受賞。現在も会として働きながら執筆活動を続ける
取材・文/倉本さおり 撮影/尾藤能暢
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200415-01659418-sspa-soci

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台湾がWHOのテドロス発言に猛反発した背景

2020-04-16 | 先住民族関連
東洋経済4/16(木) 5:25配信
 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長による、台湾を名指しした発言が波紋を広げている。
 テドロス氏は4月8日の記者会見で、自身が過去3カ月以上にわたり、台湾から人種差別を含むさまざまな嫌がらせを受けたとして、台湾を名指しして抗議した。これに対し、台湾外交部は翌9日、正式な抗議と謝罪を強く求め、台湾国内でもテドロス氏やWHOに対する抗議の声があがっている。
■中国寄りのテドロス氏への反発
 テドロス氏は新型コロナウイルスの発生当初から、その姿勢が中国寄りで現実に対処できていないと批判されていた。台湾はWHOへオブザーバー参加を求めてきたものの、中国の反対があって実現できていなかった。今回のテドロス氏に対する抗議には、こうした事情も背景にあるとみられている。
 台湾は中国大陸と距離が近く、人的交流が盛んなため、中国・武漢発の新型コロナウイルスの感染拡大が心配されてきた。4月14日現在、台湾の累計感染者数は393人、同死亡者数は6人と、他国と比べて感染拡大をうまく抑制できている。
 さらに、マスクなど医療用製品の不足が世界的に問題となっている中、台湾は自国でのマスク生産を日産約1500万枚に引き上げ、日本などへ提供を始めるなど、世界が台湾の存在感に注目している最中でもあった。
 中国の影響力が強い国際社会において、いわゆる「マスク外交」を展開し、台湾の存在感を高めようという意図が感じられる。しかし今回、台湾がテドロス氏に猛反発している背景には、外交面以外の理由もありそうだ。
 台湾の蔡英文総統は4月9日に自身のフェイスブックに投稿し、「テドロス氏を台湾に招き、台湾人がいかに差別と孤立の中で世界と接点を持ち、国際社会に貢献するための努力をしているかがわかるだろう」と記した。ここに、台湾社会の意識が内包されている。
 世界中のどこにおいても、さまざまな形の差別がある。しかし、それを克服する過程でさまざまな経験や教訓を得ながら、人々はより豊かで、やさしさにあふれた社会を作り上げていく。2011年の東日本大震災で日本に200億円以上の義援金を送ったことからもわかるように、台湾は弱者や傷ついた人々とともに寄り添おう、手を差し伸べようとする空気が根強い。
 筆者が台北に住んでいた1970~1980年代、ガムやあめ、自動車の中に飾るような花を、身体障害者が路上で必死に売ろうとする姿をよく目にした。買う、買わないは別として、台北市民がそんな身体障害者を嫌がったり煙たがった様子を目にすることはなかった。誰もが「彼らの生活は大変だ」という同情心があったように思う。
 また、通学していた台北の学校では、台湾人のお年寄りに先の戦争体験や日本統治時代の思い出を聞き取るという課題が出された。あるお年寄りは、「私は日本人の先生から本当に良くしてもらった。台湾人だからと差別はなかった。だから私も自分の子どもたちに差別はいけない、人にやさしくすべきと教えてきた」と語ってくれたこともある。家庭教育の中で、差別はいけないと教えられた人々も少なくない。
■人種差別で台湾人が思い出す「ある事件」
 1980年代後半から民主化が進むと、台湾社会のマイノリティーである先住民族(中国大陸から台湾への移民が増える17世紀以前に居住していた台湾の先住民族をルーツに持つ人々)の社会的地位向上への取り組みや、受け入れを増やしてきた外国人労働者、さらには中国大陸との交流による中国人配偶者が増加し、さまざまなルーツを持つ人々がともに生活できる社会をどうつくるかが台湾社会で大きな課題となっていた。
 その過程で、台湾は試行錯誤しながらも、多様な人々を受け入れて彼らを支える社会づくりに強い意識をもって取り組んできた歴史がある。したがって、テドロス氏の人種差別発言は、差別や人権について改めて考える機会となっているようだ。
 人種差別といえば、台湾人が思い出す事件がある。台湾では「黒人牙膏」という商品名の歯磨き粉が売られている。牙膏とは中国語で歯磨き粉を意味し、日本語で言えば「黒人ハミガキ」となる。
 1980年代ごろまでは、パッケージに明らかに黒人とわかるデザインが印刷されていた(今は変更されている)。戦前から中国で販売され、戦後は台湾でも生産が開始されたものだが、1990年代ごろから欧米社会を中心に「人種差別的だ」との批判を浴び、英語での商品名も差別的なニュアンスのある「DARKIE」から、現在の「DARLIE」に変更した。中国語名については、当時はあまり問題視されなかったことや、人々の間で浸透していたこともあり、いまだそのままだが、この商品に対する批判は今でも台湾社会の中にある。
 2015年には、中国企業が製造した洗剤のテレビCMが台湾でも話題になった。黒人を洗濯槽に入れて自社の洗剤を入れて洗うと中国人が出現するという内容で、これも「人種差別的だ」として批判が集中、企業は謝罪に追い込まれた。中国企業の問題だったとは言え、これは台湾社会にも広く伝わった。
 戦前戦後の歴史やこのような事件などが重なり合い、今日の台湾人にとって人種差別や人権への意識は他国と比べて相対的に高い。現在、同性婚が認められ、性の多様性(LGBT)への意識が高いとして台湾が評価されているのも、そのような歴史を持つことが背景にある。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200416-00344567-toyo-bus_all

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