北海道新聞 08/02 21:53 更新
国立アイヌ民族博物館が学校教諭向けに初めて開いた研修会
【白老】胆振管内白老町のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の国立アイヌ民族博物館は2日、初めて小中高校などの教諭向けの研修会を行った。アイヌ民族への正しい理解の促進や差別解消につなげるのが狙い。小中高校で順次採用されている新学習指導要領でアイヌに関する記述が拡充されたり、新たに盛り込まれたりしたことを踏まえた。
初の研修会は小中学校と特別支援学校の教諭が対象となり、同管内の43人は現地を訪れ、全道各地の33人はオンラインで参加した。博物館の佐々木史郎館長が「アイヌ民族への理解を深めるための学校、博物館の役割」と題して講演した後、文化庁職員がアイヌ民族への差別の歴史を授業で取り上げる際の注意点を解説した。
参加した登別市立西陵中の社会科教諭高橋孝平さん(28)は「誤った認識が差別につながった経緯を知り、正しい理解の必要性が分かった。今後の指導に生かしたい」と話した。
研修会は今のところ道内の教諭向けに開く方針で、道教委の研修に博物館職員を派遣することも計画している。これとは別に全国の学校現場で来年度から活用してもらうため、動画教材の制作も進めている。
小学校の学習指導要領には昨年度から「先住民族であるアイヌの人々には独自の伝統や文化があることに触れるようにする」と明記され、中学、高校も同様の内容が盛り込まれた。しかし、差別問題を授業でどう扱うかは触れられておらず、現場に判断が任されている上、教師の理解度にも差があるのが現実だ。
さらに、ウポポイ開業後、ネット上でアイヌ民族への差別的な投稿が相次いだほか、日本テレビ系列の情報番組で差別表現が放送されたことも問題となった。
博物館教育普及室は「差別の背景にはアイヌ民族の歴史と文化に関する教育や理解の不足がある。学校教育の重要性は高まっている」と指摘している。(斎藤佑樹)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/574135
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/aa/cc51a1a22ca8cd9ca1884158d2bf451d.jpg)
【白老】胆振管内白老町のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の国立アイヌ民族博物館は2日、初めて小中高校などの教諭向けの研修会を行った。アイヌ民族への正しい理解の促進や差別解消につなげるのが狙い。小中高校で順次採用されている新学習指導要領でアイヌに関する記述が拡充されたり、新たに盛り込まれたりしたことを踏まえた。
初の研修会は小中学校と特別支援学校の教諭が対象となり、同管内の43人は現地を訪れ、全道各地の33人はオンラインで参加した。博物館の佐々木史郎館長が「アイヌ民族への理解を深めるための学校、博物館の役割」と題して講演した後、文化庁職員がアイヌ民族への差別の歴史を授業で取り上げる際の注意点を解説した。
参加した登別市立西陵中の社会科教諭高橋孝平さん(28)は「誤った認識が差別につながった経緯を知り、正しい理解の必要性が分かった。今後の指導に生かしたい」と話した。
研修会は今のところ道内の教諭向けに開く方針で、道教委の研修に博物館職員を派遣することも計画している。これとは別に全国の学校現場で来年度から活用してもらうため、動画教材の制作も進めている。
小学校の学習指導要領には昨年度から「先住民族であるアイヌの人々には独自の伝統や文化があることに触れるようにする」と明記され、中学、高校も同様の内容が盛り込まれた。しかし、差別問題を授業でどう扱うかは触れられておらず、現場に判断が任されている上、教師の理解度にも差があるのが現実だ。
さらに、ウポポイ開業後、ネット上でアイヌ民族への差別的な投稿が相次いだほか、日本テレビ系列の情報番組で差別表現が放送されたことも問題となった。
博物館教育普及室は「差別の背景にはアイヌ民族の歴史と文化に関する教育や理解の不足がある。学校教育の重要性は高まっている」と指摘している。(斎藤佑樹)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/574135