北海道新聞 08/09 05:00
国立競技場(東京都新宿区)で8日夜に行われた東京五輪の閉会式は、新型コロナウイルス禍の中、開会式と同様、無観客となったが、困難を乗り越え、力を尽くしたアスリートたちをたたえ、開催への感謝を訴える内容だった。一方で、競技場の外では開催に抗議する声が響き、五輪の在り方が最後まで問われた格好となった。
入場した各国・地域の選手たちは入り乱れて国旗を振ったり、ビデオカメラを回したりしていた。開放感からか選手の間隔は近く、マスクを外し、肩を組んで記念撮影する姿もあった。
日本選手団は90人で、このうち道内関係は選手4人が入場した。いずれも札山の手高出の町田瑠唯(28)=富士通、長岡萌映子(27)=トヨタ自動車、東藤なな子(20)=トヨタ紡織=はこの日、バスケットボール女子で銀メダルを獲得したばかり。晴れやかな表情でテレビカメラに手を振った。野球で金メダルに輝いた田中将大(32)=楽天、駒大苫小牧高出=は両手の拳を突き上げていた。
無観客のスタンドではボランティア、出演者らが代わりに拍手で健闘をたたえた。大会を支えたボランティア8人に謝意の花束が渡されると、選手からはこの日一番の拍手が送られた。
式典の中盤では、光と影の演出が印象的なアイヌ古式舞踊の映像が大型ビジョンで流れた。琉球エイサー、秋田県の西馬音内盆踊りなどの映像が続き、日本の伝統文化を発信した。「復興五輪」のメッセージは見られなかったが、前回リオデジャネイロ大会に続き、さまざまな理由で亡くなった人々を追悼する時間が設けられた。
一方、競技場の外は閉会式の花火に歓声が上がり、記念撮影する人たちで混雑した。都内の会社員川村環さん(52)は世界各国の言葉で「ありがとう また会いましょう」のメッセージを入れた横断幕を手に、小学5年の娘と訪れた。「選手が頑張った姿を見て気持ちが明るくなった。『やって良かった』と思った人も多いはず」と話した。
競技場周辺は開会式の時よりも多い警官が立ち並ぶ物々しい雰囲気。100人を超える市民が五輪に抗議の声を上げた。川崎市の清掃員関口実さん(63)は、都内をはじめ全国で新規感染者が急増する事態に「大会と関係がないとは思えない。五輪の開催費用を医療に回せたら、救える命がたくさんある」と訴えた。(須貝剛、渡辺史哉、木村直人)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/576505
国立競技場(東京都新宿区)で8日夜に行われた東京五輪の閉会式は、新型コロナウイルス禍の中、開会式と同様、無観客となったが、困難を乗り越え、力を尽くしたアスリートたちをたたえ、開催への感謝を訴える内容だった。一方で、競技場の外では開催に抗議する声が響き、五輪の在り方が最後まで問われた格好となった。
入場した各国・地域の選手たちは入り乱れて国旗を振ったり、ビデオカメラを回したりしていた。開放感からか選手の間隔は近く、マスクを外し、肩を組んで記念撮影する姿もあった。
日本選手団は90人で、このうち道内関係は選手4人が入場した。いずれも札山の手高出の町田瑠唯(28)=富士通、長岡萌映子(27)=トヨタ自動車、東藤なな子(20)=トヨタ紡織=はこの日、バスケットボール女子で銀メダルを獲得したばかり。晴れやかな表情でテレビカメラに手を振った。野球で金メダルに輝いた田中将大(32)=楽天、駒大苫小牧高出=は両手の拳を突き上げていた。
無観客のスタンドではボランティア、出演者らが代わりに拍手で健闘をたたえた。大会を支えたボランティア8人に謝意の花束が渡されると、選手からはこの日一番の拍手が送られた。
式典の中盤では、光と影の演出が印象的なアイヌ古式舞踊の映像が大型ビジョンで流れた。琉球エイサー、秋田県の西馬音内盆踊りなどの映像が続き、日本の伝統文化を発信した。「復興五輪」のメッセージは見られなかったが、前回リオデジャネイロ大会に続き、さまざまな理由で亡くなった人々を追悼する時間が設けられた。
一方、競技場の外は閉会式の花火に歓声が上がり、記念撮影する人たちで混雑した。都内の会社員川村環さん(52)は世界各国の言葉で「ありがとう また会いましょう」のメッセージを入れた横断幕を手に、小学5年の娘と訪れた。「選手が頑張った姿を見て気持ちが明るくなった。『やって良かった』と思った人も多いはず」と話した。
競技場周辺は開会式の時よりも多い警官が立ち並ぶ物々しい雰囲気。100人を超える市民が五輪に抗議の声を上げた。川崎市の清掃員関口実さん(63)は、都内をはじめ全国で新規感染者が急増する事態に「大会と関係がないとは思えない。五輪の開催費用を医療に回せたら、救える命がたくさんある」と訴えた。(須貝剛、渡辺史哉、木村直人)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/576505