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倶知安で育児マップが味方 子連れで使いやすい公園や飲食店紹介 町内の母親グループ、10月配布

2021-08-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞 08/27 19:18
【倶知安】町民団体「PopkeLab(ポッケラボ)」は、子育て世代向けの町内情報を一覧にした「くっちゃん子育てMAP」の制作に取り組んでいる。公共施設のトイレの有無や種類、キッズスペースや小上がりのある飲食店を紹介。転勤や移住で町に住む子育て中の世帯らに使ってもらう狙いだ。9月上旬に完成予定で、10月に町広報誌と一緒に配布するほか、町役場などに置く。
 くっちゃん子育てMAPはA3判の表裏カラー1枚。表面に、公共施設のほか、子育て世代が使いやすい商店や飲食店を選んで、おおよその位置を記載。ポッケラボのメンバーが子育てに助かると感じた情報をマークやひと言メモなどで記した。裏面では、一部の施設を写真入りで紹介している。
 8千部を配布予定。制作費20万円は町からの助成金を利用し、1年ほど前から制作を続けてきた。
 ポッケラボは2019年10月に町の子育て世代を応援する目的で、子育て中の女性が集まって立ちあげたグループ。ポッケはアイヌ語で「あたたかい」、ラボは英語で「研究所」の意味。代表理事の松井雅子さんは「町は転勤者や移住者が多いものの、まとまった子育て情報の提供が少ない」とし、撮影やデザインなどの作業を分担しながら、メンバーの自宅などに集まって制作してきた。松井さんは「1人での子育ては大変。町の機能を伝えることで、役に立てれば」としている。(宇野沢晋一郎)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/582866

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今を生きる先住民族アイヌ 葛藤の先に描く未来

2021-08-28 | アイヌ民族関連
NHK 2021年8月26日 18時11分

「今ここに生きていることを知ってほしい」
日本の先住民族、アイヌの男性が語った言葉です。
「多様性と調和」という理念を掲げた東京オリンピックで、世界にマイノリティーのメッセージを発信したいと、競技会場で伝統舞踊を披露しました。
そこには歴史を知ってほしいというアイヌの家族の切実な願いが込められていました。
(室蘭放送局記者 中尾絢一/おはよう日本ディレクター 中田実里)
アイヌ文化を発信 次へのきっかけに
東京オリンピック最終日の8月8日。
札幌では、男子マラソンのスタート前に、緊張感を漂わせたグループがオープニングセレモニーの出番を待っていました。
アイヌの民族衣装に身を包み、大会公認プログラムとして伝統舞踊を披露する踊り手たちです。
「この現場の熱を届けられるようなステージにしたい」
中心メンバーの1人、貝澤太一さん(50)は意気込んで舞台に向かいました。
表現したのは森羅万象に神が宿り、すべてのものを敬う「アイヌの精神性」です。
長髪の女性が頭を激しく揺らし、嵐で松の木が揺れる様子を表現した「黒髪の舞」。
鳥の美しさに見とれ矢を放てなかった狩人の姿を伝える「弓の舞」。
地域に伝わる歌や踊りを約40分間の舞台で演じました。
貝澤太一さん
「かっこいいな、きれいだなと、親しみやすい形でわれわれの存在を訴えられたのは大きかった。これが全てでは決してないと思っているけれど、次へのきっかけにはなったと思う」
歴史と向き合い葛藤する家族
太一さんは、北海道平取町で生まれ育ちました。
現在もアイヌの人たちが多く暮らす地域です。
北海道やサハリンなどで古くから暮らしてきたアイヌ民族。
狩猟や漁を生活の糧として暮らしてきました。
しかし、明治政府の政策によって環境が一変しました。土地を追われ、独自の文化や風習も禁止。
学校では日本語を学ぶように求められるなど、同化政策によってアイヌ語や伝統的な風習は急速に失われていきました。
生活の糧を奪われて貧困に陥る人も多く、偏見と、就職や結婚の差別にも苦しんできました。
こうした歴史に向き合ってきたのが、太一さんの祖父・正さん(享年79)と父・耕一さん(75)です。
アイヌ民族の尊厳と権利を回復しようと尽力していた正さんは生前、「入植者の乱伐で森が荒れ果ててしまった」と嘆いていたといいます。
森をアイヌ民族の手に取り戻し、再生させたいと決意。生涯をかけて植林活動を続けました。
その意志を引き継いだのは耕一さんです。
平取町を流れる沙流川のダム建設計画では、アイヌ民族が信仰の対象としてきた岩山や必死で開墾した田畑がダム開発で水没することになり、土地収用を不服とした「二風谷ダム」裁判を原告の一人としてたたかいました。
1997年、裁判所はアイヌを先住民族と認め、文化への配慮を欠いた国に違法性があるとする判断を示しています。
その後日本では、2年前に施行された「アイヌ施策推進法」でアイヌ民族が初めて「先住民族」と明記されました。
最近では、アイヌ民族の少女が登場する漫画「ゴールデンカムイ」の人気もあって、アイヌ文化への注目も集まっています。
歴史が忘れ去られてしまう怖さ
こうしたなかで迎えた今回の東京オリンピック。
マラソン・競歩のオープニングセレモニーで伝統舞踊を披露し、新型コロナの感染対策として無観客ながら、インターネットで世界に発信することになりました。
しかし、70歳を超える耕一さんは、複雑な思いでした。
文化にばかり注目が集まり、歴史が忘れ去られていくことを懸念したのです。
「今の若い人たちは興味があることには関心を示す。関心がないものはあまり学ばない。過去の歴史からかっこいいところだけを見てほしくない。みんなの心からなくなれば、歴史が消されることになる。それが怖いんだ」
アメリカ、カナダ、オーストラリアなど諸外国では先住民族の権利が認められ、漁業権や土地の所有権による経済的な自立が進められています。
「森林や川を自由に使えるのは、アイヌにとっても当然の権利ではないか」と考える耕一さん。
去年、権利回復を求める署名活動を始め、5000筆あまりの賛同を得て、北海道知事に提出しました。
しかし、長年、真正面からの主張を続けても、日本社会が変わらない現状にジレンマを感じています。
父の不安に、太一さんも同じ思いでいました。
ただ、そもそも存在が認知されていない中で、アイヌの権利を訴えていくだけでは何も変わらないという思いもあります。
貝澤太一さん
「父は、正しいことをやっていれば誰かが見てくれていると思っている。ただ今は情報がありすぎて埋もれてしまう。父と考えの根っこは一緒だけど、方法は時代に合わせて変えないといけない」
オリンピックの公認プログラムとして採用された伝統舞踊。
この機会をどうアイヌの権利回復につなげていくか。
貝澤太一さん
「『権利を認めて』と言っても理解してもらえない。日本の人たちにはアイヌが生きているという実感がないから。オリンピックは一つのきっかけにすぎない。これをどう頭を使って膨らませていくかが大事」
まずは気付いてもらうために
太一さんは、アイヌの暮らしや精神を知ってもらうことを入り口にして、自然と歴史にも目が向くような仕掛けができないか考えました。
取り組んでいるのは、本州などから訪れる人たちがアイヌ料理や森の暮らしを体験できるツアーの企画です。
森に入る前には安全を願ってアイヌ語で神様に祈ることや、狩りで使っていた「クチャチセ」と呼ばれる小屋づくりを通じて、自然の中で生きる知恵を教えます。
参加者の女性
「アイヌの人は、自然から生かしてもらっているという感覚を持っている。私たちの感覚と違うと思った」
貝澤太一さん
「森や川との関わりはすごく大切。アイヌとは切っても切り離せない関係だと考えているので、しっかり伝えられるように話に盛り込んでいる。『この森がもともとはアイヌの人たちのものだったかもしれない。明治以降に自分たちの先祖がやってきたことは本当に正しかったのだろうか』と気付いてもらいたい」
人は死んでも森は生きる
森を訪れた人たちに、必ず伝える話があります。
明治以降の入植で大量の木材が伐採されてしまったこと。
父の耕一さんが30年近く前、すっかりはげてしまった私有地の森林を買い取ったこと。
そして植林を始めたこと。
本来北海道にあった豊かな森林を取り戻すための活動であること。
太一さんは2年前、森林を開発から守り保全を目指す団体の代表を父の耕一さんから引き継ぎました。
本来あった豊かな森の姿を子や孫の世代に残したいと、全国の個人や団体から寄付も寄せられているといいます。
アイヌの人たちが生活の中で自由に森林を利用し、アイヌ文化を学ぶ場にもなる。
実現するのは遠い未来かもしれない。
それでも、それが貝澤さん親子の思い描く森林の姿です。
貝澤太一さん
「植林して本来の自然になるには100年、200年の時間がかかる。本来の森ができるころには、もちろん自分は死んでしまって生きているうちに見られない。でも、だれかが思いを受け継いでくれたら森は生きるし、希望を託すことができる。アイヌが大切にしてきた森林を守りたいという考え方をひとりでも多くの人に理解してもらいたい」
社会のあらゆる場面で多様性の尊重が叫ばれる現代。
それでもアイヌの人たちは「今ここに生きることを知ってほしい」というところから始めなければいけない現状があります。
「明治から150年かかってこうなったんだから、まだ時間はかかるよ。頑張るしかない」
太一さんは先を見据えて活動を続けています。
貝澤さん家族のように表だって活動する人がいる一方で、差別や偏見をおそれ、アイヌであることを隠し続けて生きる人もいます。
あらゆる立場の人たちが生きやすい社会をつくるために、何をすべきなのか。
その問いは、アイヌの人たちではなく、社会の多数派を構成する「私」たち一人ひとりにこそ突きつけられているのだと、強く感じました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210826/k10013223791000.html

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音声データの“脱植民地化”を目指せ:ビッグテックから母語の主権を守るマオリの人々

2021-08-28 | 先住民族関連
DIVERSITY2021.08.27 FRI 18:00:50

日本や世界では人種差別による同化政策によって、いまも2週間にひとつの割合で先住民族の言語が死に絶えている。そんななかニュージーランドのマオリ語の放送局は、貴重な音声データをビッグテックやグローバル企業に明け渡すのではなくマリオの人々のために役立てようと、独自に機械学習による自動音声認識ツールの開発に乗り出している。いまや言語の再生と復興に力を注ぐ他の先住民コミュニティにも拡がる音声データの「脱植民地化」を追う。
2018年3月、ニュージーランドの最北端付近に位置する小規模非営利ラジオ局〈Te Hiku Media〉のピーター=ルーカス・ジョーンズとその他10名のスタッフは、信じられない思いでいっぱいだった。
〈Te Hiku〉はマオリ語の放送局だ。当時、同局が開催したコンテストのおかげもあって、ニュージーランド中のマオリ語話者から10日間で300時間を超えるマオリ語の注釈付き音声データが寄せられていた。自動音声認識(ASR)ソフトや文字起こしソフトといった、「te reo Māori(マオリ語の意)」のための言語ツールを開発するには充分な量のデータだった。
ジョーンズら〈Te Hiku〉のスタッフとエンジニアのひとりは、マオリ語に特化した音声認識技術のパイオニアになろうとしていた。しかし、言語ツールの開発は、まだ戦いの前半戦に過ぎなかった。ほどなく彼らは、先住民族語のデータセットを独自に開発しようとする複数の企業からの要請や、マオリには利益をもたらさない欧米流のデータ共有手法と対峙することになる。
ジョーンズらは、彼らのデータを守ることを最優先に考えた。マオリ語の復興に本当の意味で関心をもっていたのは、マオリ自身だけだったからだ。
注釈付きデータが不足
世界中で言語が失われつつある。国連の推定では、2週間にひとつの割合で先住民族の言語が死に絶えているという。その主な原因が人種差別による同化政策だ。
20世紀に入ってもなお、マオリの子どもたちは学校でマオリ語を口にすると辱めや体罰を受けるのが常だった。その結果、その世代が大人になったとき、自分の子どもを同じような迫害から守るため、母語を伝承しないことを選ぶ人が増えてしまった。これが、1920年から60年にかけてマオリ語が衰退した大きな要因だ。
現在、多くの先住民グループで母語を流暢に話せる人の数が減少し、また話せる人も高齢化が進んでいる。そうした人々の言語も、そのなかに込められた伝統的な知識も、どちらも絶滅の危機に瀕している。
〈Te Hiku〉のCEOを務めるジョーンズとCTO(技術責任者)のキオニ・マヘロナは、30年以上にわたるラジオ放送で収録された膨大な量の音声をデジタル化した際、音声認識技術の必要性を感じるようになったという。
「マオリ語の慣用句や口語的表現、独特な言い回しなどを全て収めました」とジョーンズ。英語や時代の影響をあまり受けていない、ほぼ生粋のネイティヴ発音のみを集めた。しかし、このリソースをニュージーランド国内外に住むマオリの人々に役立ててもらうには、音声を文字に書き起こす必要がある。そして、その何千時間にもおよぶ音声データを文字に変換するためには、コンピューターがマオリ語を話せるようにしなくてはならない。
コンテンツをテキスト化するシステムの構築に必要なツールや音声認識技術は、Mozillaの「DeepSpeech」のようなオープンソース・ツールがあり、比較的入手しやすい。しかし、先住民コミュニティにとって一番の問題は、システムをつくるための注釈付きデータが不足しているということだ。
先住民言語のASR開発を牽引
事前に蓄積されたデータが無い状態で音声認識ツールをいちから開発するためには、通常、軽く見積もっても1万時間の注釈付き音声が必要だと、オープンソースの音声技術を開発するスタートアップ企業「Coqui」の共同設立者ケリー・デイヴィスは言う。古い記録がほとんど残されていない小規模先住民族の言語にとって、それだけの量のデータを集めるのは、不可能ではないにしろ容易ではない。
しかし、〈Te Hiku〉に勤めて7年になるハワイ先住民族のマヘロナによれば、同局は最初に集めた320時間のデータだけで音声テキスト変換エンジンを構築することができたうえに、初期のワードエラー率は14%だったという。
ちなみに、18年にグーグルが発表した研究報告書の概要には、同サーヴィスが提供するASRが1万2,500時間のデータセットでエラー率6.7%を達成したと記されている。Coquiのデイヴィスは〈Te Hiku〉の音声技術について「これまで音声認識システムがなかった言語であることを思えば、300時間強のデータでそれだけのエラー率に抑えられているというのはなかなかの快挙です」と評価した。
その後、マヘロナとジョーンズのふたりは、彼らの成功を学会で発表するようになった。自分たちが初の先住民言語用ASRツールを完成させたというのは大して重要ではない、とマヘロナは言う。「つくれると証明できたことが重要なのです」。
これまでに、カナダ南東部のモホーク族やハワイの先住民族など、言語の再生と復興に力を注ぐ他の先住民コミュニティの専門家らから、〈Te Hiku〉のコードを使用し同様のシステムを開発したいと打診があった。カナダのクイーンズ大学でモホーク語を教えるネイサン・ブリンクロウは「テクノロジーは“フォース・マルチプライヤー”(戦力を倍増するもの)」だと話す。「Te Hikuは先住民言語のASR開発を牽引しています。でも、これは普通の人にもできることなのです」
グローバリゼーションというサーヴィス
〈Te Hiku〉は18年の夏までに、ワードエラー率を10%まで減らしている(同ツールはこれまでのところ外部による検証は行なわれていない)。ちょうどこの頃、彼らは、アメリカの企業「ライオンブリッジ」からデータの使用を求めるリクエストを受けた。ライオンブリッジのウェブサイトによると、同社は「グローバル企業向け翻訳およびローカリゼーションソリューション」を専門にしている。
「この企業はつまり、グローバリゼーションをサーヴィスとして販売しているわけです」。マヘロナによれば、ライオンブリッジはある顧客に代わって複数のマオリの学者やラジオ局にコンタクトを取り、マオリ語の音声を提供してくれる人には1時間につき45ドル(米)支払うと申し出ているという。携帯電話に向かってただマオリ語を話すだけでいいから、と。マヘロナは「わたしたちのコミュニティの中には、45ドルでも大金に思う人がいるのです」と訴える。ライオンブリッジは、本記事に対するコメントの要請に応じていない。
〈Te Hiku〉がライオンブリッジからのオファーを断った後、マヘロナとジョーンズはその旨を公表し、拒否した理由と、自分たちの言語を米国の企業に売ることのリスクについて説明したビデオを作成し公開した。ふたりは音声データについて、「植民地化における最後のフロンティア」だと説明する。「入植者たちはマオリの言語を抑制し、それを使ったわたしたちの祖父たちに体罰を与え痛めつけました」とジョーンズ。「そしていま、わたしたちから奪ったその言葉を、サーヴィスというかたちでわたしたちに売りつけようとしているのです」
〈Te Hiku〉は、マオリ語で利益を得るべきはマオリの人々だけだと強く主張している。そして、彼らが30年以上かけて集めたマオリ語のデータの主権を維持することで、マオリの権利を守り通す覚悟だ。マヘロナは「わたしたちの価値観は何にも変えがたいのです」と言い、「データを売り渡すつもりも、研究のために無償提供するつもりもありません」と念を押した。
北米の企業に音声データを売ったり譲渡したりすれば、自分たちの言語だけでなく、そのなかに記憶された何千年分もの伝統的知識が商用利用されてしまうとジョーンズは言う。それは、マオリ語の未来を形づくるツールの開発を、その言語に何ら繋がりをもたないデータサイエンティストの手に委ねることを意味している。
そして何より、マオリの人々は、自分たちに属する言語を利用することで生じる経済的なチャンスを逃すことになる。その昔、自らの土地がもたらす利益の大きさに気づけなかったように。ジョーンズは「歴史が繰り返されるのを防ぎたいのです」と話す。彼は、音声データを守ることがマオリの人々の民族自決権を守ることに繋がると考えている。
マオリ語の“音”の脱植民地化
同ラジオ局はその後、彼らのデータやASRモデルの使用を求める問い合わせを十数件受けている。18年後半の当時、デイヴィスはまだ、Mozillaでオープンソースの音声認識ソフト開発に取り組んでいた。彼は、1年以上前から何度か仕事を共にしていたジョーンズたち〈Te Hiku〉の開発チームに、同局のデータをMozillaのオープンソース・データベース「Common Voice」に加えたい旨を打診した。だが、ここでもジョーンズたちはその申し出を直ちに断っている。
「オープンソースの価値は認めます。でも、マオリの大半が、そのオープンソースを利用するためのリソースをもち合わせていないのです」とジョーンズは言い、マオリの人々はオープンソースのデータベースを日頃から利用している人たちと同じようには教育や技術的進歩の機会を与えられておらず、〈Te Hiku〉のデータをオープンソースにしたところでマオリの利益にはならないと説明した。
「それを聞いて、なるほど、と思いました」。デイヴィスはそう話し、ジョーンズたちがデータの主権にこだわるのも「当然のことだ」と語った。
〈Te Hiku〉は主に大学とパーナーシップを結ぶことがあるが、その場合の条件は〈Te Hiku〉のデータのライセンスに基づき厳密に定められている。それによれば、手がけるプロジェクトはマオリの人々に直接利益をもたらすものでなければならず、マオリのデータを使用して作成されたプロジェクトは全てマオリに帰属するとある。これにより、将来生じる経済的な機会は常に、データの提供元であるマオリのコミュニティに属することが保証されるのだ。
〈Te Hiku〉は、19年に助成金1,300万ドル(約14億2,500万円)を得たおかげで、開発チームのデータサイエンティストを5名増やし、新たに5名のマオリ語の専門家を迎えることができた。現在彼らは、言語を保存するだけでなく、元来の発音を完璧に復元する言語ツールの開発と改良を行なっている。
デモ段階に到達したばかりのこの言語アプリは、現代のマオリ語話者の発音を矯正し英語訛りを取り除くことを目的としている。「わたしたちが目指すのは、マオリ語の“音”の脱植民地化です」とジョーンズは言う。「マオリ語の未来のために、ネイティヴの発音を取り戻したいのです」
重要なのはスピードだ。いまはラベル付きデータをほとんど必要としない「半教師あり学習」などの技術もあり、いずれハイテク企業は文化的なバックグラウンドなど知らなくても言語ツールを開発できるようになるという。その間、〈Te Hiku〉のチームはスペルチエックや文法アシスタント、ヴァーチャル講師といった必須ツールの開発を急がなくてはならない。
マヘロナは、何としても「もっと優れたツールをつくる必要がある」と言い「すべての先住民族によりよい場所を(オンライン上に)提供したいのです」とコメントした。
https://wired.jp/membership/2021/08/27/maori-language-tech/

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日テレ『スッキリ』アイヌ民族差別表現、番組内で謝罪 検証チームが調査、放送に至った経緯を説明

2021-08-28 | アイヌ民族関連
オリコン 8/26(木) 9:34
 26日放送の日本テレビ系朝の情報番組『スッキリ』(月~金 前8:00)で、今年3月の放送でアイヌ民族について不適切な表現を使った件に触れ、番組内で謝罪し経緯を報告した。
 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は7月21日、今回の問題について「放送倫理違反があった」との意見を発表している。
 同局執行役員の山田克也情報・制作局長は「3月放送の『スッキリ』で、アイヌ民族の皆さまを深く傷つける差別表現がありました。アイヌ民族の皆さま、関係者の皆さま、視聴者の皆さまに深くおわび申し上げます。大変申し訳ありませんでした」と謝罪。「先月出されたBPOの意見書では『放送倫理違反があった』と厳しく指摘されました。日本テレビでは皆さまのご意見を真摯に受け止め、二度と同じようなことが起こらないように番組制作に努めてまいります。この度は誠に申し訳ございませんでした」と、深々と頭を下げた。
 同局が検証チームをつくり経緯を調査。番組内では差別表現がなぜ放送されてしまったのか、時系列にそって説明した。番組の問題点として「コーナー担当者全員がアイヌ民族の歴史や差別に関する知識が乏しく直接的な差別表現であるという認識がなかった」「担当チーム以外への情報共有するシステムがなく第三者的視点でチェックする体制がなかった」と検証。放送後の対応についても「放送を見たチーフプロデューサーが違和感を覚えながら訂正や謝罪を即座に判断できなかった」とした。
 またBPOはこの問題について「隙だらけのチェック体制」「制作番組に対するこだわりの薄さ」「差別に関する知識の乏しさと放送人としての感度の低さ」「差別の意図はなかったとしても許されない表現」と指摘した。
 MCの加藤浩次は「非常に重い指摘だと思います。この4つの問題点で差別の意識がなかったとしても差別に当たると、スタッフ含め本当に反省しないといけないと思います。僕自身も北海道出身という立場にありながら、番組の中で速やかに謝罪することができなかったことを、ここに深くお詫び申し上げたいと思います。本当に申し訳ございませんでした」と謝罪した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bb56c3abcb064f3b525f77db3e0e24c5c90a2515

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「スッキリ」はアイヌ問題謝罪で禊も…加藤浩次の“オレ様ワンマン”加速が現場の恐怖

2021-08-28 | アイヌ民族関連
日刊ゲンダイ8/27(金) 14:20配信
 26日放送の日本テレビ系の「スッキリ」で、今年3月の放送でアイヌ民族に差別的な表現を使ったことを受け、7月に放送倫理・番組向上機構(BPO)から、「放送倫理違反」との指摘を受けていた件で、30分間の検証番組が放送された。
 冒頭、同局執行役員の山田克也情報・制作局長が謝罪。お笑い芸人が謎解きのネタとして、差別表現を使用したことについて、放送の経緯やチェック体制の不備を説明した。
 メインMCを務める加藤浩次(52)も「アイヌ民族の方の歴史、そして文化について我々、これから深く勉強しながら、スタッフそして出演者ともども、さらにより良い番組作りを目指していきたいと思います。このたびは本当に申し訳ございませんでした」と謝罪した。
 さるワイドショー関係者はこう話す。
「検証番組自体は、誠実な内容だったと思うので、その点は評価したい。日テレとしてはこれで禊としたい意向だろう」
 これで一応の区切りとなれば、騒動発生当時、盛んに取り沙汰された“番組打ち切り話”はとりあえず回避されたということになる。
「この件では回避されたと見ていいと思う。しかし、今年3月には加藤浩次の吉本とのエージェント契約打ち切りなどの話もあり、番組自体はまだ予断が許されない状態。“いずれ終了”という見方は強い」(前出のワイドショー関係者)
降板した春菜の復帰を画策
 一方、さる日テレ関係者が危惧するのは、吉本との契約問題や今回の問題を乗り越えた加藤の“ワンマン化”だ。
「最近も、加藤の夏休みに“代打MC”として出演した近藤春菜(38)を、『レギュラーとして戻せないか』と話していたようです。例の闇営業問題で加藤に同調し、エージェント契約に切り替えたことで仕事が激減している春菜をおもんぱかってのことでしょうが、番組としては半年前に降板させたタレントを再起用することはあり得ない」
 さらに話は続く。
「加藤は今回のことで“より良い番組作りを目指す”としている。もちろん差別などの問題のある番組は論外です。しかし、番組への思いが強いと言えば聞こえはいいが、もともと“オレ様ぶり”が激しい加藤が、現場に必要以上に口出ししてくるようになると現場はやりにくくなるでしょう」
 同番組は平均世帯視聴率10%前後の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)に続き、同6~9%程度で2位につけている状態に変わりはない。しかし、この春から始まったフジテレビの「めざまし8」と互角の日もあるという(関東地区、ビデオリサーチ)。2位の座を明け渡すような事態となれば、やはり予断は許されない状態だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a80fd77cef501a7971a2a407273e06ac0458e6fd

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加藤浩次〝アイヌ〟再謝罪でくすぶる「スッキリ」刷新論 朝番組は1強3弱大混戦に

2021-08-28 | アイヌ民族関連
東スポWeb8/27(金) 5:15配信
 日本テレビ系情報番組「スッキリ」が26日の放送で、「アイヌ民族差別表現」(3月12日放送分)についての検証内容を報告した。
 検証番組では調査内容や問題点を報告。番組スタッフの知識不足のほか、チェック体制の甘さやプロデューサーの判断ミスなどを挙げた。日テレは再発防止として「人権・差別の問題」をテーマにした研修の継続やコンプライアンス推進室に「人権担当」を配置するなど、新たなチェック体制の構築に取り組んでいるという。
 MCを務める加藤浩次は「我々は今回の放送で終わりだと決して思ってません。むしろ、今回が始まりだと思っています。アイヌ民族の歴史、文化についてこれから深く勉強しながら、スタッフ、出演者ともども、さらに良い番組作りを目指していきたいと思っています。この度は本当に申し訳ありませんでした」と頭を下げた。
 加藤は再出発を誓ったが、加速するのが「番組刷新論」だ。日テレ関係者によると「今回致命的なミスを犯してしまったことで『出演者、スタッフを一新するしかない』という声も局内で大きくなっている」という。
 一方で他局は〝敵失〟に内心、ほくそ笑んでいる。現在、この時間帯はテレビ朝日系の「羽鳥慎一モーニングショー」がトップで、「スッキリ」は2位で追う立場だった。
「テレ朝はとりあえずトップを盤石にしましたし、現在3位のフジテレビ系『めざまし8』も、追いつくチャンスができた、とみています」(テレビ局関係者)
 また、麒麟の川島明がMCを務めるTBS系の「ラヴィット!」は開始当初から苦戦してきたが、ここに来て「肩肘張らずに楽しめる」と評価を上げている。
「今回の騒動を経て、『スッキリ』から『ラヴィット!』に主婦層が流れてしまうかもしれない」(同)
 モーニングショー以下は大混戦になるかもしれない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9df4aa9a75fbe1e311a2d39dee8a8a983c5024b5

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加藤浩次が謝罪「深くおわび」 スッキリでアイヌ民族への不適切表現検証

2021-08-28 | アイヌ民族関連
日刊スポーツ [2021年8月26日10時48分]
26日放送の日本テレビ系「スッキリ」(月~金曜午前8時)で、3月12日に同番組でアイヌ民族への不適切な表現内容を放送したことについての、検証番組を放送した。
同局森圭介アナウンサー(42)は、「3月12日の日本テレビの情報番組『スッキリ』で、アイヌ民族の方々を傷つける差別表現を用いた不適切な放送をしました。アイヌ民族のみなさま、関係するみなさま、そして視聴者のみなさま、おわび申し上げます」と、MCの極楽とんぼ加藤浩次(52)らとともに険しい表情で頭を下げた。
検証番組では、山田克也情報制作局長が「3月放送の『スッキリ』で、アイヌ民像の皆様を深く傷つける差別表現がありました。アイヌ民族の皆様、関係者の皆様、視聴者の皆様に深くおわび申し上げます。大変申し訳ありませんでした」と改めて謝罪。
同件については、7月に放送倫理・番組向上機構(BPO)が放送倫理違反があったという判断を下した。検証番組では、不適切表現放送の経緯、番組のチェック体制などを振り返った。
加藤は、「非常に重い指摘だと思います。差別の意識がなかったとしても差別に当たるんだということを、我々スタッフも含め、みんながそれを本当に反省しなければいけないと思います。さらに、僕自身も北海道出身という立場にありながら、番組の中で、すみやかに謝罪することができなかったことを、ここに深くおわび申し上げたいと思います。本当に申し訳ありませんでした」と謝罪を重ねた。
そしてアイヌ民族の歴史の特集や、北海道アイヌ協会関係者への取材などを放送した。差別問題に関する社内研修の徹底、番組のチェック体制の強化といった対策を講じていくことを紹介した。
最後に加藤は「我々は今回の放送で終わりだと決して思っておりません。むしろ今回が始まりだと思っております。アイヌ民族の方の歴史、そして文化について我々、これから深く勉強しながら、スタッフそして出演者ともども、さらにより良い番組作りを目指して行きたいと思います。このたびは本当に申し訳ございませんでした」と話し、約5秒間頭を下げた。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202108260000208.html

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日テレ「スッキリ」がアイヌ差別表現の検証番組放送

2021-08-28 | アイヌ民族関連
産経新聞 2021/8/26 12:03
日本テレビは26日、朝の情報番組「スッキリ」の放送(3月12日)でアイヌ民族に差別的な表現を使ったことを受け、収録から放送に至る経緯やチェック体制を振り返る30分間の検証番組を「スッキリ」の中で放送した。3月の放送は放送倫理・番組向上機構(BPO)から、「放送倫理違反」との指摘を受けていた。
問題となったのは、週末のおすすめ番組を紹介するレギュラーコーナー。アイヌ民族の女性を描いた番組を紹介する中で、出演者が披露した謎かけに、アイヌ民族を動物に例える差別表現があった。
検証番組では、同局執行役員の山田克也情報・制作局長が冒頭で謝罪。同局の検証チームが調査した検証結果を報告した。
問題となったコーナーは事前に収録したVTRだったが、放送されるまでに不適切だという声が上がらなかったことについて、検証チームは13人から聞き取り調査を実施。その結果、コーナーの演出担当者が当初考えたコメント案は別だったが、出演者から謎解きのコメントを提案されて2パターンを収録し、結果として謎解きの方が放送されていたことが分かった。
演出担当者は、謎解きで使われた言葉が差別表現とは知らなかったが、不安に思って現場責任者の社員プロデューサーに確認。社員プロデューサーが「これくらいなら大丈夫でしょう」と答えたことから、他のディレクターや出演者も「社員プロデューサーが大丈夫と言うなら大丈夫だろう」と判断した。社員プロデューサーは「アイヌの人を動物に例えているのではなく、動物を見て発する言葉を謎かけにしたもので、差別になるとは考えなかった。人権問題に当たるような大きな問題だと思っていなかった」と話しているという。
同局では再発防止のため、アイヌ民族の歴史や人権問題をテーマにした研修を継続的に行い、事前に制作したVTRは可能な限り担当者以外の第三者視点でチェックする体制を構築した。
番組MCを務める「極楽とんぼ」の加藤浩次さんは「差別の意識がなかったとしても差別に当たるということを反省しないといけない。ぼく自身も北海道出身という立場にありながら、番組の中で速やかに謝罪できなかったことをおわびしたい」と謝罪。「アイヌ民族の歴史、文化についてこれから深く勉強しながら、より良い番組づくりを目指したい」と述べ、森圭介アナウンサー、岩田絵里奈アナウンサーとともに頭を下げた。
検証番組は、29日午前2時半にも同局(関東ローカル)で放送される。
https://www.sankei.com/article/20210826-2SX4E2W5RNPWDJ7AY4CKDVW3FY/

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アイヌ民族への差別知識乏しく 日テレ「スッキリ」内で謝罪

2021-08-28 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2021/8/26 11:58(最終更新 8/26 20:33) 767文字
 日本テレビの情報番組「スッキリ」でアイヌ民族を傷つける表現が放送された問題で、日テレは26日、同番組内で放送経緯などを検証する番組を約30分間放送した。制作スタッフにアイヌ民族への差別に関する知識が乏しかったことや、第三者視点で内容をチェックする体制が不十分だったことを明らかにした。日テレの山田克也情報・制作局長は「アイヌ民族の皆様、関係者の皆様、視聴者の皆様に深くおわび申し上げます」と謝罪した。
 問題があったのは3月12日の放送。アイヌ民族の女性を描いたドキュメンタリーを紹介した際、出演者が「この作品とかけまして、動物を見つけた時と解く」に続けて差別表現を使ったコメントをした。
 検証によると、制作会社のコーナー担当者が収録後に表現に不安を覚えて日テレのプロデューサーに相談したが、「これくらいなら大丈夫でしょう」と返答があったため、問題ないと判断。このプロデューサーは内容について相談する「考査部」に確認するつもりでいたが、忘れてしまったという。担当者以外が放送前にチェックする仕組みになっておらず、放送当日、チーフプロデューサーらが放送を見て違和感を覚えたものの、差別表現に当たるという知識がなく、即座におわびや訂正をするに至らなかった。日テレでは、全社員・スタッフを対象に差別問題などの研修を実施し、複数プロデューサーによるチェック体制を構築したという。
 MCの加藤浩次さんは「差別の意識がなかったとしても、差別に当たるんだということを我々スタッフも含めてみんなが反省しないといけない。僕自身も北海道出身でありながら、番組の中で速やかに謝罪できなかったことを深くおわび申し上げたい」と陳謝した。
 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は7月、「放送倫理違反があった」とする意見を発表していた。【松原由佳】
https://mainichi.jp/articles/20210826/k00/00m/040/120000c

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「スッキリ」差別表現でアイヌ民族に謝罪 加藤浩次「北海道出身という立場にありながら」

2021-08-28 | アイヌ民族関連
デイリー 2021.08.27
 日本テレビ系情報番組「スッキリ」が26日、3月12日に同番組内でアイヌ民族への差別表現を含む内容を放送した件についての検証番組を放送した。番組は約30分間で、山田克也情報・制作局長がVTRで「アイヌ民族の皆様、視聴者の皆様に深くおわび申し上げます」と謝罪した。
 検証では、原因について制作担当者のアイヌ民族の歴史や差別問題に対する知識が乏しかったことや、番組内の各コーナーの情報を共有する体制に問題があったことなどを挙げた。問題の放送については、放送倫理・番組向上機構(BPO)が7月21日に放送倫理違反があったという判断を下している。
 スタジオではMCを務める極楽とんぼ・加藤浩次(52)らが謝罪した。加藤は「僕自身も北海道出身という立場にありながら、番組の中で、すみやかに謝罪することができなかったことを、ここに深くおわび申し上げたいと思います。本当に申し訳ありませんでした」などと話し、深く頭を下げた。
https://www.daily.co.jp/gossip/2021/08/27/0014626674.shtml

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日テレ、「スッキリ」で検証結果放送 アイヌへの差別的表現

2021-08-28 | アイヌ民族関連
JIJI.COM 2021年08月26日11時41分
 日本テレビ系の情報番組「スッキリ」でアイヌ民族への差別的表現があった問題に関し、日本テレビは26日、同番組内で差別的表現を放送してしまった経緯と再発防止策を説明、改めて謝罪した。
 問題となったのは3月12日放送の事前収録されたコーナーで、出演タレントが動物の名前に引っ掛けた駄じゃれを用い、アイヌ民族に対する差別的な発言をした。放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会は7月、「放送倫理違反があった」と指摘した。
 番組では、担当者全員がアイヌ民族の歴史や差別に関する知識が乏しく、内容を第三者的視点でチェックする体制がなかったことなどを問題点として挙げた。アイヌ民族の歴史や当事者の取材も行い、研修や可能な限りVTRを番組担当者以外が確認する体制の構築などの再発防止策に取り組むことを説明した。
 司会の加藤浩次さんは「差別の意識がなかったとしても、それは差別に当たる。僕自身も北海道出身という立場にありながら、速やかに謝罪できなかったことをおわび申し上げる」と語った。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021082600520&g=soc

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過酷「日本から北極圏まで12万円の旅」どうにでもしてくれ…の多難

2021-08-28 | 先住民族関連
幻冬舎 8/26(木) 11:01配信
飛行機代、宿代、食事代…旅にかかる費用すべてを含めて「12万円」で世界を歩く。下川裕治氏の著書『12万円で世界を歩くリターンズ タイ・北極圏・長江・サハリン編』(朝日新聞出版)では、その仰天企画の全貌が明かされている。本連載で紹介するのは北極圏編。30年ぶり2度目の大自然、予想だにしないアクシデントが待っていた!
涼しいところへ行くか…過酷12万円「どう考えても高尚ではない旅」は30年前に始まった
『12万円で世界を歩く』はまず、『週刊朝日』のグラビアページで連載された。月1回のペースだった。連載は好評だった。しかし、自分ではいまひとつぴんとこなかった。連載がはじまる前まで、僕が続けていた旅と大差はなかったからだ。
自分の旅が、週刊誌に載るとは思ってもみなかった。小田実(まこと)の『何でも見てやろう』(河出書房新社)、沢木耕太郎の『深夜特急』(新潮社)というバックパッカー系の著作は世に出ていたが、旅の本の主流は、高名な作家が海外を歩いたエッセイ風のものや、ジャーナリストが社会問題を背景に紛争地を訪ねるようなものが多かった。
それに比べると、僕の旅は、自分でいうのもなんだが卑近なものだった。政治問題が登場するでもなく、世界の暗部が浮かび出るようなものでもなかった。バスに乗り続けて尻にあせもをつくり、雨季のヒマラヤでヒルに食われ……といった旅だった。
予算も12万円しかなかったから、旅の間は、こづかい帳をつけるように出費をメモし、安い宿を求めて暗い夜道を歩いた。どう考えても高尚な旅ではなかった。
その旅が妙に好評だった。
週刊誌、いやマスコミというものは、読者や視聴者の反応がいいと、その企画を膨らませようとする。当然のことだ。連載6回目は正月企画とも重なり、どーんと世界一周旅になった。費用はお年玉というわけではないが、30万円近くもかかってしまった。ダイエットに励んできた人が、正月だからと気を緩めてリバウンドしてしまったようなものだった。
その後、予算は再び12万円に絞られ、貧しい旅に戻っていくのだが、連載も10回を超え、季節は夏を迎えようとしていた。
その年の夏はとくに暑かったのかどうか……記憶はない。しかしデスクが扇子であおぎながらこういった。
「次回はどこか、涼しいところへ行くか」
そのひと声で地図を眺める視線は北にシフトしていった。北極海まで辿り着くことができる道がカナダにあった。
さっそく費用を試算してみた。当時、北アメリカ方面への航空券はロサンゼルス往復がいちばん安かった。それでも9万円もする。そこからグレイハウンド社のバスでひたすら北上してカナダに入り、さらにカナダのグレイハウンドに乗ってホワイトホースへ、そこからはレンタカーで北極海をめざすコースがいちばん安そうだった。
しかし物価の高いアメリカやカナダ。とても12万円ではまかなえないことがわかってきた。以前に同じ『12万円で世界を歩く』の旅でアメリカを一周していた。日本からもち込んだ食料などでバス旅はしのぐとしても、レンタカー代がそっくり加算されてしまう。ざっと計算すると20万円はかかりそうだった。
そこでホワイトホース以北は、北極海オプションというか、12万円の費用には含めない打開策が発令された。
「12万円が限界なんだよ」のはずが…バックパッカーの憂鬱
この企画を発案した森啓次郎氏はすでに配属が変わっていた。ときどき、僕らが座るフリーランス席に顔を出し、「あい変わらず、ビンボーな旅、やってるね。ヒッフッフッフッ」と意味不明の笑い声で励ましてはくれたが、企画がはじまる前、「『週刊朝日』のグラビアページは予算が少ないから、12万円が限界なんだよ」と説明していた。あれは方便だったのか。
なんの問題もなく北極圏ルートに決まっていった。築地の朝日新聞社を出、地下鉄の東銀座駅まで歩きながら、ひとり呟いていた。
「そういうことか……」
連載が好評なら、使うことができる予算も増えていく。あたり前のことだったが、この企画は、端(はな)から「12万円まで」と使うことができる金額が決められていた。それを動かすこともできるのだ。
バックパッカー旅ばかり続けていた僕は、その世界に居心地の悪さも感じはじめていた。フリーランスのライターなのだから、連載の評判がいいことは手応えのあることだった。しかしこの旅を続ければ続けるほど、ある種の喪失感が顔をのぞかせはじめていた。夜行バスのなかで、頭を窓につけるようにして、街灯に照らしだされる屋台を見ながら思うのだ。
僕は自分の旅を仕事に売ってしまったのかもしれない……と。いや、それは贅沢な悩みだと、少しずつ育つ喪失感を否定する自分がいる。金を使い果たして帰国した不埒(ふらち)なフリーランスのライターが、旅をして原稿料をもらえるだけで、幸運なことなのだと……。しかしいくらそう説き伏せても、旅と仕事の隙間は埋まらなかった。
30年前の北極圏への旅は、結局、24万円もかかってしまった。
時は戻り、現在。「30年ぶり2度目の北極圏」同じルートを辿れるか?
そのルートをなぞるような今回の旅は、日本からの飛行機とホワイトホースへの足で迷走してしまった。30年前とは航空券事情が大きく変わっていた。
日本とロサンゼルスを往復する航空券と、日本とバンクーバーをつなぐ航空券に、運賃差はほとんどなかった。以前はバンクーバーまでの航空券が高く、しかたなくロサンゼルスに飛んだ。ロサンゼルスからバンクーバーまでは、グレイハウンドの期限内乗り放題バス切符を使うことができた。
運賃を検索しながら、少し迷った。ロサンゼルスまで行き、そこからバスでバンクーバーまで行くのが筋ではないか。この旅は30年前の旅をなぞることが目的だ。しかしバス運賃が余分にかかってしまう。30年前にはあったアメリパスという乗り放題切符は、すでに廃止されていた。時代は車へ、そして飛行機へと移り、グレイハウンドは厳しい経営を強いられていた。
アメリカのバス事情は、書籍『12万円で世界を歩くリターンズ――赤道・ヒマラヤ・アメリカ・バングラデシュ編』に詳しい。買う時期にもよるが、シアトルからロサンゼルスまで1万3334円もかかっている。シアトルとバンクーバーは国は違うが、230キロほどしか離れていない。
あのつらく、長いバス旅にも腰が引けた。前作で乗ったシアトルからロサンゼルスの区間は、アメリカ一周旅の最後の区間だった。マラソンでいったらラストスパートなのだろうが、とてもそんな気力はなく、ただ頭のなかをまっ白にして、バスの座席に20時間以上座っていた。もう、どうにでもしてくれ……といった心境だった。
あのルートをもう一度乗る? それは必要ないんじゃない? 費用もかかるし……。忠実になぞる旅を考えれば、悪魔の囁(ささや)きなのだが……。
2018年にバスでアメリカを一周して以来、グレイハウンドからは頻繁にメールが届く。キャンペーンの案内なのだが、僕は内容も見ずに即座にゴミ箱へ捨てている。ロサンゼルスからグレイハウンドのバスに乗る気には、どうしてもなれなかった。
結局、日本から北極圏へ向かう道のりは…
東京からバンクーバーに向かうことにした。北京経由の中国国際航空がいちばん安く、往復で7万9942円だった。
続いてバンクーバーからホワイトホースまでのグレイハウンドを見てみた。30年前、このルートをバスで走り抜けた。味わい深い道のりだった。夜、乗り込んできたインディアンのおじさんの体からは、酒と焚火(たきび)のにおいがした。バス停近くの小屋で、仲間たちと酒を飲んでいたようだった。
北上するにつれ、白人の割合が減っていった。この道はアラスカ・ハイウェーと呼ばれていた。建設がはじまったのは第2次世界大戦中の1942年だった。アメリカとカナダは、日本を警戒していた。アラスカの先にあるアリューシャン列島まで、日本軍は勢力をのばそうとしていたからだ。日本軍はアラスカまで攻め込んでくる可能性すらあった。日本軍の勢いが、アラスカ・ハイウェー建設に走らせたわけだ。
バンクーバーから北上する道は、北極圏に近づく道でもあったが、日本に近づくルートでもあったのだ。この道路建設に駆りだされたのは、焚火のにおいをまとったインディアンたちだった。
しかしいくらネットを検索しても、バンクーバーからホワイトホースに向かうバスはヒットしなかった。そこでわかったのは、2018年の10月、グレイハウンド・カナダは、カナダ西部のほぼ全路線から撤退したことだった。
車と空路の発達は、グレイハウンドの経営を脅かしていた。しかしアメリカでは、運賃の値あげや減便、アメリパスの廃止などの対応策を繰り返し、なんとか生きのびていた。しかしカナダ西部では撤退まで追い込まれていたのだ。
報道のなかには、公共交通の意味を問うものが多かった。ホワイトホース方面は、インディアンをはじめとする先住民族の割合が多くなる。車の所有率の低い彼らが移動の足を失うという指摘だった。貧しい白人層の話も紹介されていた。都市に出稼ぎに出たひとりは、アラスカ・ハイウェーの道端に立っていた。ヒッチハイクで家族のいる街に戻ろうとしていたのだ。
『12万円で世界を歩く』は、そのエリアに暮らす庶民と一緒にバスや列車に乗る旅だった。カナダの先住民族や貧しい白人同様、僕らも困った。
ネットの情報によると、代替手段として、バンクーバー近くから海岸に沿ってホワイトホース近くまで北上する船が紹介されていた。しかしそのサイトを見てみると、海岸美を楽しむツアー船の色あいが強かった。中国人が好みそうなコースだった。グレイハウンドのバスの代わりというには、運賃も高かった。
ホワイトホースまで安く向かう方法――。飛行機しかなかった。もうそういう時代らしい。エア・ノースというカナダの航空会社が、バンクーバーとホワイトホースの間を、往復3万3790円でつないでいた。
めぐり、めぐり、結局、日本からホワイトホースまでバンクーバーを経由して飛行機で向かうことになった。これしか方法がなかった。30年前、北極圏オプションになった区間を、陸路で北上することになってしまった。
下川 裕治
旅行作家
https://news.yahoo.co.jp/articles/b909414b50667687579e5ead08fc753a4aa44187

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