北海道新聞 08/21 05:00
透き通る茶褐色の緩やかな流れに、ホソバミクリやバイカモといった水草のじゅうたんが揺れる。パドルを動かすと音もなくカヌーが進み出した。水面には木の葉の隙間から映る青空。川辺に目をやると、砂地に生き物の足跡があった。エゾシカにキタキツネ。大きいのはヒグマだろうか―。
ポー川は、標津町内を流れる小さな川だ。町内の10キロほどを蛇行しながら流れ、伊茶仁(いちゃに)川に河口付近で合流して根室海峡に注ぐ。水の色は標津湿原が含む鉄分の影響だという。
カヌー体験は河口そばの約630ヘクタールに広がる「ポー川史跡自然公園」の名物。観光ガイドの案内を受けられ、道内外の観光客や修学旅行生も参加する人気ツアーだ。町観光ガイド協会の田村憲夫さん(65)は「日々の喧噪(けんそう)を忘れ、原始的な風景を満喫して」と話す。
海辺に近い公園入り口から西へ600メートルほど奥に乗り場があり、約2キロ上流を目指す。目を奪う水草について田村さんは「バイカモは清流にしか生えず、川がきれいなあかし。繁茂しすぎ、こぐのが大変な時もあります」と教えてくれた。
川の名は、明治期の地図中の「イチャニ・ポ」の記述から、略されて付いたという説もある。アイヌ語でイチャニは「鮭の産卵する場所」、ポは「小さい」を示す言葉だ。
町内には1万年前の縄文時代早期から約700年前の擦文時代の竪穴住居跡、約500年前のアイヌ文化のチャシ跡など多数の遺跡が残り、「標津遺跡群」と位置づけられている。ポー川そばの国指定史跡「伊茶仁カリカリウス遺跡」内を中心とする竪穴跡の数は4400を超え、国内最大規模だ。田村さんは「湧水が源のポー川は冬も凍らず、大昔は交通に使われた。カヌーの後、史跡を巡り太古に思いをはせて」と話す。(田中華蓮)
<メモ>ポー川カヌー体験は5月中旬~11月中旬。所要時間は2時間半~3時間で6千円(ガイド料、保険料、入園料込み)。最大参加人数は20人。2日前までに予約が必要。問い合わせは、標津町役場内の南知床標津町観光協会(電)0153・85・7246へ。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/580316
透き通る茶褐色の緩やかな流れに、ホソバミクリやバイカモといった水草のじゅうたんが揺れる。パドルを動かすと音もなくカヌーが進み出した。水面には木の葉の隙間から映る青空。川辺に目をやると、砂地に生き物の足跡があった。エゾシカにキタキツネ。大きいのはヒグマだろうか―。
ポー川は、標津町内を流れる小さな川だ。町内の10キロほどを蛇行しながら流れ、伊茶仁(いちゃに)川に河口付近で合流して根室海峡に注ぐ。水の色は標津湿原が含む鉄分の影響だという。
カヌー体験は河口そばの約630ヘクタールに広がる「ポー川史跡自然公園」の名物。観光ガイドの案内を受けられ、道内外の観光客や修学旅行生も参加する人気ツアーだ。町観光ガイド協会の田村憲夫さん(65)は「日々の喧噪(けんそう)を忘れ、原始的な風景を満喫して」と話す。
海辺に近い公園入り口から西へ600メートルほど奥に乗り場があり、約2キロ上流を目指す。目を奪う水草について田村さんは「バイカモは清流にしか生えず、川がきれいなあかし。繁茂しすぎ、こぐのが大変な時もあります」と教えてくれた。
川の名は、明治期の地図中の「イチャニ・ポ」の記述から、略されて付いたという説もある。アイヌ語でイチャニは「鮭の産卵する場所」、ポは「小さい」を示す言葉だ。
町内には1万年前の縄文時代早期から約700年前の擦文時代の竪穴住居跡、約500年前のアイヌ文化のチャシ跡など多数の遺跡が残り、「標津遺跡群」と位置づけられている。ポー川そばの国指定史跡「伊茶仁カリカリウス遺跡」内を中心とする竪穴跡の数は4400を超え、国内最大規模だ。田村さんは「湧水が源のポー川は冬も凍らず、大昔は交通に使われた。カヌーの後、史跡を巡り太古に思いをはせて」と話す。(田中華蓮)
<メモ>ポー川カヌー体験は5月中旬~11月中旬。所要時間は2時間半~3時間で6千円(ガイド料、保険料、入園料込み)。最大参加人数は20人。2日前までに予約が必要。問い合わせは、標津町役場内の南知床標津町観光協会(電)0153・85・7246へ。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/580316