共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

食事時の不運

2019年05月31日 23時56分34秒 | 日記


今日は雲が多かったせいか、昨日よりも幾分過ごしやすかったように思います。そうです、一応今日までは五月なんですから、もうちょっとばかり『初夏』を感じさせてもらいたいものです。

ところで、私は基本的に教室の無い日には朝晩は自宅で食事をしています。基本面倒くさいのですが、外食が続くとあまり良くないらしいので(汗)。でも一番の理由は、自分の好みの味であることが少ないからなのです。

それともう一つ。

私が、特に昼食を済ませるところというのは簡易的な大衆食堂のようなところが殆どなのですが、周りの人が食事中に立てる

『クッチャクッチャクッチャ…』

という咀嚼音が我慢ならないからなのです。

私は明治生まれの祖父母の下で幼少期を過ごしました。祖父は戦中に金属加工工場を経営していた元社長で、祖母はいいトコのお嬢様、そんな二人でしたから、立居振舞いも非常にジェントルでした。その二人と人格形成期に生活を共にしていましたから、当然食事中の作法は厳しいものでした。

何しろ箸の持ち方・上げ下ろしに始まって、突き箸・涙箸・渡し箸・迷い箸等を注意され、手皿なんか以ての外。更に口を開けてクチャクチャしようものならハイパーお説教タイムに突入するという、他人様が聞いたらドン引きしそうな教育を受けてきたのであります。

でも、そうしたマナーが備わっていたり、歌舞音曲に精通していたりしたからこそ、祖父は一町工場の社長ながら神楽坂の座敷で大口の役付きと堂々と渡り合って取引を獲得出来ていたのでしょう(何しろ祖父の口癖は「メシの食い方のなっとらん奴は仕事も雑な奴だ(`・ω・´)=3」でしたから…)。そうした祖父自身の裏打ちがあっての教育でしたから、私も子供心に最終的には納得していたことを覚えています。

ところが…

親元を離れて生活してみると、まぁ世の中にはこんなに食事のマナーが備わっていない人が多いのか!と驚愕させられたものでした。特にいわゆる『クチャラー』と呼ばれる口を閉じて咀嚼出来ない人というものは、老若男女を問わず一定の割合で存在するということに愕然とさせられています。

何故に音を立てて食事をしてはいけないのか…祖父曰く、自分の体内音を他人様に聞かせるというのは恥ずかしいことなのだそうです。だから、咳やくしゃみ、ゲップ、鼾、ありえませんが転失気等と同様に、自分の口の中の音を他人様に聞かせるなどということは、この上ない恥ずべき行為なのです。まして咳やくしゃみは割とすぐに収まりますが、咀嚼音はその人が食べ物を口の中で噛んでいる限り延々と続くので始末が悪いのです。

また、私なんぞはあのクチャクチャ音を聞かされていると、食べ物と空気が口の中で混ざって飲み込む時に苦しくないのかしら?と訝ってしまうのです。このあたりは、必要以上に音を立てて味噌汁をすする人にも感じることがあります。

いつぞやも、上の写真(イメージ)のような対面式の席で向かいの椅子に荷物を置いて食事をしていた時のこと、ふと気づくと私の横に何処ぞの偉いさん風のヲジサンが立って

「おい君、相席いいかね?」

と聞いてきたのです。

他人にものを頼むにしてはあまりに不遜な物言いにムッとしたのですが、

「場合によっては、やぶさかではございませんが?」

と答えました。

「あ?」

とスゴんできたので

「貴方、お食事なさる時にお口を閉じて咀嚼できる方ですか?」

「あとお食事を済まされてからゲップしたり、楊枝でシーハーしたりなさいませんか?そうであれば、御相席はやぶさかではございません。」

「他人に許認可を求めるのであれば、たとえ相手が年下と見受けようともそれなりの敬意をもって接するべきでしょう。然るに、貴方の先程の態度はとても他人に許認可を求める礼節あるものとは言い難いのでは?」

「この状況下にあって、決定権は私にあります。なので、私と食事の相席を希望されるからには希望的なマナーを遵守して頂く必要がありますが、大丈夫でしょうか?」

と言ったらヲジサンは

「…すみませんでした。」

とボソッと呟いて何処かに行ってしまいました。恐らくクチャラーだったのでしょう。

マナーとはむやみやたらと人を縛るものでは無く、他人様に不快な思いをさせないための配慮なのです。それが出来ない大人が増えていることは、憂慮すべきことです。それこそ来年はオリンピックイヤーですから、各国から選手やメディアや観光客が大勢来ることでしょう。そうした人たちに眉根を寄せられてしまうことの無いよう、改めて基本的なマナーを見直してほしいものです。

コメント
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