20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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チェンジリング

2009年02月21日 | Weblog
 昨日公開の、クリント・イーストウッド監督「チェンジリング」を観てきました。
 金曜日の日経新聞の「シネマ万華鏡」では、めったにつかない★五つです。
 映画評論家・中条省三の書いている新聞の書き出しを、ここにちょっと。

「またしても監督クリント・イーストウッドが途方もない映画を作り出した。見る者の胸をぎりぎり締めあげるような緊迫感にみちた傑作である。」

 中条省三にここまで言わしめる作品を観ないわけにはいきません。
 もともとは西部劇の俳優だったクリント・イーストウッドはいま、たぶん70代後半の年齢です。
 その彼が年を重ねるごとに、すごい映画を作っているのをみて、ある人がこう聞いたそうです。
「そのお年で、よくすごい映画を次々に作れますね」
 すかさず彼は、こう答えたとか。
「年をとって見えてくるものがある。それをつくるのが楽しくて仕方ない」
と。
 私はクリント・イーストウッドの作品がとても好きです。
 彼が作り出す世界は、いつも暗くて独特の映像のひかりを放っています。でもいつもいつも強烈に惹かれるのです。
 そして、今回も彼は裏切りませんでした。
 アンジェリナ・ジョリーもすごく魅力的でした。
 彼女の映画を最初に観たのは、推理小説を映画化した「ボーン・コレクター」でした。
 その個性的な美しさと強さには、強烈な印象を持ちました。
 
 この映画でジョリーはさらに女優としての成長を遂げています。
 母親の強さを、彼女は切ないほどに力強く表現しています。
 あらすじはテレビなどの宣伝で流れているので書きません。
 とにかく、すばらしい。
 1920年代末のロス郊外を舞台に、当時の警察権力の横暴さや理不尽さと闘っていく姿を描いています。
 まだ女性の地位も確立していない時代のオンナたちの姿や、不当に投げこまれた精神病院の実態。それらがクリント・イーストウッド監督らしいクールさで冷徹なまでに描かれています。
 そして感動するのは、最後の最後まで目をそらさずリアリズムの視点が貫きとおされているところです。
 泣けました。
 ★五つ。
 文句なしに、同感です!
コメント
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