デパートで見つけた、ガラスの金魚。
金魚を描いた名作に、舟崎靖子さんの「にんじゃごっこ」(あかね書房)という作品があります。
同じく、同時代の作品で「やい、トカゲ」(あかね書房)では、「絵本にほん賞」を受賞されました。
この二つの、幼年向けの本からは、舟崎さんの文学的センスを感じました。
彼女そのものが、小さな子どもの感性を抱いたまま大人になっていると思ってしまうような・・。
そしてこうしたファンタジーで、心理描写を実に巧みに美しく膨らまし、読者の胸を揺さぶる・・・。
今、こういう作家が、あまりいないような気がします。
それほどまでに、この作品は、子どもの視点が、貫かれ、なおかつ、叙情性を感じるすばらしい作品でした。
今時は、絵本にしても児童文学にしても、どんどん出版するために、忙しすぎて、思いつきで書いてまとまれば、それでよしとなっているものが多いように思います。
作家の側でも、これだけ本が売れないと、どんどん書いて、次々出版していかないと、置いてきぼりになってしまうのではという不安感に陥るのかもしれません。
昔は、今ほど出版のローテーションが早くなかったのかもしれません。
もっとゆったりしていて、出版社も次々どんどん出版するのではなく、出た本をじっくり売ってくれる・・・。
その昔の、リズムが、取り戻せないでしょうか?
本が売れないという実情の中で、自転車操業になり、どんどん出すことで、本は書棚にもならない間に消えて行くという、悪循環となり、児童文学や絵本のレベルを低下させているように思ってしまうのですが・・・。
自省を込めて、そんなことを考えています。
でも最近は、舟崎さんのお名前を聞きません。
どうしていらっしゃるのでしょうか?