20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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出版お祝い会

2015年12月12日 | Weblog

             

 今夜は中野で、出版お祝い会です。

 おおぎやなぎちかさんの『しゅるしゅるぱん』(福音館書店)

 佐藤いつ子さんの『駅伝ランナー』(KADOKAWA)

 森越智子さんの『生きる:劉連仁の物語』(童心社)、この3人の方々の合同祝賀会です。 

 

 読書会のお仲間である、おおぎやなぎさんの『しゅるしゅるぱん』は、彼女のご出身である、東北が舞台のファンタジーです。

 6年の歳月をかけ、編集者と作り上げたという、とても完成度の高い作品です。

 新人とは思えない筆使いと、構成力と、人物造詣。

 宮沢賢治の世界、遠野物語の世界のある東北ですから、そうした不思議さからのファンタジーとばかり思い込んでいました。

 ところが、これは「しゅるしゅるぱん」をめぐる壮大な家族のドラマだったのです。

 章により、語りの主が変わるのですが、それがすべてくるりと、つながっていく。

 

 おおぎやなぎさんの仕掛けは、とても理系的です。

 ファンタジーは、実はこうした理系的な思考が、大切だったということに、途中から気づかせていただきました。

 それを、やわらかな文体で、ディテールのすみずみまで、まるで呪文でもかけられたように読者に魔法をかけていきます。

 人間の「情」や「業」。そういったものの強さが、異なるものを生み出していく。

 その説得力の深さにも感心しました。

 

 この作品の象徴でもある、倉と朱明山と一畳岩、そしてさくら。

 おおぎやなぎさんは俳人としてもすでにご活躍されていますが、こうした美意識が、いかにも俳人らしい無駄のない文章で綴られています。

 

 今夜の会は、ご準備などすべてを「季節風」の皆さんにお世話になっています。

コメント (2)
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