毎月11日は「鉄写同好会」の日。
詳しくは発起人てくっぺさんのブログ「高橋さんの写真記念館」をご覧ください。
福井県敦賀市、新疋田駅。
Sony α99 Vario-Sonnar 24-70㎜/f2.8 (f/5.6,1/800sec,ISO800)
福井県と滋賀県の県境に位置する無人駅にして秘境駅。
そして、古ぼけた佇まいながら「新」がつく。
そのウンチクについては以前記しているので、興味のある方はご参照願いたい。
秘境駅の記録 北陸本線 新疋田駅 鉄写真同好会 2016.1.11
「廃線の記憶」 柳ケ瀬線 小刀根トンネル 鉄写同好会 2016.4.11
新疋田駅(福井県敦賀市)と鳩原ループ線 鉄写同好会 2014.5.11
さて、あらためて新疋田駅。
ここを訪れるたびに気になっていたことがあって、
それはこのあたり一円を表わす地名「愛発」のことだ。
「あらち」と発音するので、当て字に間違いないが、
敦賀(つるが)が古代朝鮮王朝の王子「ツヌガアラシト」由縁の地名であることを思うと、
おそらくは、有史以前の何らかの事情でそう呼ばれ始めたのだろう。
結局、地名そのものの謂れははっきりしないのだが、
この「秘境」がかつては歴史の表舞台にあったことがわかった。
奈良時代から平安時代初期にかけて、
ここには、不破の関、鈴鹿の関と並ぶ三大関のひとつ、愛発の関が置かれていた。
関は畿内防衛を目的とした軍事施設で、
その中でも愛発は越の国と接することから、
東の守り拠点として、重要な地であったらしいのだ。
現に日本史の教科書にあった恵美押勝の乱(764年)。
政権の重職にあった藤原仲麻呂(恵美押勝)が反旗を翻した際、
越前へ逃亡する恵美押勝の軍勢を愛発の関で押し返したという記録も残っているという。
それを思うと、相当規模の軍事施設だったことが想像されるのだが、
数々の研究や発掘にもかかわらず、
残念ながら、その詳しい所在は分かっていない。
話は変わるが──。
北陸新幹線の敦賀延伸工事が急ピッチに進められていて、
4年後の2023年に開通する。
さらに京都までの延伸も計画されていて、
現在の北陸本線を大きく迂回する若狭小浜ルートが決定している。
まだまだ先のこととはいえ、
この秘境駅はさらに歴史の彼方へと押しやられることがすでに決まっているのだ。
日本鉄道史の黎明期と変遷、
そして急こう配を克服する鳩原ループ、
そこに日本古代史が加わって、
新疋田駅によせる思い入れがまたひとつ強くなった。
2016.1.11の「秘境駅の記録」でも選曲した
スティーブン・スティルス率いるマナサスからふたたびの選曲。
Stephen Stills/Manassas Right Now
そのバンド名が南北戦争の激戦地の駅名に由来するということで選曲した次第だが、
この曲が収録されているデビューアルバム、
なかなかの名曲ぞろいで今でもよく聴いている。