この時期、決まって訪れるのが富山市八尾。
9月1日から3日まで開かれる越中おわら風の盆を見物するためだ。
ところが、コロナの影響で昨年、今年と開催が中止。
なんとも寂しい秋の訪れとなったのだが、
例によって、未公開フォルダに置き去りにしてきた写真を公開。
題して「回想 風の乙女たち」
夕刻前に八尾に入ると通りのあちこちから
物悲しい胡弓と三味線の音色が聞こえてくる。
越中おわら節だ。
そのおわら節に合わせて若い男女が艶やかな踊りを披露するのだが
そのボルテージが上がるのは陽が落ちてから。
この風の盆の見どころは
町内ごとに編成された踊り手、囃子方による町流し。
立春から二百十日、収穫の頃に吹く強い風を鎮めるため、
三日三晩、八尾の人たちが町を踊り歩いたのがその起源だという。
胡弓と三味線の哀愁を帯びた音色に合わせ、未婚の男女が織りなす恋の踊り。
人口が一万人にも満たない山間の小さな町に
おわら節と彼らの踊りに魅せられた人たちが
全国からやって来る。
その数は二十万人を超えるという。
そのひとたちをもてなしてくれる風の乙女たち。
来年こそ、この騒ぎが終息して
ふたたび彼女たちに会えることを切望してやまない。