折にふれて

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Nymphたちの朝

2019-11-24 | 琵琶湖 余呉 湖国

明け方、北陸自動車道の賤ケ岳サービスエリアが近づくにつれて

濃い霧に包まれた、ある一帯が見えてきた。

湖北、余呉湖だ。

地図で見ると、一周7Kmの小さな湖が

琵琶湖の北岸からわずかばかりのところにあり、

琵琶湖の一部がせき止められたのか、と思えなくもない。

けれども、余呉湖は標高にして琵琶湖より40mも高く、

さらに四方を賤ケ岳などの山に囲まれているので、

気象条件はまったく異なる。

その端的な例でいうなら、琵琶湖から2Kmと離れていないにもかかわらず、

冬は寒く、豪雪地帯だということだ。

さらに、これからの時期は朝方に濃い霧が発生するので、

北陸自動車道を走っていると、余呉だけがまるで綿菓子に包まれているようにも見えるのだ。

 

そして...。

まだ、撮影テーマが明確になっているわけではないが、

今年の冬はこの朝霧の中から立ち上がる風景を撮ってみたい、

そう思って、この日も早朝の余呉へやってきたのである。

 Sony α99  F2.8G/70-200㎜ (135mm  f/13,1/25sec , ISO400)

 

夜明け前、余呉を包む濃い霧も

陽が高くなるにつれて薄れ、

やがて、緑に覆われた岸部とその風景を映す静かな湖面が現れてくる。

それはわずかな時間でしかなく、その移り変わりこそが狙いなのだが、

見る見るうちに霧が晴れていく様子を眺めながら、

ふと、思いだしたことがある。

今まで特に気にもしていなかったことだが

余呉に伝わる羽衣伝説のことだ。

羽衣伝説など日本中そこかしこにあって

単なる村おこし、町おこし程度にしか思っていなかったのだが、

調べてみると、ここ余呉で起こった羽衣伝説が全国に広まったとある。

ファインダーから目を外し、霧が晴れる様子に目を凝らしてみた。

この日は快晴。

濃い霧が次第に薄れ、ちぎれちぎれとなって

やがて青い空に吸い込まれるように消えていく。

なるほど、それまで水浴びをしていた天女たちが

羽衣をまとい天へと帰っていくようだ。

今まで無頓着だったが、あらためて昔の人たちの想像力のたくましさに感心し、そして思ったのである。

昔の人たちが想像した天女。

あるものたちは水辺に集い、また、あるものたちは天へと舞い上がろうとする。

できもしないことかもしれないが、そんな姿を写真で表現できたら楽しいだろうな、と。


 

 Eurythmics - There Must Be An Angel (Playing With My Heart)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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