はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

おひなさま

2006-03-03 18:47:38 | アカショウビンのつぶやき
3月3日
 明日は娘の誕生日。女の子の誕生を待ちこがれていた夫は、桃の節句に女の子が生まれると信じていたが、一日遅れて4日に生まれた、名前はもちろん弥生。
 余裕のない暮らしを案じた姑が、男びな女びなとぼんぼりを初節句に贈ってくれた。それから毎年一段ずつ買い足してようやく7段揃ったのが娘7歳の春。
 一度に揃える事はできなかったが、毎年新しいお雛様が増えていくのが子供たちにも新鮮だったらしく、大騒ぎして新しい雛人形を迎えたものだった。
 子供たちが巣立ってからは、飾るのも片付けるのもおっくうになり、来年こそは!と思いつつしまったままで20年余り。
 そこで去年から小さな陶器のお雛様を飾ることにした。大きな試練をようやく乗り越えた娘に幸多かれ! と祈りつつ柔和なお顔のお雛様を眺めている。
   (アカショウビン)
 

春告鳥

2006-03-03 09:18:30 | はがき随筆
 しばらく冬ごもりの続いた1月末。日差しを見つけて歩行練習に出かけた。近くの人影のないゲートボール場。自然の恵みにうるおいながら、左手の杖に集中して歩いていると、ホーガジャガジャ、ホーガジャガジャと二声。はっきりとウグイスの未熟な声が聞こえた。「もうすぐ暖かくなるよ。ちょっと待っててな」と知らせてくれながら姿は見えず、列車の轟音に消されてしまった。「春告鳥」とは、とても良い響き。それにしても今年の寒さ、雨はどうしたものか。ピラカンサス、万両の赤い実も今年はそのまんま。山里に鳥も人もはしゃぐ日が待ち遠しい。
   阿久根市大川 川畑マスミ(74) 3月3日掲載