テレビを消して1人静かにいる夜は、無性に電話をかけたくなる。その相手は千葉に住んでいた、たった1人の姉だった。急逝して1年近いこの春、串木野に帰ることに。
日置市出身の義兄は転勤族で、故郷を遠く離れて家も構えたので、せめて自分にお迎えが来るまでは、姉を生まれ育った地に移そう、と決めたのだ。
小さな箱に眠ったまま故郷に帰って来て何になろう、私は一茶の「めでたさも中位なりおらが春」の句を幾度も思い浮かべた。しかし、もろもろの命が躍動を始める季節だもの、みずみずしい春の花で姉を迎えることにしよう。
いちき串木野市上名 奥吉志代子(57) 3月19日掲載
日置市出身の義兄は転勤族で、故郷を遠く離れて家も構えたので、せめて自分にお迎えが来るまでは、姉を生まれ育った地に移そう、と決めたのだ。
小さな箱に眠ったまま故郷に帰って来て何になろう、私は一茶の「めでたさも中位なりおらが春」の句を幾度も思い浮かべた。しかし、もろもろの命が躍動を始める季節だもの、みずみずしい春の花で姉を迎えることにしよう。
いちき串木野市上名 奥吉志代子(57) 3月19日掲載