はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

春みつけた

2006-03-23 10:36:17 | はがき随筆
 部屋を出ると、風も穏やかで日差しも和らかい。今日は春の証を見つけに行こう。私はマンションの谷間を歩くのももどかしく公園に急いだ。桜はまだ蕾も出ていなかった。カエルは、トカゲは? 見つからない。近くのスーパーに行った。春の野菜はいろいろ出てはいるが、今ではハウス栽培で冬でもある。タケノコは、タケノコは? 探したがまだ出ていない。あきらめて売場を歩いていると、ふとブロッコリーが目に付いた。冬のより大きい。1個100円。安いじゃないか。その時、ハッとひらめいた。これが春なんだ。都会の春は野菜の値段にあった。
   鹿児島市紫原 高野幸祐(73) (3月23日掲載)