春遠からじ 2006-03-10 13:20:42 | はがき随筆 「立春」に雛人形を飾る。嫁いだ娘の初節句から、毎年欠かさず続けているわが家のささやかな年中行事の一つで、今年は33回を数える。 色褪せた衣装、あちこちに傷みは見られるけれど、年輪をしのばせる素朴で、穏やかなお顔立ちには趣があり麗しい。庭先の白梅の小枝と菜の花を手折って、無造作に添えるだけで春の息吹と、ひとときの女性ならではの誇らしい気分に浸れる。 今年は2人目の孫娘の初節句。健やかな成長を願って飾られるであろう。雛人形に思いを馳せる日々…。 鹿屋市札元 神田橋弘子(66) 3月11日掲載