知覧は私の祖父の実家、私の郷里、薩摩の小京都、武家屋敷の美しい所だ。茶所でもある。幼少時代、祖父の家に手甲脚絆の近所のおばさん達が集まり、竹篭に手摘みで新芽を上手にリズミカルに篭に投げ入れては次々に茶葉を摘んでいた。そのきらめくような色と新茶の小山が初夏の到来を知らせてもいた。私も今年で60歳。けじめの年。幼少時はお茶の効能もわからなかったが、今は香りまでも好きになり、お茶飲み友達までできた。それも手もみの日本茶に限るのだ。
鹿児島市小原町 吉利万里子(59) 2006/6/9 掲載
鹿児島市小原町 吉利万里子(59) 2006/6/9 掲載