94歳の誕生日を迎えてからちょうど1カ月後、母は突然天国に旅立った。その日の朝、庭掃除をするように厳しく言い置いて養護施設のデイサービスに出掛けた。夕方ちょっと気分が悪いとベッドに横になり、看護士さんが10分後に行ってみたら心肺停止状態に陥っていたという。教師をしていた母は、施設でもセンセイと持ち上げられ、その気になって取り仕切っていたそうだ。ちょっと下にずらした眼鏡越しにこちらに目を向けている遺影を見ていると「こっちも結構楽しいよ」と語りかけているようである。天国でもセンセイをしているようで。
西之表市西之表 武田静瞭(69) 2006/6/20 掲載
西之表市西之表 武田静瞭(69) 2006/6/20 掲載