はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

奇跡

2006-09-10 16:53:41 | はがき随筆
 戦後61年になるが終戦記念日は脳裏から離れない。北支の我が部隊は終戦の3日前から激しい戦闘をしていた。終戦の2日後には国籍不明の飛行機から終戦を知らせるビラがまかれた。兵士はビラを拾い上官に渡して「デマ宣伝です」と言う。敵の激しい銃声も突然やんだ。もしかしてと思っていると翌日の早朝、司令部から兵士が涙目で「終戦だ」と行ってトラックで迎えに来た。
うわさでは私の部隊はソ連との宣戦布告で、ソ満国境に出動命令が出ていたと聞いた。一足違いでソ満国境の出動も消えて翌年5月、悲惨な姿で復員し、郷里に帰ってきた。
   姶良町 谷山 潔(80) 2006/9/10 掲載