朝遅く起きたら、郵便受けに胡瓜が1本突っ込んであった。中に「今朝ちぎりました」とメモが入っていた。隣の吉見さんからだ。さっそく、塩で揉んで食卓へ。おいしかった。その気持ちがおいしかった。吉見さんの家には畑はないはずだが? 聞いてみると庭の隅に植えたのが15本実を結んだそうだ。余ったので新しい内にと私の家の郵便受けに突っ込んだそうだ。そのちょっとした気持ちが何となく嬉しい。翌日、家の前でばったり会い、「なーんだ。そうだったの」の2人で軽く笑った。その日の夏の暑さは胡瓜で吹っ飛んでいった。
鹿児島市 高野幸祐(73) 2006/9/28 掲載
鹿児島市 高野幸祐(73) 2006/9/28 掲載